イギリスとフランスの合作による映画「ガーンジー島の読書会の秘密」を鑑賞してきました。
最近は、本を読む人が少なくなっているため、街の小さな書店がどんどんなくなっていると耳にします。
幼少期から読書は私の生活の一部だったほど本が好きだったのに、動画配信で映画や海外ドラマが見られるようになってからは、本を読む時間はものすごく減っています。
そんな自分への反省も込めて、「読書会」というタイトルに惹かれて選んでみた作品です。
知らない世界、知らない文化、知らない習慣にあふれている洋画は、私にとって、手軽な現実逃避。つかの間、映画の世界に浸ることで、気持ちがリセットできたりします。
それは読書も同じ。
視覚で確認できない小説は、想像力の世界になるため、自分の好きなように妄想が膨らませられるので、同じ小説を読んでいても、人によって頭の中に描いている世界には違いがあるかもしれませんからね。
映画を鑑賞して、原作を読むこともあります。激しくおすすめなのが「ドラゴンタトゥーの女」の原作である、スウェーデンの「ミレニアムシリーズ」
これはホント!寝るのが惜しくなるほど面白いです。

それでは、映画「ガーンジー島の読書会の秘密」の感想を綴ってみたいと思いますが、ネタバレも含みますことをご了承くださいませね。
Contents
作品の概略
【あらすじ】
第2次世界大戦直後のイギリスの島を舞台に、ある作家が魅了された読書会をめぐるミステリー。
第2次世界大戦中、イギリスで唯一ナチスドイツに占領されたチャンネル諸島の1つであるガーンジー島。
そこに暮らす人々の支えとなっていたのが、島での読書会とその創設者であるエリザベスという女性の存在だった。
人と人の心を本がつないだ事実に強く興味を抱いた作家のジュリエットは、読書会に関する記事を書こうと島を訪ねるが、島にはエリザベスの姿はなかった。
読書会のメンバーと交流をしていく中で、ジュリエットは彼らが重大な秘密を隠していることに気づいてしまう。
フランスとイギリスの合作。「スリー・ビルボード」を手掛けたプロデューサー陣が再びタッグを組んだ作品。
「スリー・ビルボード」は地味だけど、非常にいい映画でした。お時間ありましたら是非!
ガーンジー島ってどこ?どんな島?

イギリスの王室属領であるガーンジー島は、フランスのちょこっと上にあり、タックス・ヘイブンに対応していて、法人税は0%から30%までの間で納税者が自由に選ぶことが可能。
1940年7月から1945年5月9日まではナチス・ドイツによって占領されていた歴史があり、今作はナチス・ドイツから解放された直後に主人公のジュリエットが「ガーンジー島の読書会」に興味を持ち、島に渡って、占領中に起きた事件の顛末を知ることになる物語になっています。
感想
ジュリエットが、読書は「避難所」と言います。ドイツ軍が占領していたガーンジー島では、養豚家から飼っていた豚を取り上げ、ジャガイモを食っとけ!とバラバラと芋を投げてよこします。
そんな状況下で、本を読むことは心の避難所になっていたことでしょう。
物語に心を寄せることで、その時だでは厳しい現実から目を背けることができます。
1冊の本が縁を取り持ち、エリザベスと言う女性が主催していたガーンジー島での読書会に興味を持った作家のジュリエットは、島に渡り、読書会に参加させてもらいます。
読書会の主旨に興味を持ったジュリエットは、タイムズに記事として書きたいと申し出るものの、読書会メンバーから断られてしまいます。
理由を尋ねても、はっきりしたことは教えてもらえなかったため、ジュリエットは調べ始め、読書会のメンバーが語りたがらなかった秘密を知ることになりますが、それは戦争がなかったら起こり得なかった悲しい出来事でした。
その秘密を調べるために、婚約者にはちょっとだけ行ってくる、とガーンジー島に渡ったにも関わらず、長期の滞在になってしまうんですね。
なかなか帰ってこないジュリエットを心配した婚約者のマークは、ガーンジー島にやってきます。
そこでマークが目にしたのは、読書会のメンバーでもあり、ジュリエットが島に渡るきっかけになった手紙を書いたドーシ―という男性と親しく話しているジュリエットの姿。
オフィシャルサイトには、ジュリエットがガーンジー島の読書会の秘密をひとつひとつ解いていくミステリーとあったけど、これはジュリエットが本当の恋を見つけるラブストーリーかも。
マークは、婚約者としては十分に魅力的ではあるし、一緒にいて楽しいし、頼りになる存在ではあるけど、胸を焦がすほどの思いを抱いているわけじゃなかった、ということをドーシーと出会ってわかっちゃったんですね。
きっと、ドーシーと巡り合わなければ、ジュリエットはマークと結婚していたかもしれません。
そして多分、それなりに幸せに暮らしていたかもしれません。
だけど、運命の人に出会っちゃったわけです。
読書会の秘密を紐解く過程は、ジュリエットとドーシーの恋が生まれるきっかけになっていたってわけです。
ラブストーリーは苦手ですが、今作はラブストーリーに主軸があるわけではなく、結果的に「あ!ラブストーリーだったかも」と思えただけなので、必要以上のいちゃいちゃがないため、最後までうんざりすることなく観ていられました。
ラブストーリーが苦手なのは、人のいちゃいちゃに興味もなけりゃ、それでときめくこともないからですが、そんな風に感じちゃうのは、おばちゃんになっちゃったからかもしれません。
ドーシーのことを「ダディ」と呼ぶ少女:キットがいて、キットは、ガーンジー島からいなくなってしまったエリザベスが残した娘。
だけど、キットの父親は、島を占領していたドイツの軍人でした。
当然、エリザベスの恋は、親に反対されたし、島の人々からも敵意のある噂でエリザベスのことが語られています。
恋は盲目ですから、相手がどこの国の人であろうと、どんな人種であろうと、親が反対しようと、その時は誰の言うことも聞けなくなります。
全ての意見を理解することはできても、その意見の通りに自分の行動を改めることはできないんですよね。
その結果、自分に災難が降りかかるだろうことを想像できたとしても、恋のブレーキは全く作用しません。
ただ、エリザベスが島を出なくてはならなくなったのは、彼女の正義感が仇になってしまったから。その理由を知ると、やるせなくなります。
そして、理不尽な戦争は、2度と繰り返されてはならない!と激しく思います。
もしかしたら、この映画は、観ている人に改めてそんなことを感じて欲しいという思いが込められているのかもしれません。
読書会の秘密も、エリザベスがいなくなった真の理由にも悲しい事実はあったものの、ラストは重くなく、よかったね!という幸せな結末が待っています。
きょうの出来事
映画とは全く関係ないんですけどね、きょうは映画を観ている最中、突然スクリーンが真っ黒になり中断してしまったんです。
映画館のスタッフが、劇場に入ってきて「トラブルがあったため、対処していますので、少しお待ちください」と説明していました。
暫くそのまま待っていると「消えたところから再生します」とスクリーンが復活しましたが、上手に再生箇所が出てこなくてお客さんから文句が出てしまいました。
「先に送ったら内容がわかっちゃうじゃないか!お前はバカかっ!」って・・・
おじいさんが怒鳴ったんだけど、言われた人のことも考えてあげて欲しかったかな。腹が立つのもわからなくないけど、大勢の人の前で「バカ呼ばわり」されたスタッフは、気の毒です。
文句があるなら、個別にスタッフに申し出るべきだったと私は思うし、「バカ」はやめて欲しいですよね。聞き苦しいです。
映画が終わって退場するとき、全員に無料招待券が配られました。映画館だった故意にやったわけじゃないだろうし、無料券はもらえたわけだし、怒りって周りの人も不愉快にしますしね。
歳を取ったら、人生経験が豊かになった分だけ、周りの人に優しくあるべき、と私は思うんだけど、どうかしら?無理かなぁ?