Netflixオリジナル

Netflix「新米刑事ヴァランダー」シーズン1ネタバレ感想|踏んだり蹴ったりじゃん

Netflixオリジナルのスウェーデンドラマ「新米刑事ヴァランダー」を鑑賞してみました。

スウェーデンの推理作家:ヘニング・マンケルの小説「クルト・ヴァランダー」シリーズが原作で、イギリスのBBCで2008年から放送されていたドラマ「刑事ヴァランダー」シリーズのヴァランダーの若き日を描いたドラマです。

全体的に暗いけど、刑事物がお好きな人にはおススメ!

まずシーズン1前半の感想を綴ってみたいと思いますが、ネタバレも含まれますことをご了承くださいませね。

作品概略

原題:Young Wallander
製作年:2020年
製作国:スウェーデン・イギリス
キャスト:アダム・ポールソン、リチャード・ディレイン、リアン・ベスト
監督:オーレ・エンドレセン、イェンス・ヨンソン
原作:ベン・ハリス

シーズン1は全6話でNetflixから配信。

ざっくりあらすじ

警察官だったクルト・ヴァランダーは、ある事件現場に居合わせたために収集できた情報がきっかけで、刑事に昇進。

だけど、移民が殺されたその事件は、デモへと発展し、更に大きな裏があることが次第に明らかになっていく。

感想

個人的にはスウェーデンの作品って好きです。代表的なのが「ミレニアム」

「ドラゴンタトゥーの女」「蜘蛛の巣を払う女」の原作で、スウェーデンでは「ミレニアム」と題して3部作で映画になっています。

2020年9月現在、Amazon Video のみで見られます。

お国柄か、私の好みか?比較的暗い作品が多いけど、その暗さが事件をより重々しくしていてるように感じられるどっしりした雰囲気が好きです。

「新米刑事ヴァランダー」も暗くて重くて面白い。1話目からものすごい勢いでクルトが、自分が意図せずいろんなことに巻き込まれて行きます。

もしかして天中殺?厄年?と思うほど、全ての選択が彼にとって「あ~あ」という結果になってくるので、先を見たくなる。

撮影はスウェーデンで行われているようで、寒々とした風景だからか、よりクルトの悲壮な立場が濃くなってくる感じ。

でも、これを見ていると警官って身体を張った重労働だし、一瞬の判断の違いが吉と出るか、凶と出るかの分かれ道で、選んだ道が必ずしも吉になるとは限らないってことを感じます。

だけど、全ての判断は結果が出てからじゃないと吉か凶かはわからないわけで、凶と出た場合は、周りに責められちゃうわけでしょ。ちょっと理不尽な気もします。

まあ、そのためにルールやらマニュアルってのがあるわけだけどね。

前半の感想

パトロール中に功績を上げたことで、相棒:レザが昇進することになり、若干悔しさはあるものの友人の昇進を喜んでいたクルト・ヴァランダー。

クルト・ヴァランダーを演じているのは、1988年3月25日生まれでスウェーデン出身の「アダム・グスタフ・グストゥス・ポールソン」

ある日、就寝中に聞こえてき警報音で目覚め、外に出ると人だかりができていて、その中央には口にガムテープを貼られて少年が立っていました。

すると黒いパーカーを着た男がその少年の口に貼られていたガムテープをはがすと口には手榴弾がはめられていてボンッ!少年は亡くなってしまいます。

第1の災い

この事件が自宅近くで起こったことで、クルトはひとつの手掛かりをつかみ、それがきっかけとなり昇進が決まっていたレザは降ろされ、クルトが刑事に昇進することになります。

これって、辛いですよねー。

クルトは自分も刑事を目指してはいたものの、心の葛藤があったのでしょうね。レザの替わりと知って、即座に断るんです。

あなたならどうしますか??

クルトは、そのことを人からレザの耳に入る前に自分から告げるんですね。それ、正解だと思うんですよ。

事実は変わらなくても、自分から告げるのがすごく辛くても、レザの立場だったら人から聞くより仲が良ければいいほど本人から告げられた方がわだかまりが残らないですよね。

ここがひとつめのクルトの災い。昇進自体は夢がかなっておめでたいことだけど、レザの替わりってとこが素直に喜べないですからね。

第2、第3の災い

刑事になった彼は、被害者:ヒューゴの事件を追うことになるんだけど、ヒューゴが移民だったことで、大掛かりな反移民デモが起こり、レザと共にクルトもデモの警備に駆り出されます。

画像引用元:IMDb

反移民派と移民擁護派との間で暴動がおこり、レザが暴動に囲まれて助けを求めていた時、クルトはヒューゴ事件で目撃した人物が出てきたのを見て追いかけちゃう。

そう、ここが分かれ道です。

レザを助けるか?犯人を追うか?

多分、他に助っ人がいない場合、ひとりでの行動はNGだとは思うんだけど、目の前に逃げていく犯人らしき人物がいたら追いかけちゃいますよね。

そして、クルトはそいつを追い詰め手錠をかけようとしたところで、隠し持っていたナイフで刺されちゃう。あーあ、そーゆーこともあるかもしれないと用心しなくちゃ、と思うんだけど、なんせ彼は新人ですからね。

そこは焦ったか、テンパったか、恐怖心もあっただろうし、傷を負って入院し犯人も逃しちゃうわけです。

これがふたつめの災い。

しかも、犯人は取り逃がしているというみっつめの災いももたらしてますから。

第4の災い

レザが暴動に巻き込まれたのを知りながら、犯人を追ってしまったクルト。

レザは意識不明の重体で病院に。それを知ったクルトは、責任を感じ心を痛めるわけです。

お互いに家族同様に思っていたレザの妻からも「顔も見たくない」と言われちゃうわけだ。ショックですよね。自分は犯人を追ったから、とレザ妻に訴えるんだけど、聞く耳なんか持っちゃもらえません。

なんかもう踏んだり蹴ったりな感じ。

そんな状況を忘れるためにも、犯人検挙に精を出すしかない!

第5の災い

上司からの命令で、ヒューゴが出入りしていたらしいキューブというクラブに潜入します。

ところがあっけなく刑事と知られてしまってボッコボコにされちゃう。気づいたら野原に放り出されていた始末。

刺されたばかりだというのに、更にボコボコにされて満身創痍です。まさに踏んだり蹴ったり。

移民問題だけじゃない

クルトを刺した男が言っていたパシュトー語の言葉を頼りに、移民が保護されている施設へ聞き取りに行ってみるものの、仲間意識が強い彼らが仲間を売るような証言をするはずがない。

聞き取りは無駄足です。

ところで、パシュトー語ってご存知ですか?

パシュトー語(パシュトーご)は、アフガニスタン、またパキスタンの西部に住むアフガン人(パシュトゥーン人)の話す言語である。インドヨーロッパ語族のイラン語派の東語群に属す。

Wikipediaより

私は初めて聞いた言語でしたが、Wikipediaで調べてみたところ、アフガン人の言葉のようです。

ヨーロッパでも移民に寛容な国と言われ、多くの移民が存在するスウェーデンですが、当然そのことに反対する人々もいるし、衣食住の世話をしている人たちもいます。

そのスポンサーが、スウェーデンの億万長者である事業家。

ところがね、ヒューゴの事件は、単に移民が被害者だったからデモが起こった、というだけでなく、ものすごく根が深い大きな犯罪のニオイがしてくるんです。

前半3話まで鑑賞して、もしかしたら大きな犯罪に傲慢な億万長者が絡んでるんじゃないの???と私は思ったんだけど、どうかしらね?

すでに鑑賞した方と共有する感想

ラストのまとめ方をどう感じましたか?

私は全くすっきりしませんでしたけど、現実的にはこういう収束ってのもたくさんあるんだろうなと思います。

結局、確かな証拠は上げられなかったわけだし、警察本体としてもカールを逮捕起訴することは、あまり乗り気じゃないでしょうしね。

とは言え、物語ならもうちっとすっきりしたまとめ方ができなかったのかしらん、と不完全燃焼な気分です。

まあ、最後はクルトが移民のシェルターで働いていたかわいい女性(スイマセン、名前を忘れています)と平和に帰宅できたことがよかったかな。笑顔でしたしね。

まとめ

前半は踏んだり蹴ったりのクルトなんだけど、刺されたり殴られたりしながらも次第に真相に近づいている感じがするんですね。

だけど、簡単に解決するわけはなく、近づいたかと思うと違う事件が起きたり、キーマンだと思っていた男が殺されちゃったりするわけです。

だから続きが見たくなっちゃうんだけど、自分が思い描いていたようなThe正義!的な終わり方じゃなかったのが、肩透かしというか期待外れな気持ちにさせられ、それが多少のがっかりにつながっちゃった感じでした。