実話を基にした世界のトップブランドGUCCIの内部騒動から、委託殺人までを描いた映画「ハウス・オブ・グッチ」を鑑賞してきました。
強烈なキャラクターの登場人物たちは、それぞれに人生の大きな谷が訪れるんだけど、それって自業自得よね、というのが正直な感想。
豪華なキャスト、1980～90年代のファッション、ヨーロッパの風景が楽しめるとともに、「日本はバブルだったんだな」を彷彿とさせる興味深いシーンもあり、内容はサスペンス風でありながら、見どころが満載な作品でした。
作品概略
原題：House of Gucci
製作年：2021年
製作国：アメリカ
キャスト：レディ・ガガ、アダム・ドライバー
監督：リドリー・スコット
原作：サラ・ゲイ・フォーデン
2000年に発売されたサラ・ゲイ・フォーデン著「House of GUCCI」を元に、「エイリアン」「ゲティ家の身代金」「最後の決闘裁判」などを手掛けたリドリー・スコット監督によって描かれた作品。
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ざっくりあらすじ
「GUCCI」創業者一族の崩壊を描いたサスペンスドラマ。3代目のマウリツィオ・グッチがパーティで知り合ったパトリツィア・レッジャーニと、父親の反対を押し切って結婚し、一度は勘当されるもののパトリツィアの策略でGUCCIに返り咲く。
次第にパトリツィアは、GUCCI経営に口を挟むようになり、それをマウリツィオは疎ましく思うようになってふたりの関係にヒビが入り、遂に離婚。そして、マウリツィオはパトリツィアに雇われた暗殺者に銃撃されてしまう。
感想
ひと言で言ってしまえば、全員身から出た錆、なるべくしてそうなった、自業自得ですかね。ひと言じゃなかったけど。
イタリア人同士がイタリアで会話しているのに英語って変・・・とは思ったけど、それは字幕で観ている日本人だからでしょうかね。
レディ・ガガは、この作品に出演するにあたり、イタリア語訛りの英語を習得するため9ヶ月にわたりイタリア訛りの英語を使っていたのだそう。
個人的には、トム・フォード時代のGUCCIがイチバン好きなので、なるほどこうしてトム・フォードのGUCCIが誕生したのね、という点がわかって興味深かったかな。
パトリツィア
パトリツィアは、マウリツィオと結婚したかったのではなくて、グッチ家の嫁になりたかったのよね。贅沢が好きで、自己顕示欲が旺盛で、誰もが自分に注目していないと不満。
マウリツィオがグッチに返り咲くために企てた策略がタイミングよく成功しちゃったもんだから、グッチは私が陰で操っている、私の重い通りになる、と勘違いしちゃったのよね、きっと。
賢い女性だと思うけど、もう少し賢かったらマウリツィオの立場を考えて、夫を立てるような振る舞いや発言をしていたら、こんなにこじれなかったかもしれないのに、と思うかな。
まあ、グッチ家の嫁になりたかった、自分が仕切りたかった、そのことが次第にマウリツィオの負担になり、心が離れて行ったのだから、自業自得ってことですよね。
グッチ家の人たちは、みんな自分勝手で自分の利益のことしか考えてない、というようなパトリツィアのセリフがあるんだけど、えっ？！それってあなたもですよ、と。
自分では正しいことをしていると思っているわけだし、人ってのはやっぱり自分を俯瞰視したり、客観的に考えたりできないものなんだなと痛感します。
マウリツィオ
パトリツィアとの結婚をパパに反対された時点で諦めていたら殺されなかったのにね。まあ恋は盲目というから、諦めるだなんて無理だろうけど、パパはパトリツィアの本心がわかっていたのよ。で、パパ役がアル・パチーノだってわかった？？
スタイリッシュな叔父様だけど、観ていてまさかアル・パチーノだとは見抜けなかったわ。
マウリツィオは弁護士になろうと勉強していたくらいだから賢いわけだし、名家のおぼっちゃまだからプライドは高い。だから、パトリツィアの暴言は我慢ならないわけで、そこをパトリツィアがもう少しわかっていたらこじれなかったかも・・と思うのよ。
ただ、二人の関係がうまくいかなくなった時、秘書に頼んで文書を届けるのは卑怯よね。そこはプライベートなことなんだし、自分が選んで結婚した女性なんだから、例え愛情がなくなったとしても、最後まで誠意をもって自分で対処しなくちゃ。そう思いませんこと？
そんなことをするし、新しい恋人ができたら自転車で満足していたマウリツィオが、フェラーリを買うわ、ランボルギーニを買うわ、お城は買うわ、と会社の経費で散在するわけですよ。刺されても仕方ないかなぁと、あ！違うわ、撃たれたんでした。
パオロ
マウリツィオの従妹であるパオロは、デザイナーとして自分は誰よりも才能があると信じて疑わないんだけど、残念なことに誰もが才能はないことを知っていて、しかもちょっとおまぬけなキャラ。
つるっとピカっと輝く頭部、ずんぐりとしたボディ。そのパオロを演じていたのはジャレッド・レト。
是非、インスタグラムでジャレットを確認してください。びっくり仰天しますから。
信じられます？？？オーマイガッ！ですよねぇ。俳優って七変化です。
インスタグラムには、メイクで変身している途中の写真も掲載してあったので、ご興味のある方は見てみて！
パトリツィアとパオラ
パトリツィアの装いは、いつでもゴージャスで絢爛豪華。ジュエリーもテンコ盛りだし、ファーも大好き。柄物も大好き。
でね、なるほど！と思ったのが、スイスのスキー場でパトリツィアとマウリツィオの友人パオラが対面するシーン。スキー場の屋外で談笑するマウリツィオの友人グループは、スキー場に相応しいカジュアルでオシャレな装い。
それに反して、パトリツィアは毛皮の帽子に毛皮のコート、ゴールドのアクセサリーを重いほど身に付けているわけ。そら、スイスの山の中、雪が降っているんだから寒いけど、何ていうかトゥーマッチな印象を受けたのは私だけでしょうか。
この時代のセレブの雪山はそんなもんかもしれないけど、この装いを選ぶことこそパトリツィアの塊と思えたわけです。
対するマウリツィオの新しい恋人になるパオラは、さらっとムートンジャケットを羽織っているだけ。翌日のふたりのスキーウエアもパトリツィアは真っ赤、パオラは真っ白と対照的。きっとふたりのキャラクターの違いを色の違いに込めたのでは？と私は感じました。
どっちがいいというのではなく、真っ赤を選ぶパトリツィアに辟易としたマウリツィオは、真っ白のパオラがよく見えたってことかなと。
現在のパトリツィア
映画では娘がひとりでしたが、実際にはアレグラとアレッサンドラとふたり。でも、ふたりとも母親とは縁を断っているそうです。
事件から2年後の1998年に懲役26年の有罪が確定・執行猶予3年を適用しなかったため、完全に釈放されたのは2017年2月20日だったよう。
離婚の際に慰謝料として、年間100万ユーロ相当を受け取る事で合意していたため、収監中の18年間に蓄積していた未払い金を受け取ったと言われています。
2021年現在パトリツィアは72歳だから、100歳まで生きたとしても生活に困ることはないだろうけど、自分のしでかしたことでふたりの娘と縁が切れてしまった事実は、幸せな老後と言えないでしょうね。
