日本では劇場未公開の洋画「10×10/テンバイテン」をU-NEXTで鑑賞しました。
サスペンス映画なので、核心に触れず感想を綴ってみたいと思いますが、感想にはネタバレも含まれますことをご了承くださいませね。
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未公開映画「10×10/テンバイテン」概略
原題:10×10
製作国:イギリス
キャスト:ルーク・エバンス、ケリー・ライリー
監督:スージー・ユーイング
脚本:ノエル・クラーク
10フィート四方の密室に閉じ込められた女性の運命を描いたイギリス製シチュエーションスリラー。ルイスは花屋を営む女性キャシーを白昼堂々と誘拐し、自ら作成した10フィート四方の防音室に彼女を監禁する。
ルイスの動機は、キャシーによって隠蔽されたある秘密を告白させること。過去が明かされるにつれ、事件の本当の犠牲者が浮かび上がっていく。
ルイスを「美女と野獣」のルーク・エバンス、キャシーを「シャーロック・ホームズ」シリーズのケリー・ライリーがそれぞれ演じた。
主演:ルーク・エバンス
映画の中では、職業も年齢も明かされていないルイスを演じているのが、イギリスの俳優ルーク・エバンス。
実際のルーク・エバンスはマッチョなのに、本作の中では誘拐・監禁したキャシーに、結構やられっぱなしでピンチを迎えちゃう。
そこが、男女の力の差を考えると、ホント?と少し思っちゃったけど、もしかしたら死んじゃうかもしれない・・・という命の危険を感じたキャシーの火事場の馬鹿力だったのかもしれませんけどね。
この疑問は、他にも感じていた人がいたようで、海外の映画紹介サイトIMDbのレビューにも同じような感想を多く見つけました。やっぱりそう思うよねぇ。
あの筋肉ですから、ハリウッドのアクション映画「タイタンの戦い」「ロビン・フッド」、ワイルド・スピードでは2013年のEURO MISSIONから悪役として出演。
Netflixオリジナル映画「マーダー・ミステリー」では資産家の甥役で出演。登場の仕方がかっこいんだ!ちょっと気障でね。でも、似合っちゃうから仕方ない。

核心に触れずざっくりあらすじ
ひとりの女性を観察するひとりの男。生花店を営むその女キャシーは、自分の店を出てカフェで軽く食事をし、その後ヨガスクールへ。
帰宅しようとしたとき、観察していた男ルイスに駐車場で襲われて、手足を拘束され誘拐されてしまいます。
ルイスがキャシーを連れて行ったのは、自宅の完璧に防音が施された部屋。
キャシーは、絶望の中でも何度か逃走を計ろうとします。
ルイスがキャシーを誘拐した目的は、キャシーしか知らないことを告白させるため。テレビでは判決がおりた裁判のニュースが報じられていて、そこにルイスが知りたいことのヒントがあるのでは?と感じます。
だけど、キャシーの告白でルイスは知らない方がよかったかもしれない真実を知ることにもなります。
そんな心理的にも肉体的にも激しいバトルを繰り広げていたふたりでしたが、思いがけず「お泊り会」に行っていたはずの娘が家政婦に連れられて帰宅。
娘はどうなるのか?ルイスが知らない方がよかったかもしれない真実は何か?
ネタバレ感想
閉じ込められた密室、ふたりの駆け引き、ピンチが入れ替わるという状況に、ハラハラしちゃう今作はシチュエーションスリラーというジャンル。
核心部分には触れず感想を綴りますが、ネタバレは含みますのでご注意くださいね。
絶望的な防音部屋
誘拐サスペンスとしてのストーリーは王道だし、特にトリッキーなことも起こらないんだけど、山の中にある一軒家の壁厚12センチという防音部屋は、真っ白で清潔感がありかえって恐怖心を煽ります。
完璧な密室で絶望的。
そこに監禁されたキャシーは、大声で助けを求めるんだけど、どう見ても体力の無駄だし、絶対に第三者が気づくはずのないロケーション。
それがわかっていてもキャシーは叫び続けます。
手と足は結束バンドで拘束されて、監禁されているキャシーと同じ状況にもし自分が置かれたとしたら、どうするだろう?と考えてみました。
ヘタレでメンタル弱い私は、早々と諦めちゃうかな、きっと。あなたならどうしますか?
絶望的な状況にありながらも絶対にあきらめないキャシーは、心身ともにかなりタフ。
ルイスのやることが雑!
ルイスがふたりの分の食事を用意して、ダイニングにキャシーを連れてきたとき、ふたりに1回目のバトルが勃発。キャシーの行動を読んでいなかったルイスは甘いな。
ルイスにしてみれば暴行や拷問をするつもりはなく、ただ本当の話しを聞きたかっただけなんだけど、キャシーにしてみれば何が何でも今の状況から抜け出したい、と思うのは当たり前。
だとしたら、キャシーからの反撃があることも容易に想像できそうに思うけど、なんかルイスのやることは全般的に雑。
それは、フィットネスジムの駐車場でキャシーを誘拐するシーンも然りで、車と車の間でキャシーを襲ったまではまだいいとしても、キャシーを運ぶための自分の車は遠くにあって、車を移動させるまでキャシーを地面に放置。
それって、製作側に何らかの意図があるのだろうか?ハラハラの演出かしら?とは思ったものの、そもそも計画的な誘拐なら、もっと緻密に計画を立てるだろうし、それができないようならあの暮らしはしていないだろうし。
ルイスの自宅ってのが、豪邸ではないけどものすごくオシャレだし、キャシーを監禁した防音部屋は、自分で設計したと言っていたから、それなりの収入がある男だと思うんですね、
バカじゃないと思うのに、とにかく雑。
そこにイライラする人にはおススメできないサスペンスだけど、ルイスのオシャレな部屋は必見の価値ありです。
防音部屋も清潔感溢れる白一色。オシャレな白い部屋が少しずつ血で赤くなっていくのも、監禁の恐怖を自分に置き換える心理になっちゃうほどゾッとします。
ルイスは単純な男なのかも
キャシーを誘拐・監禁した動機は、非常に単純ですが、そこから先があったことは予想外で興味深かったかな。
ただ、そこから先の話しってのも、少し注意深い男だったら予想がついたかも、という出来事だったから、ルイスってオトコは非常に単純で想像力のないヤツなのかもしれませんけどね。
娘の帰宅は予想外の出来事で、もちろんルイスは娘をキャシーから守るために戦います。
でも、やっぱり弱いんだなぁ。手が拘束されているキャシーが優先なんだもん。ふたりのバトルは緊迫していてハラハラはするものの、どうしてもルイスの雑な動きや想像力のない行動が目についてしまうかな。
歪んだ正義感
キャシーのやらかしたことの根本は正義感。だけど、自分の中にある正義って、あくまで自分の定義なわけで、その全てが世の中で通じるわけじゃないことを自覚しておかなくちゃな、と感じます。
それって、先日ニュースにもなったSNS拡散により謝罪に追い込まれた豊田市 原田隆司市議も同じだと思うんですね。
動機は正義感からだったと思うんです。だけど、間違った情報だったことを精査せずに安易に拡散したことが謝罪しなければならないことになっちゃったわけで、これは誰にでも起こりうることだと思います。
キャシーの正義感が歪んでしまったのには、ちゃんと理由があるんですね。だけど、それを自分では多分自覚していない。
ルイスから生い立ちを掘り下げられたことで、次第にわかっていくんだけど、よく考えるとルイスはどうやってキャシーの生い立ちを知ることができたのかしら?ね?
ま、そこは掘り下げなくてもいっか。重要ではありませんので、悪しからず。
まとめ
地味目な映画は、動員数を集められなだろうから、劇場公開に至らないのは仕方ないけど、今は動画配信でいくらでも見つけられるのでいいですよねぇ。
「ボーダー二つの世界」からほぼ1か月、足を運んでまで観たい映画がないんですよねぇ。

家にいても、こうしてそこそこ面白い作品を掘りあてられるので、動画配信サイトがありがたいです。
ルイスの弱さにイライラしないで観られる自信のある方には、90分ほどで鑑賞できるし、ぐったり疲れるほどの緊迫感もないので、サクッと観る作品としておススメです。