これもまた劇場で見逃してしまったクリント・イーストウッド監督映画「15時17分、パリ行き」
2015年に実際ヨーロッパで起こった無差別テロに居合わせ、犯人を取り押さえた3人の若者を実際に本人たちを起用して描いたドラマです。
当時、テレビのCMを観て、勝手に想像していたイメージとは大きく違っていたので、あれ?ホントにこの作品でいいのか?ともう1度最初に戻って確認したほどでした。
CMはテロに向かっている若者が、撃たれちゃう?!というギリギリのシーンを前面に押し出していましたが、実際に居合わせた幼馴染の3人組の友情や交流を描いている人間ドラマとも言えます。
あれ?と思うような意外な展開だった部分も含め、感想はネタバレいたしますことをご了承くださいね。
Contents
作品の概略
2015年8月21日、オランダのアムステルダムからフランスのパリへ向かう高速列車タリスの中で、銃で武装したイスラム過激派の男が無差別殺傷を試みる。
しかし、その列車にたまたま乗り合わせていた米空軍兵のスペンサー・ストーンとオレゴン州兵のアレク・スカラトス、そして2人の友人である青年アンソニー・サドラーが男を取り押さえ、未曾有の惨事を防ぐことに成功する。
映画は、幼なじみで親友同士のスペンサー、アレク、アンソニーの3人が出会った少年時代や、事件に遭遇することになるヨーロッパ旅行の過程を描きながら、ごく普通の若者たちが、いかにしてテロリストに立ち向かうことができたのかを明らかにする。
映画に出演したご本人たち
「15時17分、パリ行き」に出演した本人たち、左からアレク・スカラトス、アンソニー・サドラー、スペンサー・ストーン。
3人は、勇気ある功績が称えられ、フランスから最高勲章「Legion of Honor(レジオン・ドヌール勲章)」を贈られ、2016年8月には、共著で「The 15:17 to Paris」というタイトルの回顧録を発行しています。
アレク・スカラトス
Voted today &encourage you to as soon as possible to ensure your voice is heard this election!
I'm fighting every day to bring representation back to the people of #OR04 but I can’t do it alone. We've all the momentum but I need you to make sure you show up & #VOTE by Nov. 3rd! pic.twitter.com/YaRpekWePP
— Alek Skarlatos (@alekskarlatos) October 27, 2020
1992年10月10日生まれ、アメリカ陸軍警備隊の兵士。
オバマ米大統領から米国陸軍の兵士メダルを授与。
BBCワールドワイドが製作する、ゲストの芸能人やスポーツ選手が社交ダンスの特訓を受け、ステージで勝ち抜きのダンス勝負を行うダンスリアリティ番組「ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ」に出演。
プロダンサーのLindsay Arnoldと組んで決勝に進出し、3位を獲得。
アンソニー・サドラー
1992年7月13日生まれ、2017年にカリフォルニア州立大学サクラメント校卒業、職業は俳優、テレビパーソナリティおよび作家。
映画出演後、サドラーはいくつかのテレビ出演をしたそうです。
子供の頃からバスケットボールが好きだったようなので、チームのコーチでもしているのかな?というインスタの写真でした。
スペンサー・ストーン
1992年8月13日生まれ、元アメリカ合衆国空軍の軍曹
スペンサー・ストーンは命にかかわる負傷をしますが、回復後は、上級飛行士に昇進し、その後、2016年には軍曹に昇進します。
米国空軍は退官し、カリフォルニア大学ロサンゼルス校または南カリフォルニア大学で国際関係の学位を取得したいと語っていたそうです。
感想
その1 3人組の子ども時代
中央のちょこっと太っちょなのが、スペンサー・ストーン。大人になった彼は、身長193センチだそうですから、子ども頃から大きかったんですね。
3人の子ども時代から映画がスタートするので、爆弾テロをイメージして見始めると拍子抜けします。
実際、パリ行の電車に乗り込むのは後半ですし、そこの描写は全体の1/4くらいな感じなので、そこまでは仲良し3人組の成長記録?みたいな感じもしました。
頻繁に3人揃って校長室に呼ばれていた彼らの絆や、絶対的な信頼感が描かれていて、個人的にはそう言うのもありかな、と思いつつ観ていました。
子供自体にいたずら好きで、親や先生の手を煩わせていたとしても、責任感のある立派な大人になれるんだよ!と感じたし、立派な大人の定義は何?とも思うけど、地位や名誉があっても自分のことしか考えられない人って、いっぱいいますからね。
少しくらい子供時代にやんちゃをして大人たちを困らせていたくらいの方が、のびのびとしていていいのかも。
その2 余計なお世話なんだけど
軍人になったアレク・スカラトスとスペンサー・ストーンは、子どもの頃から共に森で銃を使ってのサバゲ―が大好きだったんですね。
スペンサー・ストーンは、子どもの頃から人を助けたいから軍人になる!と夢を語っていて、その夢を叶え、そして立派に人助けをしたことになります。
ただ、余計なお世話なんだけど、ちょっと気になったのは
軍人になる!と言っていたスペンサー・ストーンは、かなり太っちょで、アンソニー・サドラーから「その腹じゃ無理だろ!それにお前、何をやっても続かないしな」と言われてしまうんです。
すると、俄然やる気になって、1年かけて体を作り、無事テストに合格し夢だった軍人になるんですね。
スペンサー・ストーンの経歴を見ると、軍隊は退役してしまったようなので、映画に出演し、本を出版したことで、何らかの野望に駆られ、昔の何をやっても続かないクセが出て辞めてしまっとしたら少し残念だな。。
とは言え、まだ若いから、何らかの野望に駆られ行動し、その結果失敗したとしても十分やり直せますけどね。
その3 やっぱり無駄なことはない!
スペンサー・ストーンが軍隊に入隊し、バスで訓練所内を移動している時、
「夢を叶えようとすれば、必ず変化は訪れる、近道は探すな」という声が聞こえてくるんです。・・・と、多分このシーンだったと思う。
誰が考えたんでしょうね。個人的に刺さりました。
人生長くやっていると、何某かの行動をおこせば、それが自分の望んだ結果ではなかったとしても、変化は必ず起こります。
そして、近道や楽な道ばかり探していると、それなりの結果しか得られない、ということもわかってきます。
でも、人は忘れっぽいですからね。感じたことがあったにしても、毎日の忙しさの中で、いや忙しくなくても忘れていくんです。
だから、自分に訴えかけているような気持になっちゃいましたね。
スペンサー・ストーンは、本当はパラシュート部隊に所属したかったんだけど、何とか視力というのが不合格だったため、パラシュート部隊にはなれなくて、救護を学ぶクラスに入ります。
何とか視力ってのは、確か奥行きが見えにくいという言葉だったような?
だけどね、救護のクラスで勉強をしたからこそ、電車の中で無差別テロに撃たれ、瀕死の重傷を負った男性を助けることができたとも言えますよね。
もうひとりドクターなのかな?と思われる男性もいましたが、彼の迅速な対応と知識が大いに役立ったはず。
自分の意に沿わないやらなきゃいけないことが生じたとしても、一生懸命やっていれば必ずどこかで何かの役に立つ!と私は思っています。
その4 クリント・イーストウッド監督のメッセージは何だったのか?
これは、はっきり言って全くわかりませんでした。
ごくごく普通の青年が、果敢にも無差別テロ犯人に向かっていった勇気を称えたかったのか?幼馴染3人組の友情と絆を描きたかったのか?絆の延長線上に勇気を繋げたかったのか?
でもね、意図はわからなかったけど、フランス大統領から「Legion of Honor(レジオン・ドヌール勲章)」を贈られる最後のシーンは、なんだか涙が溢れてきました。
何でだろ?歳を取ると、涙腺弱くなるっていうから、そのせいかな?
勲章を授与されるほどの偉業を成し遂げたとはいえ、息子だけは無事でいて欲しいと思うのが親心。そんなこんなを思っていたら、泣けてきちゃうよねぇ
ちなみに映画.comの評論にも
本作は、テロ映画というより青春ロードムービーになっている。夏休みの休暇旅行が、彼らの人生の、そして世界中にとってのハイライトになった。そんな運命の魔訶不思議を、この人のいい3人組と一緒に体感するためにこの映画は存在しているのだと思う。
となっていました。
まとめ
3人でヨーロッパ各地を旅して歩くので、電車に乗り込むまでは、風景がとてもきれいです。今どきの若者らしく、自撮り棒を使ってスマホで写真を撮り、インスタにアップしています。
実は、この映画、アメリカでの評判もそれほど高くなく、10ポイント評価で平均は5.2ポイント。まあまあだね、って感じかしらね。
とは言え、私は最後に涙したくらいだし、やんちゃだった悪ガキが、こんな風に成長するのね!的な親心で観れたから、とても満足しています。
暴力的なシーンは最後の方だけだし、94分という比較的短い映画なので、お休みの日にサクッと観るのにおススメです。