実話を基にした作品

映画「記者たち」は「バイス」とセットで観るのがオススメな理由&ネタバレ感想

「記者たち」の活躍によって、暴かれた政府のウソ、謝罪に追い込まれたニューヨーク・タイムズ。

間違っちゃったよね、とか、ごめんなさいね、とかでは済まないレベルの話しだけど、世の中にはこんなこともおこり得るんだよ、情報を鵜呑みにしちゃいけないんだよ。

ということを改めて心に留めておくべきだ!と痛感する映画です。

実は、映画「記者たち」は、ネットでチケット予約をしていたけど、当日は咳がひどくて、他の人の迷惑になると思い、泣く泣く断念した作品。

リベンジです!

SNSというツールで様々な発信ができる今の時代、トンデモないことをやらかすヤツもいるし、ウソとわかっていて発信するヤツもいる。そして、それを拡散するヤツもいる。

じゃあ、どうやってウソと見抜けばいいんですか?ってことだけど、それは受け身でいちゃいけないって事かしらね。

映画「記者たち」で政府の発言にウソがあるんじゃないか?と感じた記者たちは、自分たちの目と耳と足で情報を集め、精査し、真実にたどり着いているわけだから。

この映画は、ブッシュ政権で副大統領を務めていたチェイニーを描いた「バイス」とセットで観ると、違う側面からイラク戦争が理解でき、更に面白いと思います。

それでは、その理由と感想を綴ってみようと思いますが、ばっちりとネタバレしますことをご了承くださいね。

作品の概略

アメリカ政府の巨大なウソい立ち向かい、不屈の精神で真実を伝え続けた新聞記者たちの知られざる実話を映画化した作品。

イラク戦争の大きな理由となっていた大量破壊兵器の存在に疑問を持ち、真実を追い続けた記者たちの奮闘を描いた実録ドラマです。

アメリカの大手新聞社は、こぞってイラク戦争へ踏み切った大統領の発言を指示している中、ただ1社ナイト・リッダー社だけがそこに疑念を抱き、真実を追い続け奮闘するすがたを描いています。

キャスト

「スタンド・バイ・ミー」を手掛けたロブ・ライナー監督作品。ロブ・ライナー監督は、作品の中でナイト・リッダー新聞社のワシントン支局長ジョン・ウォルコットを演じている。

ロブ・ライナー監督は72歳。部下からも信頼されていて、包容力と統率力がある支局長のジョン役は、ロブ・ライナー監督にぴったり!だったな。

ジョナサンとウォーレンが書いた記事を校正して「自分たちが理解できる記事じゃなく、読者に理解できるように書け」と言って二人に戻したとき、「さすが支局長!」とふたりは尊敬の眼差しだったからね。

作中で、モデルになった記者たちが、撮影現場でアドバイザーを務めていたそう。

画像引用元:IMD

左の写真は、向かって左側が記者のジョナサン・ランデー、右は、ジョナサンを演じた「ジェームズ・マースデン」右の写真は、右側が記者のウォーレン・ストロベル、左はウォーレンを演じた「ウディ・ハレルソン」。お疲れさまですっ!

元従軍記者でジャーナリストのジョー・ギャロウェイを「トミー・リー・ ジョーンズ」が演じているんだけど、思わず「Boss缶コーヒー」を思い浮かべちゃうのは、きっと私だけじゃないよね?

原題の「Shock and Awe」は、「衝撃と畏怖」になるので、邦題のサブタイトルとして使われている。

バイスとセットで観るのがおススメな理由

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映画「バイス」は、ブッシュ政権で副大統領を務めていたチェイニーを基にした実話作品。

2001年9月11日におきたアメリカ同時多発テロにより、アメリカ政府はイラクを疑い、「イラクのサダム・フセインは大量破壊兵器を保有している」ということが、イラク戦争の開戦理由のひとつになった。

そこに至るまでのブッシュ大統領や、パウエル国務長官、チェイニー副大統領の実際の映像が、映画の中で使われている。

「バイス」でも使われたパウエル国務長官の発言映像については、後に本人が「人生最大の恥」と述べている。

「バイス」では、政府の目線でイラク戦争が始まるまでの経緯が描かれ、「記者たち」では、裏付けがない情報であることの証拠をつかみ、どうにか開戦を阻止できないものか、というジャーナリストの視点で描かれている。

セットで見ると、当時の様子やイラク戦争が開戦されてしまったことへの理解がより深まり、例え政府の発言であっても全てが真実とは限らないこともよくわかる。

と思うのは私だけじゃないようです。こんなツイッターを見つけました。

感想

その1 ドキュメンタリーは感想が難しい

こうした事実を基にしたドキュメンタリー映画は、感想がとっても難しいといつも思いつつ書いています。

実際、9.11の悲惨な映像は目に焼き付いているし、イラク戦争が開戦された事実も知ってはいるけど、詳しく知っていたわけではないから、私としては、へー!とか、そうなんだー!がテンコ盛りなわけです。

へー!とか、そうなんだー!を事実と違わないように、間違ってお伝えしないように気を付けなくちゃならないから、非常に気を遣うわけです。

せっかく読んでくださっている人に、故意ではないにしろ、間違った情報をお伝えしちゃ、それこそイラク戦争になっちゃうからね。気を付けなくちゃ!

その2 負傷した退役軍人の青年

映画は、イラク戦争で負傷し、車椅子生活になった退役軍人の青年の証言から始まるのね。

その青年に対して、議長が「起立して右手を上げ宣誓せよ」と言うのよ。車椅子だってばっ!しかも、車椅子だという情報は事前にわかっているだろうに、青年が着くべき場所には、ご丁寧に椅子が置いてあるわけ。

このシーンがもう、上の者たちは、両目を開いて庶民の生活を見てないよね、という暗示だと思ったわね。

青年が、数字で自分が体験したことを説明していく中で「ひとつだけ質問があります。いいですか?」と聞くの。そのひとつの質問は「何故、戦争を?」と。

そうよね。自分は何も悪いことはしてない。だけど、戦地に赴くように命令され、戦地に向かい戦い、そして負傷して帰ってきて車椅子。自分の子が同じ目にあったとしたら、どう思う?それでもやっぱり戦争は是ですか?

Vietnam Veterans with Washington Monument.jpg
By Hu Totya投稿者自身による作品, CC 表示継承 4.0, Link

ここは、ベトナム戦争戦没者慰霊碑。映画の最後に、車椅子の青年が両親と共にここを訪れるのね。

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この映画は、個人的な2018年作品のベスト3に入る!と思っている作品。

で、話は元に戻るけど、映画の冒頭でイラク戦争の実際の映像が流れ、その時に戦地に赴いた子を持つお母さんが「こういう映像が流れると、息子がいるかもと思って目が離せないの」と言うのよ。

母の気持ちを思うと、胸が痛いじゃないのっ!

しかも、政府が主張していた大量破壊兵器は、イラクからひとつも見つからなかったというお粗末さ。まあ、政府の狙いは他にあって、イラクと開戦するために必要なでっちあげだったのかもしれないしね。

その3 ナイト・リッダーワシントン支局長ジョン・ウォルコットのセリフが泣ける

ナイト・リッダー新聞社のワシントン支局長ジョン・ウォルコットは、部下たちに

「我々は、他人の子を戦争に送り出す人々の味方になるのではなく、自分の子を戦争に送り出さなきゃならない人たちの味方でなければならない」

と力説するシーンがあるんだけど、これはセリフではなく、本当にジョン・ウォルコットの発言だそう。

傘下の新聞社からは記事の掲載を拒絶されたり、匿名の脅迫メールが届いたりと、孤立したナイト・リッダー社だったけど、ジョン・ウォルコットの信念によって、真実を追求する方向性は変わらなかったし、結局はそれが正しかったわけよね。

政府高官やそれに近い立場の人たちからも記者たちは情報を聞き出すんだけど、しゃべっちゃうほうは、本当なら黙っていなくちゃいけない立場だったりもするわけ。

じゃあ何故、しゃべっちゃうのか?と言ったら、それはもう全ての人が、間違いを正したい、ウソだということを知ってもらって開戦を避けたい、という思いから。

都合のいい情報だけを残して、自分たちにとって都合の悪い情報は破棄しちゃう場面は、バイスでも描かれていたわね。

まとめ

最後は実際の映像が数々流れるんだけど、泣けちゃうのよね。ホント!戦争って無意味だな、と思う。国の犠牲になっていい命なんて、ひとつもないと私は思うのよ。ということを、この映画を観た人がみんな感じてくれて、その輪が広がればいいなぁ。

最近、実話に基づいた作品が多いけど、日本でもすっぱ抜いてくれないかなぁーと思っちゃうよね。

森友とか、沖縄とか、オリンピックとか、絶対に何かあるはず!と思っているのは私だけじゃないはず。最近の日本政府、日本の国会議員頼りないと思わない?

と、文句言うなら選挙は行かなくちゃね。アンド、くれぐれもSNSでアホな発信はしないように!