映画「シンプルフェイバー」は、ウディ・アレン監督「カフェ・ソサエティ」にも出演していたブレイク・ライブリーがとってもかっこよかった!
個人的に非常に好きなタイプの女性なので(私も女ですが)、ブレイク・ライブリーのハンサムぶりを見ているだけでも価値のある作品でしたねぇ。
「a simple favor」というのは、「ちょっとした頼み事」という意味で、まさにこの物語は、ステファニーがエミリーから「ちょっとした頼み事」をされたことで、事件に巻き込まれます。
アナ・ケンドリック演じたステファニーとブレイク・ライブリー演じたエミリーの対象的なキャラクター、環境、価値観、衣装なども見どころになっています。
あらすじや感想はネタバレを含みますことをご了承くださいね。
対照的な女性を演じていた二人
シングルマザーのステファニー
夫を事故死で亡くしたシングルマザーのステファニーを演じていたのは「アナ・ケンドリック」
ミュージカル調の「ピッチ・パーフェクト」でアカペラグループ「ベラーズ」のリーダー役だった時の印象が強く、今回の作品でも同じように責任感が強いんだけど、どこか空回りしちゃってる女性をコミカルに演じています。
そう、サスペンス作品ではあるけど、コミカルなんです。
学校行事にも積極的に参加しようとするいい母親なんだけど、ママ友には嫌われるタイプだと思うわね。はっきり言って空気が読めないもんだから、やる気やら熱意を伝えたいのはわかるんだけど、それが高じて言わなくてもいいことまで言っちゃう。
動画でレシピや生活の知恵をブログ配信しているんだけど、ある日のレシピが「ズッキーニとチョコチップのクッキー」って、これアメリカでは一般的なのかしら?
でも、食欲はそそらないわよねぇ。
そして、学校行事に持ち込んだ料理は「肉が入っていないミートボール」肉が入っていなきゃミートボールと言わないでしょ?
一生懸命だけど、どこかベクトルが違う方向に向いてる感じ。おせっかいで、よく言えば面倒見のいいヤツなんだけど、ちょっとうざいタイプ。
ママ友にこういうタイプがいたら、少なくとも私は少し距離を置くかな。距離を置くということは、親しくはなりたくない!ってこと。
そんな中、子どもがきっかけで正反対のタイプのエミリーと仲良くなるわけ。
キャリアウーマンのエミリー
作家の夫と息子の3人家族。NYのアパレル企業で広報部長をしていて、うんまぁー素敵な家に住んでるのよっ。
さすが、アパレルブランドの広報部長をしていらっしゃるキャリアでございますよね、的なクールでスタイリッシュで、まるで生活感がないインテリア!めっちゃ好みでしたね。あのインテリア。
メイキング映像にもあるシーンだけど、エミリーは靴から登場しちゃうわけ。しかもその靴が非常に印象的。ポインテッドトゥで飾りが付いていて、ルブタンのように底が赤い。
その靴がポルシェから出てきちゃうんだから、オシャレよねぇ~。もうちょっと語らせて!
でもって、大雨だから傘をさしているから最初は顔が見えないのよ。傘を上げて顔を見せると、きゃー更にカッコイイ!メンズライクなストライプのスーツに合せたハットをかぶっているんですもの。
そのハットがこれこれ!似合うのよねぇ。しびれる。自分もこのハットを・・なんて勘違いして探したくなったほど好きだったわ。
あらすじ
子どもを介して親しくなったステファニーとエミリーは、お互いの家を行き来するようになり、ある日エミリーから子どもを預かってほしいと「a simple favor」の連絡を受け、自分の子どもと一緒に学校から連れ帰ったステファニー。
だけど、数日たってもエミリーは戻らず、連絡も付かず、結局エミリーの夫:ショーンが警察に失踪届を出すわけ。
エミリーを心配したステファニーが、自分がやっていた動画配信のブログでエミリー失踪の情報収集を始めると、エミリーが借りたらしい白い車をミシガン州で見たという情報が入り、警察とショーンが確認に行くと湖からエミリーの死体が上がってしまうの。
傷心のショーンと息子をこれまでの流れとご縁で助けるステファニーは、ショーンといい仲になっちゃうわけだ。まあ、身近にいる人となにがしかの出来事を共有すると、人は共感性を持った生き物だから、恋愛関係に発展するってのはよくある話しよね。
ただ、エミリーとステファニーは、全くタイプが違うから、傷心の中で救いを求めるかのように恋愛関係になっちゃうと、後から面倒なことになったりしないか?とは思ったけど。
で、やっぱり!面倒なことになるわけだ。
エミリーの息子が「ママと会った」と言い出したり、片づけたはずのエミリーのクローゼットに元通り服が揃っていたりで、エミリーは生きている?でも、湖で死体を確認したし・・・という恐怖の謎に包まれるステファニーとショーン。
友達が亡くなってすぐに友達の夫とねんごろになるなんて、二人とも後ろめたいしね。
さて、そこから空気を読めない少しうざいステファニーが、颯爽と真相に迫っていくわけだ。意外と行動力あるのね。その原動力はどこから来てるの?っていうくらい、動き出す。
そして、遂に真相にたどり着き、エミリーは生きていたんだけど、何故エミリーが生きていたか?まで書いちゃうと映画を観る楽しみがなくなるので、是非劇場で!!
映画の始まりは、ハンサムウーマンだったエミリー、ちょっとダサいけどいい母親だったステファニーが、結末にはこの写真に象徴されるような立場やキャラクターの変化があるわけ。
そこに至るまでの二人のあれやこれやが、実に興味深く、劣勢だったように見える関係性も何かがきっかけで一気に優位に立つこともあり得ると人間関係の深層心理を感じるかな。
二人の女性の衣装も見どころ
「ふたりともとても頭がいいけれど、まるで鎧のようなものの陰に隠れている。だからその点を考慮した衣装にした。ステファニーというキャラクターはDIYが大好きな活発な郊外のママ。だからファッションスタイルもそういう感じにしたの。でも自分が陰謀に巻き込まれていると気づくにつれ、暗い色調の服装になっていく。
一方のエミリーは正反対で、メンズっぽいスーツをトレードマークとしてポール・フェイグ監督のようなファッションにしたわ。パワフルで戦略家みたいな雰囲気を出したかったから。この物語は人は見た目ではわからないということを描いているから、どちらもどこか謎めいた雰囲気を出したかったの」
オフィシャルサイトより
と、衣装を担当したレネー・アーリック・カルファスが、インタビューで語っているのね。
確かにそうなのよ。
はっきり言っちゃうと、ややダサめのステファニーは、空気読めないキャラがそのまま服装にも表れているような能天気な感じ。
最初にエミリーと出会って家に遊びに行ったときは、子どもっぽいピンクのニットを着用。
対するエミリーは、ポルシェから降りてきたときに着ていたスーツのジャケットを脱いだ姿。このままでも十分カッコイイのよねぇ。
感想
ミステリー作品ではあるけど、コミカルなシーンがちょいちょちぶち込まれていたのは、2015年にジェイソン・ステイサムが出演していたコメディ『SPY/スパイ』の脚本、監督、製作を手がけたポール・フェイグの作品と知って納得。
『SPY/スパイ』は、ゴールデン・グローブ賞の作品賞にもノミネートされたんだけど、個人的にはジェイソン・ステイサムを”間抜けなスパイ″として描いていたから、ジェイソンさんの魅力が全然生かされていないと感じ、好きになれない作品だったのよね。

夫の死後、保険金で息子とふたりで暮らしてきた専業主婦の能天気ステファニーが、ブログ動画を駆使して事件の真相にまで迫っちゃうという行動力と洞察力にブラボーだったかな。
エミリーの夫と男女の関係になっちゃうけど、後に「身体だけの関係」と言われても、ショックは受けるものの、あまり動じないのは見事だったわね。基本、こういうタイプの女性は芯が強いのかも。
エミリーは、過去の出来事が彼女の価値感や判断力を培っていたことが少しずつステファニーによって明らかにされていくのね。動機が何であろうと、犯罪は絶対にダメだけど、誰しも人に知られたくないことや過去はあるし・・
女同士の友情は、すごく脆いもので、大人になってからの友人というのは、自分の子どもの頃のことは知らないわけで、礼儀として過去やプライベートなことは、相手が話さないうちはあまり聞かないことが大人としてのマナーかも、と改めて思ったかしらん。
まとめ
個人的にはサスペンス要素より、家のインテリアや2人の女性のというよりエミリーのファッションを楽しんだ作品だったかな。
どうしてエミリーの死体を確認したのにエミリーが生きていたか?ということについては、タネを明かしちゃうと「なぁーんだ、そっか」という程度のことなんだけど、いつでも一生懸命なのに、なんだかコミカルになっちゃうステファニーのキャラのお陰?で、女性向けの気楽なサスペンス作品に仕上がっているように感じました。
残酷なシーンも殺人のシーンもないので、普段はサスペンス作品を観ない、という女性にもおススメです。