Netflixのオリジナル映画「How it ends/全ての終わり」を鑑賞してみました。
アメリカの映画化されていない脚本を対象とした製作マッチングのプロジェクトである「ブラックリスト」入りしていたんですって。それが、デヴィッド・M・ローゼンタール監督によって制作され、Netflixで2018年に配信された作品。
義理の親子のロードムービーでもあり、自然災害をベースにしたSFとも言える作品でした。
あらすじ解説と感想は、結末に至るまでネタバレしていますことをご了承くださいね。
それではGO!
Contents
作品の概略
世界規模の大異変を背景に、遠く離れた恋人を救うべく未来の義父とともに旅に出た男の戦いを描いたSFスリラー。西海岸で原因不明の異常事態が発生。通信不能となり全米がパニックに陥る中、弁護士のウィルは妊娠中の恋人サムを救うため、サムの父親で元軍人のトムと共にシカゴから車でシアトルを目指す。
主なキャスト
テオ・ジェームズ
サマンサ(サム)という妊娠中の婚約者がいる弁護士:ウィル
出張で訪れていたシカゴにいるサムの両親の元へ、挨拶を兼ねサムが妊娠した報告をしに訪問するが、サムの父親:トムとはうまくいってると言い難い関係で、この夜の食事会も気まずい雰囲気に終わる。
その後、サムがいるシアトルで何らかの災難が起こったらしいことを知り、トムと一緒に3200キロ離れたシアトルへと車で向かう。
なかなかいいオトコなのよね。トムには認められていないけど、顔だけじゃなく、育った環境は複雑だったもののまっ直ぐに成長した好男子って感じだったわね。
フォレスト・ウィテカー
ウィルの婚約者:サム(サマンサ)の父親:トム
元軍人のトムは、娘の婚約者であるウィルを快く思っていなかったため、ウィルの訪問を受けても、拒絶体勢マックスで打ち解けて話をする雰囲気は全くない。
だけど、娘を思う気持ちは何よりも強く、ウィルと一緒に車で娘を救出するためにシアトルへ向かう。
常時、威圧的な存在感を発しているから、ムッとしていると近寄りがたい怖さがあるのよ。ウィルは、大事な娘を3200キロも離れた場所に連れ去っていった憎い相手ってことだから、まあ親父の気持ちになってみればしょうがないかな。
それにしても、ウィルへの対応は少しかわいそうな気もしたけどね。
カテリーナ・グレアム
ウィルの婚約者で妊婦のサマンサ(サム)
頑固な父が婚約者のウィルを快く思っていないことを知っているため、ひとりでウィルが自分の両親を訪問することを心配している。
男の子を妊娠中。災難から逃れ、無事ウィルとも再会するが、その時一緒にいた男性が、サムに好意を寄せていたことからトラブルが発生する。
グレイス・ドーヴ
ウィルとトムがサムのところへと向かう途中で出会った車の修理ができる女性:リッキー
ウィルとトムがシアトルに向かう途中、車が故障したこと、燃料を補給したいことから立ち寄った村にいた女性。
トムは、これからも長旅が続くから、車が故障したとき、修理ができるリッキーがいると重宝だと考え、2000ドル払うから一緒に来ないかと誘い、リッキーも同行することになる。
年齢設定がいくつなのか?よくわからないけど、村で育った純朴な少女。トムは自分たちのことを考えてリッキーを仲間にしちゃうけど、それはどうかなぁ~と疑問に思ったわね。
人は、困難にぶつかると、まずは自分のことを考える、そして自分が愛する人のことを考える、でもそのせいで他人を巻き込んでいいのか?犠牲にしていいのか?考えるべきかな、と感じたかな。
あらすじ
結末までネタバレ満載のあらすじ説明になりますので、ご注意くださいね。
その1 旅に出るまで
ホテルで早朝、サムからの電話を受けたウィル。話の途中でサムが「何かが起こっている、怖い」と異常を訴えた瞬間、電話が切れてしまい、帰るために慌てて空港に向かうも飛行機は全便欠航で空港は封鎖。
何とかタクシーを拾って、サムの両親の元へ戻ると、父親のトムが少ない情報を収集していて、どうやら西の方で何らかの異常が起こったらしいから、サムを救出するためシアトルに車で向かうと言っていた。
ここでは、どんな異常が起こったのか、それが地震なのか津波なのか、それとも異常気象によるものなのか、詳細は明かされていない。
その2 事故でトム負傷とリッキー同行の理由
ウィルはトムに同行しふたりで出発するが、道中、武装した脱獄囚に襲撃され、トムは肋骨を折る重傷を負ってしまう。
村を見つけたふたりは車を修理してもらい、燃料を補給。車の修理をしてくれたリッキーが同行してくれれば、道中でまた車が故障した際に便利だということで、トムはリッキーと交渉し2,000ドル払って、シアトルへの旅に同行してもらうことになった。
何故、リッキーはシアトルへの同行に応じたのか?村の生活にうんざりしていたリッキーには、ラッパーになりたいという夢があり、それを叶えるため西へ行きたかったことを車の中でウィルに告白する。
個人的には、リッキーが同行する理由が弱いような気もしたし、西の方が災害が襲われたらしいということもわかっているのに、それでも同行するのか?という疑問が残る。
シアトルに向かう途中、ウィルの友人の家へ立ち寄るが、友人は不在で妻だけが在宅していた。ずっと泣きながら悲観的な言葉しか発しないその妻の姿を見ていると、気持ちが重くなってくる。
それはウィルも同じのようで、友人の妻を最大限の言葉で慰めるものの、早くこの場を立ち去りたい!という思いが行動にあふれていた。
その3 罪の意識にさいなまれリッキー離脱
その後、燃料を狙ったグループに襲われ、リッキーが銃で相手の車のタイヤを狙って撃ったことで、車は転倒して燃え上がり、乗っていた人が死んでしまう。
リッキーは、その人が死んだのは自分のせいだと、罪の意識にさいなまれ、こんな旅に同行するんじゃなかったと後悔し、離脱してしまう。
罪の意識にさいなまれて離脱するのはわからなくもないが、何もない草原の中、リッキーは一体どこへ向かうのだろう?その後、どうするのだろう?という疑問が私の中には残ったけど、リッキーについては最後までそれ以上描かれてはいなかった。
その4 いよいよトムの容体が・・
トムの症状にいよいよ危険が迫っているとき、通行止めになっている場所でカーチェイスを繰り広げ、ふたりの連携プレーによってそこをどうにか突破するが、そのことがトムの体には負担となり亡くなってしまう。
ウィルが乗っていた車もラジエーターがいかれてしまい、ウィルは車と共にトムを焼却して弔う。
その5 ウィル再びシアトルへ向かう
ひとりになり、車も失ったウィルは、ヒッチハイクで子ども連れの家族と出会う。車に乗せてもらい、ウィルの父親の家に立ち寄るがそこには誰もいない。
車を譲り受ける代わりに、父親の家を提供することで交渉成立し、再びシアトルに向かうウィル。
到着してみると、そこはまさに荒れ果てて灰が降っている荒野と化していたが、住んでいた部屋に行ってみると、サムからのメッセージが残っていた。
その6 サムと再会、そして二人は・・・
サムが行先を書いたメッセージを頼りに訪れてみると、そこにはサムの姿が!災難には巻き込まれたものの、無事お腹の子どもともに生きていた。
だけど、サムに思いを寄せる男性も同居していて、その男性にしてみればウィルは招かざる訪問者。結局二人は争いになり、ウィルはその男性を射殺してしまう。
そして、ふたりは山のように盛り上がり、猛烈な勢いで襲ってくる灰の中、車で逃げていく・・・The End.
感想
その1 この映画が伝えたかったことは何?
原題は「How it ends」、邦題は「全ての終わり」ちょっとニュアンスが違うような気がするんですね。Howと入っているからには、「どんなふうに」とか「どんな具合に」とか「どうやって」みたいな言葉が必要だと思うんですけど、どうかしら?
全ての終わり、と言い切っちゃうのは、映画を観た後でも違う気がしたし、なんか絶望感しか漂わないから、ちょっと残念過ぎるかも。
もしかしたら、山のように大きな灰に追われて、ふたりは生きられないかもしれないけど、少なくとも最後まで車は灰に追われながらも走っていたんだから、希望はあるわけでしょ?
しかも、大きな災難に襲われたにも関わらず、サムのお腹のいる子供も無事。子供は未来への希望とも取れると思うのね。そこを無事にしておいたなら、もう少し希望が感じられるような邦題にしてほしかったかな。
最後まで何による災害で被害がどの程度で、シカゴとシアトルは3200キロも離れているけど、どちらも終焉に向かう状況なのか?それとも、シアトルは壊滅的だけど、広いアメリカの他の場所は大丈夫なのか?は、最後まで全くわからない。
だからこそ、そこに込められたメッセージや、伝えたかったことが何だったのか?が、私にはよくわからなかったんですね。ご覧になった人いる?どう思ったかしら?
その2 トムの親心
狭い車での移動の道中、不仲だったウィルとトムは協力して困難を切り抜けてきたことから、少しずつ気持ちが寄り添っていくのね。やっぱり人って、本音で接してみないと本質はわからない。
トムがウィルに冷たかったのは、きっと自分よりサムを大事にできる存在、自分よりもっとサムを愛してあげられる存在はいない!と頑なに思っていたのだろうし、父親は恋人や夫にはなれないことがわかってはいても、娘を取られるような寂しさや嫉妬があったんだと思う。
きっと、ウィルも父親になれば、少しはトムの気持ちが理解できるかもね。
死ぬ間際にトムは、サムの妊娠を知っていたことをウィルに白状し、「君はきっといい父親になる」と言うのね。言葉は少ないけど、それはウィルを認めてるよ、という不器用な告白ね。
その3 字幕より吹替で!
英語の映画は、字幕なしでは観れないけど、簡単なフレーズのときに「あれ?」と思った箇所がいくつかあったのね。
そしたら、この作品のレビューで「字幕がお粗末!」という書き込みを見つけたので、字幕よりいっそのこと吹替で観た方がよろしいかも。
映画のセリフを字幕に翻訳するのは非常に難しいと聞いたことがあるけど、あまりに歪曲した訳になっていたら、ストーリーやキャラ設定にまで影響してきちゃうから怖いわよね。
そこが、一流翻訳家とお勉強中翻訳家の大きな違いとも言えるのかしら?ね。
まとめ
疑問をいっぱい感じた作品ではあったけど、カナダロケで撮影された自然の風景は楽しめるし、緊張感はあるし、若干の不完全燃焼をのみ込めば楽しめる作品だと思います。
備えあれば憂いなし、ということわざがあるけど、災害に対してはどれだけ備えても憂いは決してなくならないと思うの。
大切な人と離れて暮らしていると、こうしたこともおこり得ると怖くなったかな。
日本は、地震大国と言われ、今までも大きな地震に見舞われてきたけど、どうぞどうか大きな災害が来ませんように、と祈る気持ちになったわね。
あなたも今一度、大切な人といざというときの連絡方法や無事の確認方法を確かめ合っておいた方がいいと思いますぅ。