世界はとっても広いので、世界中で起きている事故や事件の全てを知ることはできません。
しかもそれが日本から遠く離れた南米での出来事となれば、大事件でもない限り日本ではニュースになりにくいでしょうしね。
Netflixでは事件を基にしたドラマが配信されているため、知る由もなかった事件について、おおよその内容を知ることができます。
そんなドラマのひとつが、南米コロンビアの首都ボゴタで、当時大学生だった男性がなくなった事件を基にしドラマ「Crime Diaries:Night Out(犯罪アンソロジー: ナイト・パーティーの悲劇)」
若い人が亡くなること自体、非常に痛ましいし、年齢順に亡くなればいいのにといつも思いますが、このドラマでは悲しみのどん底にいる家族にもフォーカスしています。
とにかく、お母さんが痛ましくて、息子を失った悲しみは、何かにすがっていないと心が壊れてしまうんだろうな、と感じました。
今でもドラマの基になった事件は、決着を迎えていはいません。
Netflix配信のドラマはフィクションとなっていますが、その複雑さや関係者それぞれの立場で感じることの違いなどがよくわかります。
ネタバレしてしまいますが、「Crime Diaries:Night Out(犯罪アンソロジー: ナイト・パーティーの悲劇)」の基になった事件と感想を綴ってみたいと思います。
Contents
作品の概略
ハロウィーンパーティーに出かけ、死体となって発見された大学生ルイス・コルメナレス。彼の死は事故死か他殺か? 実際の事件に基づく犯罪ドラマ。
シリーズ1 全10話
Crime Diaries:Night Out(犯罪アンソロジー: ナイト・パーティーの悲劇)は、2010年のハロウィーン(10月31日)に発生したコロンビアの犯罪が基になっています。
犯罪かどうかも、まだはっきりと確定はしていません。
2010年10月31日のハロウィーンパーティー後に、学生だったルイス・アンドレ・コルメナレスがボゴタ北部の公園で亡くなったのは事故だったのか?殺人だったのか?
ルイスの家族や友人を中心に、ある検事とジャーナリストが事件解明に尽力する姿をドラマ形式で描いています。
Netflixでは「このシリーズは実際の出来事からインスピレーションを受けて作られたフィクション」としていますが、ルイスやラウラ、ジェシーという登場人物については、実在の人物と同じ名前が使われています。
ドラマの基になった事件とは?
大学生だったルイスが、友人と共にハロウィーンパーティに参加した後、ボゴタ北部の公園の用水路に落ちたことが事件の発端になっています。
自殺か?事故か?それとも殺人か?当時ルイスのガールフレンドだったラウラと、ルイスの元カノ:ジェシーが事件について、何かを隠していると疑われて収監され、裁判が開かれます。
もし自殺だったとしたら?動機がなさすぎます。
事故だったとしたら、当日ルイスは酔っていたし、公園は暗かったし、可能性はあるでしょうが、実際の用水路を見ると落ちて死亡するほどの高さがあるようには思えません。
日本語字幕はありませんが、この動画では、実際に事件のあったボゴタの公園、用水路、実在のルイスやラウラ、カルロスが紹介されています。
ラウラの元カレ:カルロスが犯人として逮捕され、動機はラウラに未練があるため、ジェラシーからとも言われていますが、それだけじゃ動機として弱いように思います。
仲間と戒めに暴行していたのが、勢い余って死に至ってしまった、ということならあり得るかもしれませんが、どれにも物証はありません。
事件を担当した検事は、証人を見つけてきて証言させますが、どうして事件が起こってすぐに証人が表れなかったのか?
ラウラ側の弁護士によって、その証人の証言に信ぴょう性がないことが証明されると、検事は再び証人を連れてきます。
もうそこまで行くと、検事が連れてくる証人は、本当に確かなのか?という疑いを持ってしまいます。
ルイスが亡くなった当初、検死の結果「事故」ということで処理されかけましたが、荼毘に付したルイスの遺体を掘り起こして再度検死を実施し、頭蓋骨には数か所に及ぶ骨折があったこと、うつ伏せで見つかった遺体は、亡くなったときは仰向けだったことがわかります。
本当は殺人だったのか?それとも事故なのか?
ラウラとジェシーは、裕福な家庭に育った女子大生。ラウラの父親が、自分の力の及ぶ限りのことをして、娘を救おうとしますが、そうした行為に当然、批判も起こります。
証拠不十分としてラウラとジェシーは無罪が確定し、休学していた大学に復学し二人とも無事に卒業します。
犯人として逮捕されたカルロスは、こちらも証拠不十分で釈放されますが、精神を病み、家族が2016年に「不当拘留」を理由に州に対して賠償金を求めますが、棄却されています。
事件に絡んだ事実
コロンビアで起こって非常に話題になったこの事件をNetflixでドラマとして配信するにあたり、承認を求められなかったとルイスの家族は主張しています。
この事件は、最初からメディア効果についての論争を引き起こし、2010年からメディアは、公聴会での判決と家族の意見の相違を公表しています。
だけど、世間の関心が過剰に集まったことで、正義や無実を推定するに足る正当なプロセスに損害を与えたり、司法への社会的圧力の要因になる可能性もあり、公平性が失われたとも言われています。
長引く裁判の中で、証人や不正行為に関する議論が行われたり、証人と証言を捏造したことが疑われた担当検事は裁判から外され、後に検事を退職して弁護士になっています。
この事件については、ラウラとジェシーは無罪となり、カルロスも釈放されましたが、まだ多くの点が未解決のままだそうです。
ルイスの弟であるホルヘは、兄ルイスの事件を全容解明するため、弁護士を目指しています。
家族にとっては、納得のいく結果が出ていないため、今でも父親は、ルイスが亡くなったのは殺人によるものだと信じているし、裁判の途中で外された当時の検事だったゴンザレスは、現在までいくつかの公開調査を行っていて、まだ事件は終わったとは言えないのでしょう。
感想
実際の事件も解明されていない点があると言われていて、ドラマを観ていてもそれを感じます。
まず、ルイスが用水路に落ち、助けるために用水路に降りて探したと証言しているラウラですが、駆け付けた消防隊のひとりがラウラの靴は汚れてもいなかったし濡れてもいなかったと証言するんですね。
もし、本当に用水路に降りたのであれば、どうして靴は濡れていなかったのか?
ルイスが落ちてすぐに用水路に降りたのであれば、何故そこにルイスの姿がなかったのか?
時刻が午前3時頃ということで、多分真っ暗だったと考えられるものの、この2点については釈然としません。
もし、消防隊の証言が違っていたのだとしたら、何故そんなウソをついたのか?わかりません。
消防隊は3人で用水路を探し、トンネルも捜査したけど見つからなかったと証言していますが、トンネルの中を全て歩いて探した訳ではなく、懐中電灯を照らしただけだったため、死角があったのでは?ということで再度現場検証を実行します。
すると、用水路のトンネル内から懐中電灯を照らしただけだと、ルイスの遺体が横たわっているのが見えないことがわかります。
それが事実だとしたら、完全に初動捜査ミスですよね。
それじゃあ、家族は全く納得できなくて当たり前です。
ドラマの中では、ラウラとジェシーが何らかの事実を隠していると、観ている者に思わせるような言動があります。
だからこそ、逮捕され裁判も行われたわけですが、少なくてもルイスの元カノだったジェシーがルイスの死因を明らかにすることを妨害するような行動をとるとは思えません。
隠さなくちゃいけない事柄も理由も皆目見当がつきません。
ラウラについては、ルイスに思わせぶりな態度を取っているものの、彼女ではないような発言もして、そんな態度を取ってたら勘違いするって!とややムカつきます。
元カレだったカルロスの気を引くためにラウラにルイスが利用された説、というのも部上しますが、それだけのことが自殺や殺人につながるとは思えません。
何よりも気の毒なのは、ルイスの家族。母親は、ルイスの亡霊を見るようにもなります。
本当にそんなことが起きたかどうかは定かではありませんが、亡霊でもいいからもう1度息子に会いたい、と願う母親の気持ちがそんな現象を生んだのかもしれません。
ラウラから一報を受けた消防隊がもっとちゃんと捜索を行っていれば、検死をする際、もっとたくさんの可能性を持って調べていれば、と非常に無念です。
事件から10年が経過しようとしていますが、1日も早く真相が解明されますように!と思わずにいられません。