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ドラマ「アウトブレイク感染拡大」ネタバレ感想|人のエゴが混乱をきたすってこと

U-NEXTで、全10話のドラマ「アウトブレイク感染拡大」を鑑賞してみました。

新型コロナウイルスの蔓延を予言した衝撃のパニック・スリラーと書いてあるけど、まあ映画やドラマのキャッチコピーってのは少々煽ってますよね。

とは思いつつ見始めましたが、学ぶべきことはいっぱいあったように感じます。

それでは、感想を綴ってみたいと思いますが、ネタバレも含まれますことをご了承くださいませね。

作品概略

原題:Epidemie
製作年:2020年
製作国:カナダ
キャスト:ジュリー・ルブレトン、ガブリエル・サブラン
監督:ヤン・ラヌエット・チュルジョン
脚本:アニー・ピエラール他

2020年1月から3月までカナダTVAネットワークにて放映されたテレビシリーズ。第1話放送が1月7日と、日本で新型コロナウイルス感染者が確認される以前のこと。

中国で最初の感染者が発見されるよりも前の2019年に撮影されている。

ざっくりあらすじ

画像引用元:IMDb

カナダのケベック州モントリオールで未知のウィルス【CoVA】によって流行し始めた病。感染源はどこなのか?

緊急衛生研究所の所長であり感染症の専門医でもあるアンヌ・マリー・ルクレールは、チームで未知のウィルスの正体を解明しようと奔走する。

致死率の高いウィルスによって、マリーの夫が務める病院の医師も不眠不休の対応に追われる。

1度は終息したかのように思われた【CoVA】だったが、新たな感染者が見つかり、そこから感染源が特定されることになる。

感想

正に今、世界中が翻弄されている新型コロナウイルスによる感染症そのものを描いたようなドラマでした。

作品の中のウィルス【CoVA】も、発熱・咳に始まり、重症化すると肺に及び死に至る病であるところも同じ。

ただ、新型コロナウイルスより致死率が高く、もし今猛威を振るっている新型コロナももっと致死率が高かったら・・と思いながら鑑賞しているととても恐ろしい。

作中での新型のコロナウイルスは、通称【CoVAコヴァ】と命名されていますが、コロナウイルスというのはそもそもウイルスグループのひとつであり、SARSもコロナウイルスの仲間なので、作中で「コロナウイルス」と呼ばれていることに対して「予言」的な感想を持つのは間違いかと。

緊急衛生研究所の所長であるマリーは、日ごろから手洗いを徹底していて、外のウィルスを家に持ち込まないよう玄関先で靴を脱ぐことが家のルールになっているのは、専門家らしい設定です。

画像引用元:IMDb

こうした感染症が爆発的に広がると、専門家や医療従事者の人たちは、本当に大変な日々を送ることになるわけで、一般人の私たちができることは、そうした人たちの負担にならないようできる限りのことをしつつ生活することだと改めて痛感します。

一般人とは比べものにならないレベルの感染リスクの中で働いているわけだし、そうした人たちがいるからこそ感染しても治癒に至ることができるわけで、それを考えたら医療従事者の家族を差別するなんてことは、人の道に大きく外れたろくでなしのすること、と感じます。

元気に生活していると、医療従事者や専門家たちがどれほど大変なのかを理解することができないけど、こうした作品の中で垣間見られるのは、意味のあることかもしれません。

イヌイット族の患者

最初の感染者は、公園で暮らしているイヌイット族。

イヌイット (Inuit) は、カナダ北部などの氷雪地帯に住む先住民族のエスキモー系諸民族の1つ。「イヌイット」はカナダに限定して使うこともある。

Wikipediaより

今作を観ているとカナダ在住のイヌイットは路上生活者が多いようで、それによって差別的な扱いを受け、イヌイット族から最初の感染者が出たことで、イヌイット・ウィルスという通称が広がっていきそうな気配をマリーは心配していました。

路上生活者のイヌイットの中で感染は広がり、最初は生活環境が悪いことが原因と思われていたものの、治療に当たった医師に感染してしまったことで警戒が強まります。

その対応だって、もうすでに差別ですけどね。

COVAに感染したイヌイット族のアラシーは、健康保険証も持っていないし病院に行ってもまともに対応してもらえず、亡くなってしまいます。

その死因に不信感を抱いた従妹のネッリは、マリーを助けて感染症予防と解明に奔走することになります。

ドラマの中でもやっていたこと

感染症の広がりで、マスクを買い求める人が殺到し、マスクが不足しだすと、不正に入手して高値で商売する人が出てくるし、人の多いところで咳をしている人に向かって「咳をするな!」と喧嘩が始まります。

そして、病院には重症患者が増え、電車移動を避ける人が車で移動することで道は渋滞し、飲食店にはお客が来なくなります。

こうした現象は、正に今世界中で起きていること。

その様子をリアルに作中で見ていると、とても恐ろしいし、自分だけが助かればいい、自分は無事でいたい、という人のエゴが強烈に垣間見られます。

ユーチューバーからはウコン茶がコロナに効くと発信されて、人々はウコン茶を飲んでいればコロナに罹らないと思うようになったりと、噂やネットの恐ろしさも感じます。

広報が政治をコントロール

突然、猫の手も借りたいほど忙しくなってしまった緊急衛生研究所に、公安大臣のローランが専任の広報担当を連れてやってきます。

この広報担当のファブリスってのが、イヤなやつでねー。ことごとくムカつくんですよ。ローランの腰ぎんちゃくで、マリーを軽んじている感じ。

そして、マスコミへの発表もローランや国のイメージを損なわないような策を講じるわけです。

画像引用元:IMDb

きっと日本でも、いや世界中でこうした画策が日常的に行われているんだろうな、と感じます。

だとしたら、政府の発表ってのも100%信じることはできないし、じゃあ国民は納税の義務をきちんと果たしているのに、正しい情報を受け取ることもできないのは不公平じゃないか?と思いますね。

立場を利用した不正

ゲイであるローランは、恋人との間に子供を持つため、代理母をお願いした友人フランソワーズが妊娠中にCOVAに感染してしまいます。

元々は、フランソワーズの息子グザヴィエが罹患していたものの、息子は自然治癒。だけど、グザヴィエのお友達にもCOVAが広がっていました。

ローランは、承認されていない研究途中の薬が手に入るものの重篤患者全てに行き渡らないことを知り、病院関係者を懐柔してフランソワーズに使わせます。

だけど、その甲斐もなくフランソワーズは死亡。

これを見ていると、加計学園問題や森友学園疑惑を思い出します。

全てが明らかになることはないだろうし、どんな世界でも不正はあるのだろうけど、結局は権力や財産を持っている人が得をするんですかね。

ウイルスの発生源

このドラマでは、コウモリが持っていたウイルスが、フェレットを介して人に感染した設定になっています。

同じコロナウイルスによるSARSは、2005年に中国のコウモリから多数発見されたことから、SARSコロナウイルスはコウモリ由来の可能性が高いとされています。

私は東京育ちですが、子どもの頃は夕方になるとコウモリが飛んでいたような記憶があります。コウモリって怖いのね。今でも東京にコウモリっているのかしら??

こうして動物を介して感染する可能性はあるわけで、例えウイルスによる感染症が流行していない時期であろうと、外から帰ってきたら必ず手を洗うべきだし、出所がわからない生物は触らない方がいいってことです。

まとめ

まだまだ感染が広がっている新型コロナですが、基本的に守らなければいけないことをみんなで守っていきたいものです。

先日、ひとりでスパに行ったとき、若い女性3人のグループがいて、大きな声で談笑していたんですね。お風呂なのでマスクもしていないし、彼女たちだけじゃなく他の人もいたので、もうちょっと気遣うべきかなと感じました。

若い子たちは重症化リスクが低いけど、無意識のうちに他の人に移す可能性もあるわけだし、親の立場からはそうしたことを子どもたちにしっかりと伝えることが義務でもあります。

なんだか、ぎすぎすしたイヤな世の中になっちゃったな、とも思うけど、人間は賢いので、きっと試練を乗り越えて新しい道を切り開くと信じています。

単なるパニック・スリラーではなく、なかなか学ぶことも多い作品でした。