ジェニファー・ロペス、久々のスクリーン登場です。
Netflixオリジナルの「セカンドアクト」では、さばさばした下町のねーさん的な役を演じ、それはそれでかっこよかったけど、今回はトップダンサーの役柄です。しかも詐欺師。
50歳になるジェニファー・ロペスですが、年齢って自分が作るものなんだ、と感じたパワフルな歌声とダンスでした。
そのジェニファーが演じるのは、実際に詐欺罪で逮捕された「サマンサ・バルバッシュ」。そしてサマンサの相棒だったのが「ローズリン・ケオ(ロージー)」
映画は二人をダブル主演として描いているので、実際の人物像に迫り、映画を鑑賞した感想を綴ってみたいと思います。
Contents
作品概略
原題:Hustlers
製作年:2019年
製作国:アメリカ
キャスト:ジェニファー・ロペス、コンスタンス・ウー
監督:ローリーン・スカファリア
脚本:ローリーン・スカファリア
原案:ジェシカ・プレスラー
製作:ジェシカ・エルバウム、ジェニファー・ロペス他
2015年「NewYork Magazine」誌に掲載されたジェシカ・プレスラー氏による記事「The Hustlers at Scores」から着想を得て製作された作品。
ジェシカは、2013年から当事者や警察などの関係者に取材を重ねて記事を書き上げたそうです。
2016年2月に発表された当初は、アンナプルナピクチャーズが資金提供および配給する予定だったものの、財政難で2018年10月に権利を放棄。
その後、STXエンターテインメントが拾い上げ、2019年3月から5月までニューヨークで撮影が行われました。
2019年9月7日にトロント国際映画祭で世界初演され、2019年9月13日に米国で劇場公開。
モデルになった人物たち
デスティニー
“People usually love me or hate me… but guess what… I can’t pay my bills with your opinions. Real recognize real. If you don’t like me, it’s okay because you probably don’t like yourself…” -Roselyn Keo #TheSophisticatedHustler📚 #therealDESTINY #HustlersMovie pic.twitter.com/MAdhK3FHLS
— Roselyn Keo (@Roselyn_Keo) November 2, 2019
シングルマザーのダンサー「デスティニー」を演じるのは、クレイジー・リッチで主演を務めたコンスタンス・ウー。実在した人物の名前は「ローズリン・ケオ(ロージー)」
ロージーは、1984年ニューヨーク州の一番小さなロックランド群で育ちました。
自分自身で「私は十分に賢い」と言い、数学が得意で起業家精神を持っていて、実際ニュージャージーのバークレー大学で授業を受けていました。
映画の中では、デスティニーが店のカウンターで勉強をしている姿が描かれています。
別の人生があったなら、ローズリン・ケオはウォール街で働いていたかもしれないと、インタビューをしたジェシカに思わせるほど賢い女性だったそうです。
現在31歳の彼女が、悪いボーイフレンドと付き合ったり、学校でケンカしたりという過去の行動は、彼女と兄そして祖父母を残して両親がアトランティックシティへと出て行ってしまったことによると、いくつかの心理学調査の結果で結論付けています。
ロージー自身の話しでは、両親はカンボジアの難民であり、より良い生活を求めてアメリカに来て「がらくたや車を手に入れ、水商売に就いた」そうですが「どこかで、彼らは間違った」と。
ただし、ロージーの家族はインタビューに応じなかったため、あくまで「ロージーによると」ということであり、時々ウソをつく傾向がある彼女の話しが、全て真実であるとは言えないらしいです。
映画では、ロージーのパーソナルな話については、ラモーナがインタビューに答えて語ったように描かれています。
ニューシティダイナーで働いていたロージーは、ある日、近くのクラブ「Lace」のマネージャーから20ドルチップを渡され、お金を稼ぐことに興味があるならうちに来ないかとスカウトされます。
明るい照明とサービスを備えたクラブは、犯罪とは無縁の男女が楽しむナイトアウトとして成功を収め、セレブたちは健全なトップレスダンサーと一緒に写真を撮って楽しんでいました。
ロージーは、クラブ「Lace」のマネージャーに声を掛けられた翌日に「Lace」に行き、年齢を詐称し1日500ドル~1,000ドルで職を得ます。
そして、ニューヨークの「ハスラークラブ」で、グラマーモデル・ダンスポップ歌手「サマンサ・フォックス」に出会います。
ローズリン・ケオ(ロージー)はエキゾチックなダンサーで、職場で出会ったダンサーチームに加わり、男性をだまして収入を増やしていました。
ラモーナ
この作品ではプロデューサーも務めたジェニファー・ロペスが、トップダンサー:ラモーナ役。
写真は、逮捕の2年後、シャネルのバック、ルブタンと思われる靴を履いて裁判所に現れたサマンサ・バルバッシュ。
ブロンクス出身のシングルマザーであるサマンサは、ハスラーのトップダンサーの1人でした。
19歳で踊り始め、成長した業界によって理想的な形へと意図的に作られた観葉植物のように造作されて行きます。
彼女の体は、アニメ「ロジャー・ラビット」の妻:ジェシカ・ラビットのような曲線を作り、唇はアンジェリーナ・ジョリーのようにふっくら。
そしてクレオパトラのような黒髪は、首から下がっている星の入れ墨を隠していました。
ロージーがサマンサに出会った頃、サマンサは30代の古株でしたが、ダンサーたちを育成する立場にもありました。
ダンサーたちはグループで働いて、誰もがサマンサと仕事をしたがり、それはサマンサのクライアントにはウォール街の高給ブローカーがたくさんいて、上手に働ける術を心得ていたからだそうです。
ロージーはサマンサと一緒に働くようになりましたが、娘を出産したため数年クラブからは離れています。
そして、2012年に戻ってきたときサマンサは以前より稼いでいたものの、他のダンサーやクラブ自体はそうでもありませんでした。
ロージーとサマンサの犯罪
2008年の金融危機はクラブの来客数に影響を与え、クラブはお金のために売春をするロシアのダンサーたちが配置するようになります。
電話リストにあるクライアントに連絡をしてデートに誘い、サマンサのグループである女性たちが客を店の個室に案内し、ワインを飲ませ食事をさせます。
そしてクライアントがアルコールと女性に酔ったとき、サマンサたちのグループは可能な限りクライアントのクレジットカードを使い果たすというクレジットカード詐欺を働いていました。
サマンサは、クライアントたちに薬を混ぜたドリンクを飲ませ、彼らの記憶を曖昧にさせ、実際にカードで決済する金額より低く請求されていると信じ込ませ、被害者のカードに対し数万ドルも承認させるという手口でした。
法人カードを使ったクライアントは解雇され、再就職したときには犯罪追跡機関に報告されてまた解雇。
その後コンサルティングの仕事に就いたものの、また雇用主から解雇されるのでは?とビクビクした毎日を過ごしているそうです。
2014年6月9日、近所のATMでサマンサは警察に追い詰められます。逮捕される前の4か月間で、20万ドルの利益を得たと言われています。
警察に捕まった時、ロージーは無罪を主張しますが、首謀者を聞かれ、サマンサはロージーだと主張。また、ロージーはサマンサだと言っていたものの、2人とも有罪を認め5年間の保護観察になります。
ただ、被害者である銀行員、弁護士、医者、不動産弁護士などのクライアントは、被害を受けたことを認めたがらなかったそうです。
ロバートウッドジョンソン大学病院の心臓専門医であるZyad Younanは、被害者のひとりらしいですけどね。
映画ではサマンサがボスであるかのように描かれているようですが、ロージーはサマンサとは本質的に対等なパートナーであると主張しました。
映画の感想
圧巻のジェニファー・ロペス
冒頭、金融危機前の華やかなストリップバーの様子が、ハリウッドらしいゴージャスさに満ち満ちで描かれていて、それだけでも観る価値あり!です。
ジェニファー・ロペスの登場シーンも演出してあり、ポールダンスをする彼女のダイナマイトボディがポールに絡んだり、ステージの上でセクシーに踊る姿は圧巻。
アラフィフになったジェニファーさんですが、年齢って何?意味ないでしょ!と感じるパワフルでエネルギッシュな肉体です。
彼女の前では、細くて華奢な若い子たちなんぞ、もうひよこを通り越して卵だわね。素晴らしいです。
ダンサーたちのギリギリミニマムな衣装も必見。男性ならムラムラ、女性ならドキドキって感じでしょうか。
セクシーさって、ある程度の肉感的な肉体に宿る、と私は感じましたけどね。どうかしら?
20万ドルで賄える?
今作の着想を得たジェシカ・プレスラー氏の記事「The Hustlers at Scores」では、4カ月で20万ドルの利益を得たと書かれていますが
映画の中では、カード詐欺に複数の人が関わっていたし、デスティニーとラモーナの生活ぶりは、とても20万ドルの利益じゃ賄えないほど贅沢に描かれていました。
ま、作品としてはラモーナが住んでいるペントハウスとか、2人がハイブランドショップでショッピングする様子、クリスマスパーティでの豪華なプレゼントは見ごたえありましたけどね。
もしかしたら、直近4カ月では20万ドルだったけど、もっと利益があったのかもしれないけど、そこは不明。
もちろん、犯罪に手を染めるのは絶対にダメだけど、彼女たちの興奮とか華やかさとか、美しさをスクリーンで観ている限りは非常に楽しい作品です。
騙されるオトコの邪な心
映画の中では、ジェシカがデスティニーにインタビューをしているシーンもあり、ジェシカが「騙された男たちも自業自得」と言うんですね。
私もそう思う。
女たちはマネーに踊らされ、男たちは「もしかしたら・・・」という性欲に踊らされたわけです。
日本でもたまにそーゆーニュースありますよね。
それらを見聞きするたびに、男たちの邪な気持ちがなくなるはずはなく、だとしたらそれにまつわる事件ってのも絶対なくならないだろうな、と思うわけだ。
上手い話、なんてのはないんです。お金にしろ、性欲にしろ、自分の欲望を叶えたければ真摯に努力するしかない、と私は思うんだけど、どうかしら?
まとめ
2019年4月サマンサは、映画のプロデューサーが彼女の物語を発表する権利を得ていないとして、映画の公開は中止すべきだと主張。ただし、公の場で発言はしていません。
一方のロージーは、インタビューも受け、映画のキャストたちと一緒に写真に納まり、ツイッターにも掲載しています。
映画のハスラーズは、実在している人物とその犯罪をヒントに描かれてはいますが、ドキュメンタリーではないので、脚色もあるだろうし、事実とは違うこと、盛っちゃったこともあるだろうと思います。
ということを踏まえた上で、ストリッパーたちのセクシーなダンス、ジェニファー・ロペスの魅力、女の魅力に抗えなかったアホな紳士たちの姿を楽しめれば、と思います。