実話を基にした映画「ビューティフル・ボーイ」を観てきました。
彗星のごとく現われ、瞬く間に人気となったティモシー・シャラメは、クルクルの巻き毛がキュートで確かに美しかったです。
でも、そのティモシー演じるニックの母親違いの弟が、彼もまた金髪の巻き毛で、まああああかわいいこと!オフィシャルサイトの「キャスト」欄に名前はなかったんだけど、誰なんだろう?非常に気になったので調べちゃいました。
まあ、特別なセリフもないし、出番はほぼ走り回っているか、遊んでいるかでしたけどね。個人的に注目の子役!と思ったので、後ほどご紹介しちゃいますね。
それでは、薬物の恐ろしさが迫ってくる、ビューティフル・ボーイのネタバレ感想、GO!
Contents
作品の概略
成績優秀でスポーツ万能、将来を期待されていた学生ニックは、ふとしたきっかけで手を出したドラッグに次第にのめり込んでいく。
更生施設を抜け出したり、再発を繰り返すニックを、大きな愛と献身で見守り包み込む父親デヴィッド。
父と息子、それぞれの視点で書いた2冊のベストセラー回顧録を原作とした実話に基づく愛と再生の物語。
オフィシャルサイトより
この映画は、ニックが18歳で覚せい剤を試してから、様々な薬物に手を出し、13回の依存症再発のため、7つの治療センターを訪れた8年間の軌跡について、実際にニックと父親:デイビッドが書いた本が元になっています。

感想
その1 薬物依存の恐ろしさが迫ってくる
多分大多数の人が私と同じだろうとは思うけど、薬物依存症の人が身近にいた経験はないので、なんとなくの知識があるだけで「依存症って、大変なんだろうなぁ~」とぼんやり思うくらいだったけど、いえ!そんな生易しいもんじゃありませんっ。
依存症治療は、想像をはるかに超える壮絶な毎日だ、ということが迫ってきます。
ちょっと試しに、とか、勧められたからなんとなく、とか、気分転換に、とか、そんな軽い気持ちで手を出すには、あまりにヘビーで困難な道が待ち受けているということがよぉーくわかります。
ニックも最初は「大丈夫だよ、みんなやってるじゃん」ニックのパパも「気を付けろよ」なノリ。ところが全然、大丈夫なんかじゃなくなります。
ニックは次第に様々な薬物に手を染め、最後は「クリスタル・メス」という、非常に依存度が高く、脳の損傷も激しい薬物に手を出しちゃうんですね。
ニックのぱぱも、これはただ事ではないぞ!と感じ、薬物について調べると、そこには「クリスタル・メス」の恐ろしい副作用が・・・そして、医者からも「クリスタル・メスの依存治療の成功率は1桁です」と言われてしまいます。
その2 治療中のニックが痛々しい
誰のせいでもなく、薬物に手を出し、それを加速させていったのはニック自身なんだけど、依存症の治療施設に入所し、本人も克服したい意思はあるものの、パパの期待を何度も何度も裏切って後戻りしてしまいます。
薬物の誘惑に負けて、施設を抜け出し、また手を染めてしまった自分をシラフに戻ったとき、猛烈に後悔するし、もう2度とやらないと約束するニックの気持ちにはウソはないと思うんですよ。
だけど、また繰り返してしまう・・・
そして、ウソまで付いてお金をせびったり、盗んだり、施設を出て行方不明になったりしちゃう。そんなことを繰り返して、本当は好青年なのに病んでいく生気のないニックを見ていると、ホント苦しくなります。
ということは、息子のそんな姿を見る親は、胸が張り裂けそうなほど辛いはず。
何度裏切られても、ニックのパパは決して諦めないんだけど、ニックはそんな父親の愛情をきちんとわかっているものの、鬱陶しいとも思っちゃうんですね。そうした感情は、思春期の子供にはありがちなことかもしれないですけどね。
パパから愛されているハッピーなニック、薬物に溺れてボロボロなニック、弟たちに慕われて一緒に遊ぶ兄の顔のニック、パパの愛情を感じつつ疎ましくも感じるニック、映画で様々な感情と立場のニックを、ティモシー・シャラメは抜群の演技力で観ている側の心に迫ってきます。
その3 ニックの気づき
依存治療の中で、ニックは支援者から「君の抱えている問題は何?」と聞かれます。
そして、ニックは「薬物依存とアルコール依存」と答えるわけですよね。
すると、質問した支援者から
「それは本質的な問題じゃなく、君が逃げている先の事だろ?逃げなきゃいけない本質的な問題に気づかなきゃ、いつまでも逃げたくなる」
と言われ、この言葉でニックは本気で薬物を断とうとします。
これって、薬物依存とは関係なく、誰にでも当てはまるのでは?と思った言葉でしたね。
逃げ道はあっていいと思うんです。だけど、逃げ道に依存しちゃダメ!ってことです。逃げたくなる事柄の本質から目を背けず、常にひとつひとつ解決していくべきですね。
その4 諦めないパパは、もはやヒーローです
この映画を美化するつもりは毛頭ないし、親なら誰でも子供の幸せを願うものだけど、ニックのパパが心からニックを思う気持ちには、ヒーローのような強さを感じました。
依存症は、完全治癒ではなく寛解をできるだけ長く続けるために、周りの人たちに助けてもらいながら努力するということがわかります。
でも、そこに至るまでの道のりは決して平たんではなく、山あり谷あり、そしてまた険しい山あり、地獄のような深い谷ありです。
ニックが消息不明になると、パパは必至で探します。心配が高じて、もはや怒り。その矛先が同居している家族にまで及ぶことも。
これ、すごく理解出来ちゃんだけど、あなたにも心配が高じた怒りの経験ありませんか?
そんなことを繰り返し、今度こそ立ち直ってくれるか・・と思いきや、何度もパパは裏切られ、ニックは薬物に溺れちゃうわけです。
そして遂に、一緒にいたガールフレンドが過剰摂取で呼吸が止まり、救急車を呼ぶことになります。彼女が運ばれていったあと、ニックはパパに電話をし、施設ではなく家に帰りたいたいと訴えるけど、遂にパパはそれを拒否します。
途方に暮れるニック。
だけど、心の中からニックがいなくなるとか、ホッとするとか、そんな日が来るはずもなく、パパは薬物依存の子を持つ会、みたいなところへ出向きます。
同じ頃、ひとりでカフェにいたニックは、トイレで薬物を摂取し倒れて入院。
それを知ったニックの母親から連絡をもらったパパは、「我々は失敗したんだよ」と。ヒーローも力尽きちゃったんでしょうね。でも、そんなことを言わなくちゃならなかったパパの心境を思うと、心が痛くなります。あんなに愛しているのに。
ウルトラマンだって強いけど、戦えるのは3分です。パパの深い愛情がなくなることはないにしても、疲弊し、諦めたくなり、突き放したくなり、関わりたくなくなってしまうのも仕方ないと感じました。
でもね、ご心配なく!そこで映画は終わりませから。
その5 二人の合言葉「エブリシング」
予告動画の中でも空港でふたりがハグをするシーンがありますが、離婚して父親に引き取られたニックが、母親のところへ行くために空港まで見送りに来ている場面です。
ニックが幼少期、最初にひとりで飛行機に乗り母親のところへ行くとき、パパが一緒に行かないことを怒っています。
そのニックに対してパパが
「いつでもどんな時でも、この世の全てを越えておまえを愛してる」
のようなことを言って、ニックを安心させるわけです。そこから、ニックがひとりで飛行機に乗るとき「エブリシング(全て)」が合言葉になったんですね。
きっと、ニックは「エブリシング(全て)」をつぶやくことで安心できる、彼にとっての魔法の言葉になっていたんだと思います。
ニックの弟を演じていた子役は誰?
個人的に注目したニックの弟:7歳のジェスパー役を演じていたのは「Christian Convery 」。クリスチャン・コンベリーと読むのかな?
2016年に「My Christmas Dream」でデビューし、映画「ヴェノム」にも出演していたようです。2016年にデビューしたときの年齢が6歳だったので、誕生月にもよりますが、2019年には9歳か10歳ですね。
髪の色は違うけど、巻き毛なので、なんとなぁーくティモシー・シャラメに似ているような気がしない?
子役から活躍している俳優は、成長過程が難しいし、トラブルに巻き込まれる人も少なくないけど、今後の活躍が楽しみです。
まとめ
ティモシー・シャラメの美しさにちょっとだけ助けられてる感のある、結構ヘビーな作品でした。
軽い気持ちで観に行かず、覚悟して観たほうがいいかも。
幸せだったころの幼少期の親子関係も描かれていて、ストーリーの中で時系列が行き来するし、明確な結末がある物語ではないけど、何某かがずっしりと胸に迫ってくる映画でした。
アメリカでは50歳以下の死因で1位は、薬物の過剰摂取だそうです。どれだけ活動をしても、きっと世の中から薬物がなくなることはないだろうけど、こうした映画によって「怖いものなんだ」とひとりでも多くの人が感じてくれたら・・と思います。
ほんの少しの気のゆるみが、一生を台無しにするってことです。
先日逮捕されたミュージシャン兼俳優の彼も、賠償金5億円とも言われています。欲望に身を任せたがために、職を失うだけじゃなく、払いきれない借金と応援してくれた人の気持ちを裏切った事実という大きなマイナスを抱えることになっちゃいましたものね。
最近、事実を基にした作品ばかり観てきたから、次は大好物のアクションとか、サスペンスが観たいなぁ・・
