実話を基にした作品

映画「ハミングバードプロジェクト 0.001秒の男たち」はイカれた実話だった!ネタバレ感想

ノンフィクション作家のマイケル・ルイスが、実際にあった光回線プロジェクトの実態を描いた「フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち」が基になった映画「ハミングバードプロジェクト 0.001秒の男たち」を鑑賞してきました。

いやー、疲れました。

豊かになるためにあらゆる発明や工夫がされているわけだけど、人は便利に慣れすぎちゃっていないか?と感じるこの頃。

豊かになるための発想が悪いわけじゃないけど、この映画を観ていると、もっと心豊かに暮らせる世の中の方が幸せじゃないか?と感じます。

映画の中に、移民当時の生活様式を守るため電気を使用せず、原則として現代の技術による機器を生活に導入することを拒んで生活している「アーミッシュ」かな?と思われる人たちが出てきます。

物欲にまみれて生活している私には、その人たちの主張が、心が洗われるような気がしましたしね。

もしかしたらこの映画は、自然と共生することの大切さも教えてくれているのではないでしょうか。

今作の背景にある実在した会社やその創業者の解説に続き、感想を綴っていますが、若干ネタバレも含みますことをご了承くださいませね。


映画の概略

株取引で年間500億円以上の儲けを確実に手にするため、あるプロジェクトを実現させた男たちを描いた実話をもとにしたドラマ。

ニューヨークで株の高頻度取引を進めるトレス・サッチャー社で働くヴィンセントと、従兄弟のアントン。株の取引はミリ秒単位の差で莫大な損得が発生するため、彼らの会社もその遅延を減らすべく、システム構築に必死に取り組んでいた。

ヴィンセントは、カンザス州にあるデータセンターとニュージャージー州にあるニューヨーク証券取引所のサーバーまでの直線距離1600キロに光ケーブルを敷くプロジェクトを思いつく。これによりアクセス時間が1ミリ秒の短縮となり年間500億円以上の収益が見込めると確信したヴィンセントは、アントンとともにプロジェクト実現のために走り出すが……。

「ハミングバードプロジェクト 0.001秒の男たち」映画.comより

実際にあった光回線プロジェクトの実態を描いたのが、マイケル・ルイスの「フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち」

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち (文春文庫) [ マイケル・ルイス ]

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リーマンショック以降、電子化と規制で一変したウォール街。二軍投資銀行に勤めるトレーダーのブラッド・カツヤマは、何故か株を買おうとすると値段が逃げ水のようにあがってしまう事に気づきます。

リサーチを始めたブラッド・カツヤマは、そこに投資家を出し抜く超高速取引業者“フラッシュ・ボーイズ”の姿があることを突き止めます。

巨大システムの詐欺と実態を暴いたノンフィクション小説です。

著者のマイケル・ルイス氏は、アメリカのノンフィクション作家・金融ジャーナリストで、ブラッド・ピット主演で映画にもなった「マネー・ボール」は、ベストセラーになっています。

画像引用元:Wikipedia

興味深いのは、基になった本を書いたのはアメリカの作家ですが、映画はカナダとベルギーの合作。監督であり、脚本も担当したのはモントリオール出身のキム・グエン。

主演は、「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ。

直線光ファイバー構想を進めたスプレッド・ネットワークス社とは?

映画ではシカゴからNYを結ぶ光ファーバーとされていますが、実際にはシカゴの先物およびオプションが取引される「シカゴマーカンタイル取引所の本拠地」から、ニューヨーク州の隣にあるニュージャージー州カーテレットのナスダックデータセンターの本拠地までの827マイル(1,331 km)を走るケーブルラインとなっています。

2007年にそこを直線で結ぶアイデアをスプレッド・ネットワークス社の創立者であるダン・スパイビーが考案。

このライン計画については、Netscape Communications Corporationの前CEOであったジェームズ・L・バークスデールが、ほぼ完全に個人的な資金で構築されていたそうです。

2009年初頭まで、競合他社に情報が漏れないよう、極秘で敷設予算3億ドルの建設がすすめられます。

ダン・スパイビーは、2009年1月から2014年6月まで社長を務め、2014年6月から2018年2月のZayo買収までCEOを務めていました。

2017年には、アメリカのビリオネアでもある投資家ジョージ・ソロスも株式を保有するZayo Group Holdings, Inc.が1億2,700万ドルでスプレッド・ネットワークス社買収の正式契約が締結されています。

感想

その1 儲け話はそれぞれの意地でもあった

ひと言で言っちゃいますと、人はお金と夢に踊らされる、って感じでしょうか。

直線で光ファイバー回線を引くことは、0.001秒という訳の分からない単位の時間だけ早くアクセスできることが、株の取引で莫大な利益を生むことになるという、儲け話に乗っかることからこの計画がスタートします。

そして、映画でその0.001秒早い光ファイバー回線を引くことを実行するのがヴィンセント。

0.001秒早くするためのシステム開発をしているのが、ヴィンセントの従妹である天才アントン。

ヴィンセントもアントンも儲け話に乗った!ところからスタートしているのかもしれないけど、映画を観る限りでは、二人はそれぞれの意地や自分の力試しや、誰にもできなかったことを成し遂げる夢に向かっています。

その2 人間はもう少し不便を受け入れるべき

1600キロを直線で結ぶため、1万件以上の土地買収をしなければなりません。そして、その直線上には国立公園もあります。

山の中では木々を伐採し、国立公園の中であっても権力にモノを言わせ、掘削の許可を取ってしまいます。

山の木を重機で次々と伐採していくシーンは、これで人が便利になったとして、金持ちがより金持ちになるためのシステムが構築され、それでいいのだろうか?と感じます。

お金はお金のある所に集まります。通常なら、国立公園の中に重機が入るなんてことはないだろうけど、権力に物を言わせれば、お金が行きかえば不可能なことも可能になっちゃうわけです。

この映画の基になったノンフィクション書籍は、金融界の闇を暴くためのものだったかもしれないけど、映画はもう少し不便な生活になっても、自然と共生した生き方をしようよ、と語りかけているようです。

また話は逸れますが、海洋プラスチックが問題になっていますよね。

プラスチックが発明され、便利に使われ始めた頃は、2000年代になったときこんな問題になるだろうことは想像もしていませんでしたもの。

今は便利に思えることでも、将来的に予測不能な影響を与える可能性が、全ての便利にあるかもしれないってこと、もっと考えるべきでは?と私は思っています。

スイマセン、いつも話が脱線しますよね。戻ります。

その3 自分は偉い!と思っている人に偉い人はいない

天才アントンは、直線光ファイバー回線プロジェクトに参加するため、以前勤めていた会社に辞表を出します。

ところが、それに怒ったのがアントンの上司エヴァ。私が大事に育ててやったのに!私と一緒に仕事しているのがあなたにとって一番の幸せ!私の所を去ったら絶対後悔する!的な暴言吐きまくります。

注:セリフは全く覚えていないため、こんな感じだった、という感覚で書いていますことをご了承ください。

部下にもえらっそーなしゃべり方だし、威圧的だし、いつでも自分が一番!みたいな態度はムカつきます。こーゆーヤツは絶対に人望はありません。

で、エヴァはヴィンセントとアントンが密かに進めているプロジェクトを察知し、アントンを訴えて仕返しをするんです。

こーゆーヤツはプライドが高いですから、自分を出し抜いて有利な条件で同じ仕事を進めるだなんてことは許せないんだな。きっと。

でもね、アントンは天才ですから、エヴァに仕返しをされてしょんぼりなんてしちゃいませんから!ここ、かなり痛快でした!

そのアントンですが・・・

その4 アントンはターザンだった!

アントンを演じていたのは、「ターザン:REBORN」でターザンだったアレクサンダー・スカルスガルド。

こちらがターザンのアレクサンダー・スカルスガルド。

そして、こちらが今作のアントン。

すごすぎます、この落差?とでも言うのでしょうか。俳優ってすごいです。

アントンは天才のオタク。いつでもPCの前に座っているので、猫背で首が前に出ちゃってます。どこから見てもコンピューターオタク。この人があのターザンだった!なんて、信じられません。

個人的には、「ターザン:REBORN」は好きな作品だし、ターザンを演じていたアレクサンダー・スカルスガルドは、とてもかっこよかったですから。

今作では、アントンに0.001秒の短縮、という使命が課せられています。そこをクリアするために、ホテルに缶詰めになり、誰にも合わず家族に連絡を取ることもせず、作業に没頭するんですね。

でも、そんな環境が精神的にも肉体的にもいいはずはなく、追い詰められていく様子が手に取るようにわかります。

それはアントンだけではなく、次々とトラブルが起こることでヴィンセントも精神的に追い詰められていきます。

その5 抜きんでて金持ちになるためには

ヴィンセントたちのプロジェクトは、成功すれば巨万の富を得るかもしれません。だけど、そこに至るまでは、常軌を逸した様々なことをクリアしていかなけばなりません。

世の中の富豪と言われる人たちは、凡人ではとても耐えられないような常軌を逸した何がしかを成し得た人たちなのかも、とこの映画を観て感じました。

ヴィンセントと同じことをしたら、あなたも金持ちになれるわよぉぉぉと誘われたとしても、私には無理だもん。だから凡人なんだなぁと思いました。

まとめ

ヴィンセントもアントンが、プロジェクト成功にのめり込む熱さを感じて、鑑賞後は若干疲れていたかも。

疲れるほどのめり込んで観ていたってことは、それほど映画が面白かった!ということです。

映画鑑賞が何よりの気分転換であり、世界を広げてくれる唯一無二の楽しみなので、何を鑑賞しても想像と違ったかなということはあっても、あまりがっかりしたりはしませんけどね。

「ターザン:REBORN」を観たことがある人は、是非アレクサンダー・スカルスガルドの変身ぶりと、天才であるが故の紙一重になっちゃうギリギリを見て欲しいかな。

画像引用元:IMDb