やだ!これ、すごくいい映画じゃないのっ。
と、久々に掘り出しものみーっけ!と気持ちよく鑑賞したのが、Netflixオリジナルの「アマチュア」という洋画。
地味です。
低予算です。おそらく。
派手な演出はどこにもありません。
淡々としています。
だけど、気持ちよく見られてスッキリします。だから激しくおすすめします。
そう、鑑賞後のすっきり感は、私にとって非常に大事。
14歳のバスケットの才能に恵まれた少年のお話し。日本で言えば、まだ中学生。えっ?!14歳?とは思ったけど、確かに笑った顔は少年そのもの。
才能に恵まれたことで、大人のあれやこれやの事情に巻き込まれちゃうけど、最後は自分で考えて、自分で道を開いていくんです。
それでは、すっきり気持ちよく見られた「アマチュア」のあらすじと感想を綴ってみたいと思いますが、ネタバレしておりますことをご了承くださいね。
Contents
作品の概略
類まれなる才能を見出され、若干14歳で名門校にスカウトされた天才バスケ少年。年若い金の卵を、私利私欲が渦巻くアマチュアスポーツの世界が待ち受ける。
キャスト&スタッフが実はすごい
テロンを演じたのは、マイケル・レイニー・Jr.
#NBAAllstar2019 pic.twitter.com/AT8lQFIW8B
— Michael Rainey Jr (@michaelraineyjr) 2019年2月17日
2018年に日本で公開された、ニコラス・ケイジ主演の映画「コード211」、海外ドラマ「Power」に出演。
ケンタッキー州ルイビル生まれ。2009年に9歳で活動を開始し、「セサミストリート」にも出演していたそうです。ということは、2018年制作のこの映画に出演したときは、17歳か18歳だったということですね。
父親役のブライアン・ホワイトの実父:ジョジョ・ホワイトは、殿堂入りしたNBAスター選手!
制作陣には、現役NBA選手:トニー・パーカーと、パーカーのチームメイトだった元NBA選手マイケル・フィンリーが参加。
あらすじ
その1 バスケ好き14歳テロンの家庭環境
バスケットが何より好きなテロン。いつでもボールを持ってドリブルをしています。
ある日、練習が終わった後、友人と一緒に校門で親の迎えを待っていますが、待てど暮らせどやってきません。
その日は、父親が迎えに来るはずだったのに、連絡をしても電話には出ず、仕方なく歩いて帰る道中、迎えに来た母親に見つけられ帰宅。
その助手席には、ばつの悪そうな表情をした父親が乗っています。何故?ここがちょっとわからなかったんだけど、どうやら父親は、若い頃のケガの後遺症に苦しんでいる様子。
元アメフト選手で、脳震盪をおこしそれが原因となって体の不調、激しい頭痛に今も悩まされているらしい。
そんなこともあり、仕事も続かず、借金もあり、母親が教師をして家計を支えています。
この経済的に苦しい家庭環境が、テロンを巻き込むトラブルに発展していってしまいます。
その2 両親のテロンへの思い
テロンの才能を買っている父親、勉強をきちんとやらせたい教師の母親。時に、考え方の違いが、両親の諍いの原因にもなります。
子どもの教育に対する考え方の違いが、夫婦喧嘩の原因になるのは、どこにでもある話ですよね。そこにたぐいまれなるバスケの才能が絡んでくるから、話はややこしくなるんです。
父親は、スポーツで自分が果たせなかった夢を息子に託している部分もあるし、教師の母は、スポーツだけしていて、夫と同じようにケガで夢が絶たれた時に教育が必要、と考えているんです。
まあ、どっちの気持ちもわかるけど、そこは正解はないし、相容れないわけで・・もめるよなぁ~って感じ。
その3 テロン優秀校からのスカウトで転校
そんな時、バスケをするための環境が整った学校から、テロンの元へスカウトがやってきます。
転校を決意すれば、家を離れ友達とも別れ、寮に入らなければならず、テロンは悩みます。
「ここにいれば何も変わらない。だけど自分に任せてもらえば、君の将来は必ず変わるし、試合の相手も仲間もレベルが違う」みたなコーチの言葉でテロンは決意し、難色を示す母親を説得して転校することになります。
その4 テロンに降りかかる先輩のイジメ
まあ、あるだろうなぁ~と思っていたのが、転校先の寮生やチームメイトからのイジメ。まだ14歳です。多感です。しかも親元から離れたばかり。
辛いだろうなぁ、夢があっても心折れそうになるだろうなぁと、ちょっと心配になっちゃいます。
そんなとき、口数の多い方じゃないテロンを演じているマイケル・レイニー・Jr.の表情が実にいいんです。顔で気持ちを語るっていうか。
先輩から移動の際の荷物を押し付けられたり、ボールボーイと呼ばれたりして、イジメに心が折れそうになって母親に電話をするんだけど、心配させないようイジメのことは言わないんです。
ガンバレ!テロン!
で、ある日、先輩から押し付けられた荷物を、移動者の中に放り込み、控え室に持っていきませんでした。すると、先輩は試合用ユニフォームに着替えられないわけです。
ふんっ!という表情のテロン。そんなことをしたら、もっとひどいイジメにあうのでは?と心配になっちゃったけど、それ以来、いじめられなくなります。
実は、執拗にテロンをイジメていた先輩にも、攻撃する理由があったことが後にわかります。でもそれは秘密。
その5 テロン大活躍の裏にある事情
実はテロン、数字が認識できない学習障害を抱えています。得点の掲示板も残りのタイムもわからない、奇数だと左、偶数だと右という指示や、数字で表す作戦内容も理解できず窮地に。
奇数だから左にパスを出さなきゃいけなかった指示を間違え、大失態。
そこで頼るのは母。まだ14歳だものねぇ。ハイ!母親は、いつでも息子の味方です。そこで妙案が生まれ、無事テロンは偶数と奇数の違いを自分なりの方法で判別できるようになります。
どんな妙案かって?観てのお楽しみ。
その6 テロンを巻き込んだトラブル
ここがこの映画の大きなテーマだと思うのですが、優秀な選手の獲得にはお金が絡んできます。
それはどのスポーツでも同じですが、アメリカのMBA選手予備軍は、億ドルを稼ぐようになるかもしれない金の卵。
テロンにもその可能性が潜んでいるわけです。
話しはちょっと逸れるけど、テロンの数学授業シーンで、先生が確率について説明する例として、バスケットをやっている高校生がNBA選手になれる確率を挙げていたんですね。
それがなんと!50万分の14だとか。0.000028%です。
ひくっ!
以前、大企業の社長になるより、一流のスポーツ選手になる方がずっと確率が低いと聞いたことがあります。って話しよね。
で、テロンは優秀校にスカウトされ、その後、職を失った父親を助手として雇ってくれないかと、コーチに相談します。
予算はないけど、それならスカウト係として雇用しようという話しになります。
後日、コーチと父親が、言い争っているのを偶然耳にし、テロン獲得の裏には不正なお金が動いていたことを知ってしまいます。
コーチと父親の話しをスマホで録画していたテロンは、その動画を公開しちゃうんですね。その結果、コーチは解任、テロンは全ての公式戦への出場が認められなくなります。
感想
才能を認められ、将来を期待されていたテロンが、高校生になる前にバスケットの道を絶たれたかっ?!と思いきや、テロンが母親からの「右と左がわからなかったとき、どうやって解決方法を見つけたの?」という言葉に奮起し、自分で解決方法を見つけます。
母親の息子を信じる愛情、危機を自分で乗り越えられるほど逞しくなったテロンを感じ、このシーンは個人的に好きでしたねぇ。
どんな解決方法を見つけたのか?は、観てのお楽しみ!ってことで内緒ね。
いわゆるサクセスストーリーなんてのは、ゴマンとあるし、その中で挫折やなにがしかの苦労を抱えてるというのも当たり前のネタだけど、それを踏まえても、私はこの作品が好きです。
この映画の場合、数字が認識できない学習障害を克服することも重要なポイント。
そこをラストシーンでももう少し丁寧に描いてくれていたらな・・とは感じたけど、そのマイナスを差し引きしてもいい作品だと思います。
地味な作品だけど、その中で光っていたのはテロンを演じたマイケル・レイニー・Jr.。
働かない父親に反抗しつつ、でも体調を心配している。
貧しい家庭環境にあり、親の期待に応えるためだけじゃなくバスケが好きという、多感な少年をすごくいい感じで演じていたと思います。
息子を心配しながらも、あまり出過ぎることなく、いつも応援している母親との関係性も、テロンのまっ直ぐな成長を助けていたのだと感じました。
私も息子が二人いるので、こうした男子の成長物語には弱いんですよねぇ。もしかしたら、他の作品より、多少甘い評価になっちゃってるかも?!
何観ようかなぁ~とNetflix画面の前で迷っていたら、これ!おススメです。