U-NEXTで日本では劇場未公開の映画「ホワイト・ボーイ・リック」を鑑賞しました。
面白かったですねぇ。
若干14歳でFBIに情報提供をしていた少年をモデルにした、1980年代の実話を基にした作品です。
14歳と言えば、日本ではまだ中学生。義務教育の真っただ中です。
確かな正義感に背中を押されて・・・という動機ではないと思うんですね。しかも、麻薬の売買をしているギャングの組織での潜入捜査までやってのけちゃうわけです。
でもね、そうした経験は、少し間違うと人生棒に振っちゃうよね、という結末でもあるわけで、モデルになったニックは17歳で有罪判決を受け、30年余りも刑務所の中で暮らすことになります。
それでは、実話を基にした未公開映画「ホワイト・ボーイ・リック」のざっくりとしたあらすじと感想を綴ってみたいと思います。
ネタバレしておりますことをご了承くださいませね。
Contents
実話を基にした未公開映画「ホワイト・ボーイ・リック」概略
1983年。デトロイトに暮らす不良少年、リチャード・ウェルシュ・JrはFBIの情報提供者として活動するようになった。
このとき、ウェルシュ・Jrは14歳で、アメリカ史上最年少の情報提供者であった。
ウェルシュ・JrはFBIのおとり捜査に貢献したが、FBIはその功績に一切報いることがなかった。
それに憤慨したウェルシュ・Jrがコカインの密売を始めたところ、大々的な成功を収めることになった。
麻薬ビジネス界の大物にまでのし上がったウェルシュ・Jrだが、そのとき彼は16歳であった。
アメリカ史上最年少のFBI情報提供者だったリックの事件とは?
上の動画は、収監されてから30年経ったリックと、17歳で逮捕された当時のリック本人。
デトロイト在住のホワイトボーイリックと呼ばれていた、リチャード・ワーシェ・ジュニア(1969年7月18日生まれ)は、14歳で史上最年少の連邦捜査局(F.B.I.)の情報提供者でした。
父親もFBIの情報提供者だったため、それがきっかけだったようです。
ニックが16歳の時に始めたコカインの販売で、成功を収めます。その当時は、FBIへの協力はしていませんでしたが、ある日突然、自宅に捜査官がやってきてコカイン所持で逮捕されます。
ニックが逮捕された1987年当時、650グラム(22.92オンス)を超えるコカインまたはヘロインを所持していた者は、仮釈放なしの終身刑でしたが、ニックは8キログラム(17.6ポンド)を超えるコカインを所持していました。
そして、ミシガン州の刑務所で終身刑を宣告され、ほぼ30年後の2017年に仮釈放されています。
実話を基にした未公開映画「ホワイト・ボーイ・リック」ざっくりあらすじ
ほぼ、上に書いた事件を基にニックが逮捕され、刑を軽減してもらえるよう父親のリチャードがFBIと掛け合う姿、収監されているニックの元に家族が面会する姿までを描いています。
14歳でFBIの情報提供者だったニックは、捜査官から麻薬を渡され、それを売りさばき、地元のギャングとも親密な関係になっていました。
FBIのおとり捜査に貢献していましたが、ある時、ニックが出入りしていた麻薬組織に情報提供者であることがバレ、銃で撃たれてしまいます。
命に別状はなく、退院したら学校に復学したいと思っていたのに、銃で撃たれたことで危険だからと、学校から復学を断られてしまいます。
復学の希望も立たれ、お金もなく、ニックは地元のギャングとは違う人物を訪ね、麻薬を売りさばく商売を始めます。
そんなころ、ガールフレンドがニックの子どもを出産したことを知らされますが、突然家に捜査官たちがやってきて逮捕されてしまいます。
父のリチャードは、FBIに協力していたのだから、どうにかニックの罪を軽くしてくれと、担当していた捜査官たちに頼み、捜査官たちも約束はできないけど努力してみると請け負ってくれたものの、結局は終身刑に。
実話を基にした未公開映画「ホワイト・ボーイ・リック」二人のキャスト
ニック
リッチー・メリット
2001年5月23日生まれ、メリーランド州ボルチモア出身。オーディションでニックの役を獲得。
映画の中でも不細工キャラでしたが、イケメンじゃないけど若いのに存在感のある役を演じています。
父リチャード
マシュー・マコノヒー
1969年11月4日生まれ、テキサス州出身の俳優、映画プロデューサー。
「マジック・マイク」「ウルフ・オブ・ウォールストリート」「セレニティー:平穏の海」など出演作多数。
実話を基にした未公開映画「ホワイト・ボーイ・リック」感想
父親のリチャードは、俺たちはライオン、世間の羊たちとは違う、いつかのし上がってやる、と野心を持っているものの、うだつが上がらず、娘であるニックの姉ドーンには、とことん嫌われていました。
ダメ親父なんだけど、子どもたちを思う気持ちはものすごく純粋だし、ニックが薬物を売ってひと儲けしたいと言い出したときも、最後まで反対する正義感も持ち合わせているんですね。
とは言え、最終的にはニックが薬物の売人になることを黙認してしまうし、その儲けで商売を始めたりはしちゃうんだけど・・・
その意志の弱さが、娘のドーンともぶつかる要因になっているのかも。
それでも、ドーンが薬物中毒になって恋人にも捨てられ自暴自棄になっていたところを助け出し、自宅に監禁し、薬物が抜けるまで世話をしていました。
ダメ親父なんだけど、ちゃんと愛情はあるんです。
きっと今なら、14歳の少年を情報提供者として使うことなんてないだろうと思うけど、30年ほど前にはそうしたことが現実にあったんですね。
何がしかの報酬があるのでしょうかしらね?
とは言え、危険を冒してギャングたちとも親しくなって情報収集していたものの、最後の最後には手のひら返したような対応はちょっとかわいそうな気もします。
情報提供者になったのは自分の意思だっただろうけど、FBIから麻薬の売人になるようけしかけられ、その結果、個人でも商売を始めて、逮捕に至ったわけです。
どの時点でもニックとリチャードが選択する道が違っていれば、逮捕という結果を招かずに済んだ可能性はあるけど、そう考えても二人だけの責任ではないように思うんですよねぇ。
娘が生まれたばかりで収監され、娘の成長を身近で見ることもできなかったわけだし、収監中に父リチャードも亡くなっているため、きっとお葬式にも出られなかったはず。
人生過酷だな・・と思います。
ホワイト・ボーイ・ニックという呼び名は、マスコミが名付けたと書いてありましたが、地元のギャングが黒人ばかりだったのに対し、その中でニックが白人だったことから名づけられたのかな?と思います。
ちょっと話は逸れますが、黒人ラッパーファッションの象徴と言えば、毛皮のコートにぎらぎらゴールドアクセサリーなイメージ。かれらはギャングですが、これですよ。これ!これ!
ギャングたちが毛皮のロングコートを羽織ってラスベガスに乗り込んで行くんですよ。貧しい生まれの黒人にとって、毛皮とじゃらじゃらのゴールドアクセサリーは、正に成功の証、富の象徴なわけです。
バブリーでいいですよねぇ。大好きです!
実話を基にした未公開映画「ホワイト・ボーイ・リック」アメリカでの評判
2018年9月7日、本作は第43回トロント国際映画祭でプレミア上映され、アメリカでは『シンプル・フェイバー』『ザ・プレデター』と同じ週に、全米2504館で公開されました。
公開初週末には886万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場4位という結果に。
ただ、批評家の中には「キャスト陣(特にマシュー・マコノヒー)の名演のお陰で、『ホワイト・ボーイ・リック』は脚本のお粗末さを相殺できている。」という見解も。
そう言われてみれば・・・ですけど、もうちょっと映画に盛り上がりというか、強弱というか、波があってもいいような気もしました。
かなり衝撃的な事実のオンパレードなのに、あまり観ていて「へー!そうなんだ!」と驚くような演出はなく、平坦だったように思うかな。
ま、批評家の見解を知ったからそう思っちゃうのかもしれませんけどね。
個人的には、マシュー・マコノヒーのダメ親父なんだけど、彼なりに子供たちを思っている不器用さが好きでした。
まとめ
実話を基にした作品が好きなこともあると思いますが、未公開映画って、こういう掘り出し物を見つけたとき、非常に楽しいんですよねぇ。
平坦な作りのようにも感じましたが、こんなことがあったのね!という興味で十分楽しめる作品です。