実話を基にした作品

映画「ストーンウォール」ネタバレ感想|恋愛対象同性ですがそれが何か?を築いた先人

U-NEXT1969年にニューヨークで実際に起きた同性愛者迫害に対する暴動を基にした映画「ストーンウォール」を視聴しました。

日本でも2016年に劇場公開された映画ですが、現在U-NEXTでの独占配信になっています。

今は、カミングアウトする方もたっくさんいらっしゃるから珍しくないですし、同性愛者であろと特に変わったことはないし、話題は豊富で面白いけですどね。

でも、50年前だと話は全く違ってくるわけです。ということは、50年経てば世の中の常識や価値観はがらりと変わる、とも言えるってことですよね。

50年後の世の中、どうなっているんだろうなぁ・・・ね?戦争のない世の中になっていればいいけどなぁ

すでに公開された映画ではありますが、かなり面白かったので、U-NEXT会員の方には、追加料金なしで観られるのでおススメです!

会員じゃない方も、31日間は無料で観られますので、ご興味がありましたら是非!

感想にはネタバレも含みますことをご了承くださいませね。

映画「ストーンウォール」概略

原題:Stonewall
日本公開日:2016年12月24日
製作国:アメリカ(PG12)
キャスト:ジェレミー・アーバイン、ジョナサン・リース=マイヤーズ
監督:ローランド・エメリッヒ
脚本:ジョン・ロビン・ベイツ
製作:ローランド・エメリッヒ他

1969年に実際起こった「ストーンウォールの反乱」を基に映画化した作品で、日本でも2016年に劇場公開になっています。

ストーンウォールの反乱とは

1969年6月28日、ニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン (Stonewall Inn)」が警察による踏み込み捜査を受けた際、居合わせた「同性愛者らが初めて警官に真っ向から立ち向かって暴動となった事件」と、これに端を発する一連の「権力による同性愛者らの迫害に立ち向かう抵抗運動」を指す。
事件
WikipediaよりWikipediaより

ご興味があれば、Wikipediaに事件のことは、とても詳しく掲載してあります。

ストーンウォールの反乱の時代背景

1960年代のアメリカでは、黒人の有権者登録妨害に抗議デモも行われていた時代。

同じ1960年代、LGBTと言われる性的マイノリティたちも、治療のためとして電気ショック療法がおこなわれていたり、同性愛であることがわかると解雇されるなど市民権は得られていませんでした。

1960年代のアメリカは、ベトナム戦争があり、1963年にケネディ大統領の暗殺され、日本では1964年に東京オリンピックが開催、1968年には黒人の公民権運動の指導者だったキング牧師が暗殺され、ストーンウォールの反乱がおきた1969年にはアポロ11号が初の月着陸を成功させています。

「ある少年の告白」の告白でも、性的指向やジェンダー・アイデンティティの変更を目的とした「矯正治療(コンバージョン・セラピー)」を受けたゲイの青年について描かれていましたが、これは2000年代のお話し。

今から50年ほど前のことなら、尚のこと偏見は激しかったでしょうねぇ

映画「ある少年の告白」あらすじネタバレ&感想|性的指向は矯正治療で治すものなの?性的指向やジェンダー・アイデンティティの変更を目的とした「矯正治療(コンバージョン・セラピー)」での回顧録が基になった映画「ある少年の告白」を観てきました。もっと早く観ればよかった、と思ったほどいい映画でした。...

映画「ストーンウォール」ざっくりあらすじ

画像引用元:IMDb

高校生のダニーは、心寄せる同級生ジョーと車の中でいちゃついているところを他の同級生に目撃され、翌日学校で噂になっていたと共に、父親からも叱責され、いたたまれず町を出ていきます。

入学が決まっていたコロンビア大学のあるニューヨークへ。

グリニッジ・ヴィレッジのクリストファー・ストリートで、貧しいゲイの若者たちと親しくなり、居場所を見つけたものの、警察によるゲイたちへの激しい暴行を目の当たりにします。

ダニーは、ゲイのレイに連れられて行ったバー「ストーンウォール・イン」でダニーと出会い、ダニーの家に転がり込み同棲がスタート。

やっと落ち着いた生活ができるようになったかと思いきや、ある日「ストーンウォール・イン」でダニーが他の若い男性とキスをしているのを目撃し、ダニーの所を飛び出します。

通りを歩いていたダニーは、売春の斡旋をしているエドの画策で誘拐され、お客が待つホテルへと連れていかれてしまいますが、それを助けたのがゲイの友人レイ。

その夜、「ストーンウォール・イン」に、警察が踏み込み捜査にやってきて、逮捕される者、店の外に出される者が大勢いて、店の中も外も大混乱。

そんな中、ダニーは「ゲイ・パワー!」と叫び、レンガを窓ガラスに投げつけ、それが引き金となって大きな暴動へと発展していきます。

それから1年後のダニーの様子までが描かれています。

ネタバレ感想

ダニーは、見かけはフツーの男子だけど、好きになるのは男性。

たった50年前のことだけど、1960年代当時、アメリカでもまだゲイやレズビアンは「精神病者」扱いをされていたようです。

当時は、アメリカよりヨーロッパの方が同性愛者に対する理解が進んでいたんですって。

舞台になった「ストーンウォール・イン (Stonewall Inn)」というゲイバーは、今でもクリストファー・ストリート53番地に残っていて、毎年6月最終日曜日には「ストーンウォールの反乱」の日に因んで、LGBTのパレードが実施されています。

画像引用元:IMDb

クリストファー・ストリートと七番街アベニューの交差点を中心とした半径数ブロックには、同性愛者らのコミュニティが形成されていて、1950年代には既にゲイバー「ジュリアス」を始めとして、数軒のゲイバーが存在していたそうです。

日本の作家:三島由紀夫氏も亡くなる少し前に「ジュリアス」を訪れたと言われています。

何でも最初に行動を起こす人、それは違うと声を上げる人、自分たちの権利を主張する人、すごいと思います。

そうした声や主張の全てが正しいわけじゃないし、認められるわけでもないけど、「ま、いっか」「しょうがないか」「言ってもわからないし」みたいな気持ちで行動を起こさなければ何も変わりませんものね。

ダニーと幼馴染ジョーの微妙な関係

主人公のダニーは、映画の中だけの架空の人物ですが、同級生のジョーが好きで、ジョーは彼女がいるものの「させてもらえない」という理由から、ダニーの口を利用していたんですね。

そこを同級生に見つかっちゃうわけ。でも、彼女がさせてくれないからって、ダニーの口を利用するって、ちょっと都合よすぎやしませんかねぇ

学校で問題になったときも、ジョーはダニーにそそのかされたと言い訳をして、全てをダニーに押し付けます。

そんな過去があっても、ダニーは久しぶりに故郷に帰ってきたとき、最初にジョーに会いに行くんです。そして「愛してた、多分今も」と告白します。

ジョーはすでに結婚していて、その告白を受け入れるわけじゃないんだけど、当時のジョーはダニーがそれほど真剣だったことに気づいていなかったんですね。

だからと言って、ダニーを利用していたことの言い訳にはならないけど、2人が無言でガッチリとハグをしたことで救われた思いでした。

ゲイたちの悲惨な生活

画像引用元:IMDb

ニューヨークへ行ったダニーは、おネエのレイと出会ったことで、とりあえずの寝床は確保したものの生活は荒れていきます。

優秀な学生だったのに、ゲイだってことだけで、将来の可能生がつぶれてしまうじゃないか?と、それがおばちゃんとしては心配でたまりませんでしたね。

今では、先進国ならそれほど白い目で見られることはなくなったでしょうが、LGBTの4割近くはホームレスだという現状もあり、世界の国の半分近くは、同性愛を犯罪としています。

おネエのレイも、母親は不明、父親は刑務所の中、祖母は病死という境遇で、自分でも今の暮らしから抜け出したいと思っていながらも、体を売って生計を立てていく以外の方法を見つけられないんです。

頼る家族もいないし、学校にだってまともに行ってないとなれば、暴力を受けようと、見下されようと、彼らには他に生きていく術がないわけです。これ、辛い・・・

腐った警察官たち

ダニーがクリストファー・ストリートについて間もなく、パトカーがやってきて警察官たちによる「ホモ狩り」のような理由のない取り締まりが行われ、ダニーは二人の警官の餌食になってボコボコにされます。

警察とゲイバーを仕切っているマフィアはずぶずぶ。まああああ、酷いんだってその警官たちったら。

日頃のうっぷんやストレス、性欲までゲイたちにぶつけていく感じ。自分たちにだって、大事な人や子どもがいるだろうにね。そーゆー人間って、クズです。

でも、腐った人間を利用する腐った人たちはたっくさんいるわけで、弱者は権力や力のある腐った奴らに利用されちゃうんですね。

人のことなんて、どーでもよくて、自分が得することしか考えてない。ダニーを誘拐して売り飛ばしちゃったエドってのが、まさにそんなヤツ。

ところが、正しいことをする人も現れるから世の中捨てたもんじゃない。腐っていない警察官も登場します!ま・・あまり使えなかったけどね。

立ち直ったダニー

ストーンウォールで先頭を切って警察に抗議をしたダニーでしたが、やっぱり賢いのよね。しっかりと自分の将来を考えたのだろと思います。

画像引用元:IMDb

ダニーには、彼がゲイであることも全部知ったうえで応援してくれていた妹がいました。何ができるわけでもないけど、自分を理解して応援してくれている存在は、きっとダニーの中で大きな支えになっていたはず。

「ある少年の告白」でもそうだったけど、息子がゲイであることをイチバン受け入れがたいのは父親なんですね。

もし私の息子がゲイだったら、そりゃあ戸惑うし悩むだろうけど、息子であることには変わらないし、そんなことで愛情は全く薄くはならないけどなぁ。

ダニーのお母さんも同じ。父親の手前、意見は言わないしダニーをあからさまにかばうようなこともしないんだけど、心配している様子、心の中では許している様子がわかるんです。

人は、自分を大事に思ってくれている存在があれば、リスタートできるんだろうね。

まとめ

配信サイトで観たドラマの中にも、同性愛者はたくさん出てくるな、と思い出しましたよ。
Netflixドラマ「WHAT / IF 選択の連鎖」では、主人公リサの兄マルコスがゲイの恋人と同棲していたし

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hulu「ロック・アップ スペイン女子刑務所」では、主人公マカレナに思いを寄せるリソスがレズビアンですし。

...

今思い出せたのはそのふたつだけだけど、もっとあったと思います。邦画でも「おっさんずらぶ」が話題になっているし、今ではひとつの文化?違うか?になっていますものね。

ただ、年齢によってとらえ方は違うかもしれません。

それは性差別だけでなく、人種差別も然り、国に対する感情も然りなんだけど、いじめだって差別だからね。

人は、潜在意識に人より優位に立ちたいという願望があって、それが差別的行動や発言の源になっていると考えられるわけで、だとしたら「差別」という意識はなくならないのかもしれません。残念だけど。

でもね、映画は非常に生き生きと描かれていて、悲惨な出来事はたくさんあっても重たくない作品に仕上がっています。