1973年に自叙伝小説「パピヨン」を基にスティーブ・マックイーン主演で映画化された「パピヨン」のリメイク版を鑑賞してきました。
個人的には、パピヨンを演じたチャーリー・ハナムと、ちょっとヘタレなバディ:ルイ・ドガを演じたラミ・マレックがとっても良かったです。
確か、スティーブ・マックイーンの作品も観たような気がするんだけど、あまりに昔でほぼ記憶にありません。
脱獄物は大好きですが、印象に残っているのは「アルカトラズからの脱出」「ショーシャンクの空に」、それとドラマの「プリズンブレイク」かしら。
脱獄はいけないことなのに、観ているうちに脱獄の成功を応援しちゃってるんですよね。
リメイク版の「パピヨン」は、肉体派の逞しいパピヨンと、ひ弱で頼りないけど知性派ルイの静かな友情と役割分担も見どころです。
それでは、映画「パピヨン」のあらすじを綴ってみたいと思いますが、ネタバレしていますことをご了承くださいませね。
作品の概略
〈1931年、パリ〉「狂乱の時代」の終焉。
胸に蝶の刺青を入れていることから “パピヨン”と呼ばれた男は、無実の罪で終身刑を言い渡され、フランス領ギアナのデビルズ悪魔島に送られる。
周囲を海に囲まれた、この島は脱出不可能な場所として知られ、囚人達は人権をはく奪され、過酷な強制労働を科せられていた。
絶望と死が支配する場所で、自由と希望を求めて足掻くパピヨンは、志を同じくする紙幣偽造の天才ドガと出会い、やがて二人は奇妙な友情で結ばれてゆく…。
本作は、アンリ・シャリエールの原作小説と、ハリウッドの赤狩りに反対したトランボの脚本の両方を基にしており、73年版にはなかったパリでのエピソードも追加されている。
パピヨンとルイ
パピヨン
チャーリー・ハナム
1980年生まれ、イギリス出身の俳優。代表作は「パシフィック・リム」。個人的には、Netflixオリジナル映画の「トリプル・フロンティア」が好きです。

インスタグラムを見ていると、アングルや表情でブラッド・ピットに似ている?と思うような写真もありまして、無駄のないシャープな肉体が美しく、かなり好きかも。
金庫破りを生業としていて、その腕は超一流。ある日、ポン引きのルグランを殺害した罪で捕まってしまいますが、どうやらそれは仕組まれた罠だったらしい。
あっという間に終身刑が確定し、船に大勢の流刑者が詰め込まれ、島流しに。日本でも昔は、島流しってありましたよね。死刑じゃないけど、もう戻れませんよ!的な。
それはそれは劣悪な環境の船で、きっと臭いんだろうなぁ~と思って観ていました。
パピヨンは、長年の投獄生活にくたびれた印象になっていくんだけど、どうしても脱獄を諦めない。何故、そこまでエネルギーを保っていられるのか?と考えると、やっぱりは冤罪だったのかも、と思うわけです。
ルイ・ドガ
ラミ・マレック
1981年アメリカ出身。チャーリー・ハナムと同年代なんですね。両親はエジプト人。そうです!「ボヘミアン・ラプソディ」でフレディ・マーキュリーを演じて、一躍有名になった俳優ですね。
ただ、この作品は「ボヘミアン・ラプソディ」より前に撮られているので、もしかして「ボヘミアン・ラプソディ」があれだけ日本でヒットしたから、この映画を上映することにしたのかしら?と若干、穿った見方をしちゃいましたけどね。
偽札、偽債権などの偽造によって捕まったルイ・ドガ。裁判をすればすぐに釈放されると信じていたけど、そんな甘いもんじゃない、と感じ、肉体派のパピヨンと相互協力しあいます。
もしかすると、これは脱獄映画じゃなくて、二人のバディムービーかもしれない、と思うほど、強固な関係性を築いていきます。
賢いんだけど、小柄で気弱でポンコツなルイと、肉体派で腕っぷしも強く、悪の世界での経験があるパピヨンとのコンビがなかなかイカしています。
映画のラストで描かれているように、ルイ・ドガはデビルズ島からの脱獄はせず、15年の禁固刑を終えた後、フランス領ギアナで余生を送ったそうです。
あらすじ
その1 島流しは怖い
囚人の人格なんて、ないに等しい扱いです。労わるとか、尊重するとか、人としての尊厳を認めるとか、なんというかそういった全てのことがない世界です。
刑務官も、何故そこまで無情でいられるのか?と思うほど、囚人に対する扱いが雑です。ぞんざいなんです。
きっと、そんなモン、という世界だったのかな。
島流しされた囚人たちには、毎日厳しい強制労働が待っています。ルイ・ドガは、小柄でひ弱なので、強制労働に耐えららない、そこをさりげなくパピヨンがかばいます。
パピヨンの狙いは、ルイが持っていると噂されている大金。ルイは、お金を自分のお腹の中に持っていました。
そう・・・飲み込んで島へ持ち込んでいるんですよ。ヘタレなのに、やることは大胆じゃん!と思いましたけどね。
その2 パピヨン最初の独房へ
脱獄を計った囚人が、逃げ込んだ森の中で看守を殺害してしまったことで、ギロチン刑になってしまい、その死体をかたずけることになったパピヨンとルイ。
ふたりで森の中、死体を運んでいる最中に、ルイが錯乱状態になって暴れ出し、付き添っていた看守がムチでシバキ始めるんですね。
思わず、その看守を石で殴ってしまったパピヨンは、マズイ!と脱走を図りますが失敗。
看守を負傷させたことで、2年間の独房入りが決定。話す相手もいなければ、やることも全くない2年。精神的にやられてしまう人、弱ってなくなってしまう人がほとんどの中、パピヨンは生き延びます。
それに協力したのがルイ。
食事は、全く実が入っていないスープだけ。それも汚れたブリキの鍋に入っています。食べたくないよねぇ~。
その3 半分のココナツ
ある日、差し入れられた水が入ったバケツの蓋を開けてみると、そこには半分にカットしたココナツが入っていました。
ルイが、配膳係を買収して入れていたんですね。
パピヨンは、毎日ココナツを食べることで、弱っていた体がめきめきと回復し、毎日筋トレをして、まるでサナギが蝶に孵化していくかの如く蘇ります。
体脂肪率一桁に違いない!と思える強靭な肉体に仕上がっていきます。でも・・・ココナツ半分で、そんなに回復するのかしらん?
ところがある日、看守にココナツが入っていることがバレ、誰の差し金が言わないと食事を半分にする、と所長に迫らますが、パピヨンは口を割りません。
男気あるよねぇ~。本当はどうだかわからないけど、映画の中では、何気にパピヨンって、正義感やら義理堅さがあるんです。
サナギから蝶に孵化したかのようだったパピヨンですが、食事を半分にされ、あっという間に瀕死の蝶に。
その4 バディ再会
2年の独房生活を生き延びたパピヨンは、病棟に移送され、そこでルイと再会。
ルイの錯乱状態が引き起こしたパピヨンの独房入りでしたが、全く恨んでもいないし、ココナツを差し入れた件についても口を割らなかったパピヨンをルイは労わります。
友情ですよ。そうは言っても、よほどの根性がなきゃ乗り越えられない試練ですよ。家族もいないし、他に頼る人がいない彼らは、もはやかけがえのない、失いたくない存在ってことだと思います。
そして再び、脱獄を計画します。
その5 脱獄再び
仲間を二人加え、パピヨンとルイはボートも手配して無事、海に出て嵐に合った後、助けられて陸に着いていました。そこはコロンビア。
シスターがいて、現地の人がいて、助かった!と思ったのもつかの間、捜索班が追ってきていました。チクったのはシスター。
脱獄した囚人が流れ着いたら、連絡するのは当たり前ですけどね。でも何故か、チッ、親切そうな顔してシスターがチクったのかよ、と思っちゃいましたけど。
そして遂にデビルス島へ移送されます。
着いた島は、もう地獄のような気配。こんなところで生涯を終えるのなら、脱獄か死しかないよね、と思わされる雰囲気。
その6 遂に!
悪魔の島と言われているけど、映画で描かれていたそこは、今まで過ごしていた監獄よりずっと自由な感じ。部屋は広く、鉄格子もなく、庭へも自由に出入りできます。
そうは言っても、周りは180度海。どうせここから逃げられっこないよね、という前提なのでしょうか。
だけど、パピヨンはやってのけちゃいます。
毎日海を眺め、潮の流れを見つめ、観察していました。そして、潮の流れに乗っていれば、必ず陸地にたどり着く!という結論に達し、実行に移します。
ものすごく簡易ないかだを作って、ゆらゆらと潮の流れに任せる・・という、成功した方法は、実に単純で簡単な方法だったんですね。自然に逆らわない、ということが何事においても大事!ってことでしょうかしらね。
感想
ラストシーンで、パピヨンが崖から海に飛び込むシーンがあるんですけど、実際のデビルス島は割とフラットな島なんですね。
ほら!この画像は、Wikipedeiaの「デビルス島」から拝借しましたが、断崖絶壁がありそうな島じゃないですよね?
まあ、そこは映画ってことで!紺碧の海に飛び込み、自由を手に入れる印象的なシーンを作ってみました、ということだと思います。
ナポレオンもここに収監されていたんですね。
ものすごく稚拙な感想だということを承知のうえで告白しちゃいますが、あまりに監獄の環境が劣悪で、私は絶対無理!こんなところに入れられるくらいなら、罪は犯さないと心に誓いました。
とは言え、今の時代にそんな環境の監獄が日本に存在するとは思えないけど、あの時代には日本でもそう変わらなかっただろうと思います。
収監されている中でも、モノを言うのはお金。ほとんどのことがお金で解決出来ちゃいます。
今でもそうした事実はあるでしょうし、一般人が知らないだけの賄賂や贈収賄なんてのは、きっと日常茶飯事なはず。改めてお金の威力を感じます。
デビルス島に移る前にいた監獄の所長は、暑い地域だからか、いつも麻の白っぽいスーツを着ているんですね。
囚人たちは、元の色がわからなくなっているほど汚れた服を着ている中で、その存在を誇示しているかのように真っ白に目立っています。
自分から手を下し白いスーツが汚れるような行為は絶対にしないんだけど、言葉で囚人を徹底的に威圧していました。
この映画のおススメは、ふたりのバディかな。個人的には、パピヨンの正義感や義理堅いところがとても好ましかったし、チャーリー・ハナムには今後も注目したい!です!
