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映画「ビューティフルボーイ」の原作とティモシーシャラメ演じるニックの生い立ちに迫る

最近、実話を基にした映画が増えているような気がしますが、2019年4月に公開のティモシー・シャラメ主演の「ビューティフルボーイ」もそのひとつ。

10代で依存症に苦しむ青年とその家族を描いています。

映画の原作が、依存症に苦しむ青年ニックとその父:デイヴィットが綴った2冊の本。

ということで、今回は、その2冊の本と、ニックの生い立ちから依存症に至るまでの素顔に迫ってみたいと思います。映画を観る前に知っておくと、映画が更に沁みるかもしれません。

「ビューティフルボーイ」の原作

実話を基にした映画「ビューティフルボーイ」は、2007年に父:デヴィッドが息子:ニックとドラッグの格闘を綴った「Beautiful Boy」と、2009年に出版されたニック自身の回顧録「Tweak」を基に制作した作品。

13回の依存症再発のため、7つの治療センターを訪れた8年間の軌跡をデヴィッドとニックそれぞれの視点から描いた2冊のノンフィクションは、どちらもがアメリカ中で絶賛を浴びてベストセラーになっていますが、残念ながらまだ日本語の翻訳本は出版されていないようです。

英語版なら、amazonで購入できます。

父:デイヴィッドの本「Beautiful Boy」

息子:ニックのメタンフェタミン中毒(日本では覚せい剤中毒と言われている)を通し、家族がニックとどのように接し、関わってきたかということを綴った父:デイヴィッドによる回顧録です。

2005年にニューヨークタイムズ誌のために書いた記事 “私の中毒の息子”がきっかけとなり、2008年4月26日に本が出版されました。

そして、2009年に、デイヴィッドはTime MagazineのTime100の世界で最も影響力のある人々に含まれ、著書「Beautiful Boy」はEntertainment Weeklyによってその年の最高ノンフィクション本に選ばれました。

他にもノンフィクションでBarnes&Nobleの「Discover Great New Writers賞」も受賞。 2013年には薬物依存問題問題大学(CPDD)メディア賞、および2017年アメリカ中毒医学協会(ASAM)メディア賞を受賞。

ジャーナリストであるデイヴィッドは、ジョン・レノン、スティーブ・ジョブズ、キース・ヘリング、デヴィッド・ホックニー、へのインタビュー記事も書いているそうです。

全米には、デイヴィットとニックのような親子は、きっとたくさんいるだろうと思うんだけど、デイヴィッドがジャーナリストだったことから、経験を綴ることができ、本になり映画へ、ということ。

それができないけれど、同じように苦しんでいる親子がたくさんいるだろうということも、心に留めておかなくちゃな、とは思いましたかね。

息子:ニックの本「Tweak」

父の本がベストセラーになってから2年後、ニックもコラムニストとして活動を始めます。

ニックは、自分の意思で薬を断つことの難しさや、自分のしていることが家族の生活にどれだけ影響を与えているかということに気づけていなかったと語っています。

「父:デイヴィッドの本を読んだ後でも、以前ほど最悪なレベルではないにしても、なお再発しています。ただ、自分が引き起こしているダメージを理解しているので、前と同じように楽しむことは絶対にありません」と書いています。 

ニックは、映画の原作となった2009年に出版されたTweak:Methamphetaminesの後に、2011年には We All Fall Down:Living with Addictionを出版しています。

「We All Fall Down:Living with Addiction」では、リハビリテーションは1回限りでもなければ、同じプロセスとして考えるべきでもないということを強調しています。

出版前夜のスピーチで、ニックは「私は、薬の依存症で苦しんでいる人々に自分自身が正しいと感じる何かが見つかるまで、様々なオプションを探り続けるように伝えたい。答えは一つじゃない」と語っています。

ティモシー・シャラメ演じるニックの生い立ちに迫る


映画の中でティモシー・シャラメは、優等生でスポーツ万能、才能豊かな学生として将来を期待されていたニックを演じています。

ニック・シェフの幼少期

1982年7月20日米国カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。ニックが4歳の時、両親が離婚。 そして、ロサンゼルスにいる母とサンフランシスコにいる父の間を行き来するようになります。

ニックは成績もよく、水球チームのキャプテンを務め、表面ではうまくやっているかのようにみえたけれど、閉じ込めていた感情を永遠にコントロールすることはできませんでした。

その時のことをニックは「世界は本当に苛酷で圧倒的でした。そして私は本当に絶望的に感じました。私がアルコールを飲み始めると、止めることができませんでした」と語っています。

同じ経験をしても個性が違えば感じ方も千差万別だし、解消法も人それぞれ。何か他の方法がなかったのか・・と、やるせない気持ちになります。

依存症への始まりは?

ニックの中毒生活は、11歳の時に飲んだウォッカから始まり、1年後にはマリファナを吸い、それが日常習慣に変わっていきます。

18歳の時、覚醒剤を試し、その時の気分を「私はロックスターのように感じました」と言っています。でも、彼の幸福感は長続きしません。禁断症状に苦しむことになります。

それを回避するため常用者になり、命を削ることになり、家族の命ににも影響を与えるようになっていきます。

だけどニックは、いつも体調も気分も悪く、自分自信に問題があるように感じていたと言っています。

ニックは成績優秀だったので、依存症と戦いながらも、自身が希望したカリフォルニア大学バークレー校に進学しますが、入学した年に中退してしまいます。

ニックは家を出て路上生活をしていた経験もあったと語っていますが、学生時代に成績がよかったからこそ、コラムニストや本の執筆ができたとも言えるわけで、勉強してきたことは無駄にはならなかったんですね。

まとめ

たった11歳で、お酒で気持ちを紛らわさなければならなかったことを思うと切なくなります。

父親の愛情で何とか立ち直ろうと前向きになれたことはよかったけど、依存症は一生付き合っていかなければならない病気だと言われているので、こうした題材の映画を観ることで、薬物やアルコール依存の恐ろしさをもっとたくさんの人が正しい知識を持てるようになればいいな・・と思います。

ニックの更生が長く続きますように。

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