映画「ゴールデン・リバー」鑑賞してきました。
金の採掘は、一攫千金。当たれば大きいですけどねぇ。まあ、現実味はありませんよねぇ。
今でいえば、FXとかビットコインってことになるかしらね?どちらも怖くて私は手が出せませんけどね。
映画の舞台は、カリフォルニア・ゴールド・ラッシュに沸いていた1851年。ちなみに、ロケ地はスペイン・ルーマニアだそうですけどね。
カリフォルニア・ゴールド・ラッシュは、コロマのサッターズミルで金が発見された1848年1月24日に始まり、アメリカの全国のみならず、海外からも30万人ほどがカリフォルニアに集まってきたんですって。
そんな時代の中、「ゴールデン・リバー」は、金を見分ける「予言者の薬」を作る化学式を発見したという、ウォームを追う殺し屋兄弟の旅を軸に描かれている作品になっています。
あらすじはオフィシャルサイトに詳しく書かれているので、今回は感想を述べたいと思いますが、ネタバレ含みますことをご了承ください。
Contents
作品の概略
時はゴールドラッシュ、アメリカはオレゴンのとある町に、最強と恐れられる殺し屋兄弟がいた。
彼らは一帯を仕切る権力者からの依頼で、仕事仲間の連絡係と共に、黄金を見分ける化学式を発見した化学者を追いかける。
だが、黄金に魅せられた4人は、立場を超えて手を結ぶことにする。黄金を元手に暴力や貧富の差のない理想の社会を作りたい化学者、そんな彼の夢に心酔する連絡係、普通の平穏な暮らしに憧れる兄、裏社会でのし上がりたい弟─それぞれの思惑を抱きながら、遂に黄金を手に入れる4人。
その時、彼ら自身も知らなかった本当の欲望があふれ出す──。
キャスト解説
画像引用元:オフィシャルサイト
日本の公開では、4人の男たちにスポットが当たっていますが、どちらかというと兄:イーライと弟:チャーリーの兄弟が主役。この二人に旅の途中で、残りの二人、ウォームとハーマンが絡んできます。
話しはちょっと逸れますが、どうも映画と同時に俳優さんたちのインスタグラムも調べちゃうんですが、役柄と違ってインスタに掲載してある写真は、みなさんどれも素晴らしくカッコイイ!
さすが俳優だなぁと、いつも思っちゃいますね。どうかしら?
シスター兄弟:兄イーライ
ジョン・C・ライリー
今作では、プロデューサーも務めています。「シカゴ」「アビエイター」など多数の出演作あり。
黄金を簡単に採取できる化学物質を編み出したウォームを探し、拷問をしてでもその方法を聞き出してこい、とボスの依頼を受け、弟:チャーリーと二人で旅に出ることになりますが、リーダーは弟。
そんな状況にブーブーと文句を言いつつ、チャーリーを助けながら旅を続けますが、実はもう殺し屋稼業から足を洗いたいお兄ちゃん。
チャーリーとは旅の途中で、何度もぶつかります。チャーリーの酒癖、オンナ癖の悪さに辟易としながらもチャーリーには借りがあるため、見捨てることができません。
シスター兄弟:弟チャーリー
ホアキン・フェニックス
ニコール・キッドマンと共演したガス・ヴァン・サント監督の『誘う女』(95)で初主演。プエルトリコ出身の俳優。
弟のチャーリーは、まあ粗暴です。次男にありがちな大胆さと適当さを備え、入念な計画を立てて物事を実行したりはしません。いつでも行き当たりばったり。
酒癖も悪く、いつでも酔っぱらっているようだけど、戦うと滅法強いです。
若干、頼りなげな兄ちゃんを見下している感がありながらも、結局は兄ちゃんがいないと心細いという一面も。
2019年の話題作「ジョーカー」では、極限まで体を絞り、別人のような肉体でジョーカーを演じています。

黄金へと導く化学者:ハーマン・カーミット・ウォーム
リズ・アーメッド
オックスフォード大学卒業。俳優業の他に、ラッパーとしても活躍。作家、プロデューサー、思想家、クリエイターなど活躍の場は多岐にわたっているそうです。
ゴールドを採掘するためには、気が遠くなるような作業量が必要だった時代、ハーマンは、金だけを見つけることができる化学物質を発明しちゃいます。
だけど、それによって一攫千金を狙っている悪い奴に追われる身に。金があるところに犯罪あり!ってことですね。
ハーマンは、金の採掘によって得た利益で、暴力や貧富の差のない理想の民主主義社会を作りたいという夢持っています。
連絡係:ジョン・モリス
ジェイク・ギレンホール
『ミッション:8ミニッツ』 『エンド・オブ・ウォッチ』『プリズナーズ』など、出演作多数。
ハーマンを探しす役割だったのに、実際にハーマンを探し出して話をするうちに、彼と共に夢を追う道を選ぶことにします。
やがてイーライとチャーリー兄弟が合流すると、4人は手を組んで金を採掘することになりますが、川から見つかる大量の金に目がくらんだとき事件が起こります。
原作 パトリック・デウィット
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カナダの小説家パトリック・デウィットの2011年に出版された「The Sisters Brothers」が基になっています。
日本語の翻訳版もありました。
感想
感想にはネタバレが含まれますことをご了承ください。
その1 タイトルが微妙
ひとつとても不思議だったのが、映画が始まる前にやたらスクリーンに「Sisters」「Brothers」という英語が!シスターズでブラザーズ??姉妹と兄弟って何?
と思ったら、イーライとチャーリーが「シスターズ兄弟」ってことで、日本式で言えば二人の苗字が「シスターズ」なんですよ。
原作のタイトルは「The Sisters Brothers」ですし、紛らわしいったらありゃしない。
しかも邦題になっている「ゴールデン・リバー」もちょっと紛らわしいかも。確かにゴールドが川に浮かび上がるシーンはあるし、4人が金の採掘に関わってはいるけど、この映画の本質は、違うところにあるような気がします。
4人が作品の中で金を採掘するのは、アメリカンリバーのフォルサム湖と言うことろ。決してゴールデン川というところで採掘しているわけでもありません。
ゴールドラッシュに沸いたアメリカを背景にしてはいるけど、根底に描かれているのは、シスターズ兄弟の絆や、家族の呪縛がテーマなように思います。
連絡係のモリスが「何にも縛られず自由に生きてきたつもりだけど、父への憎しみに操られていた」と旅の途中で悟るとか、
チャーリーが昔、実の父を殺していて、兄のイーライは、本当はそれは自分がやるべきことだった、とチャーリーに対して後ろめたさを感じているとか
シスターズ兄弟は、ことごとくぶつかるのに、根底には相手に対する愛情があって、見捨てられないとか。
最後に、兄弟が行きついた場所は、何年も音信不通にしていた母の所だったとか。
キャッチコピーも「夢に目がくらむ」となっていますが、確かに事件は川に浮かび上がった黄金に目がくらんだとき起こります。
だけど、それは事件が起こるきっかけになっただけで、大量に採掘した黄金を巡って醜い争いが起こったのか?と言えばそうではなく、事件が起こったのちのシスターズ兄弟を描いているんですね。
もうちょっと、内容に則したキャッチコピーの方がいいと思うんだけどなぁ
その2 でこぼこ兄弟はフランス風エスプリ?
冒頭から西部劇らしいドンパチで始まります。イーライとチャーリー兄弟が、複数の敵を相手に圧勝。お兄ちゃんのイーライは、ややぽっちゃり体型で、動き鈍そうだけど、どうやら腕利きの殺し屋な様子。
でこぼこコンビの兄弟に、腕利きの殺し屋らしさはあまり感じず、ぼっちゃりお兄ちゃんは寝ているうちに口から蜘蛛が侵入し、翌日は体中がパンパンに張れちゃうトラブルに見舞われるし
サンフランシスコの高級ホテルに宿泊したときは、初めて見た水洗トイレに大喜びするし
酒好き、女好きなチャーリーは、敵に囲まれて大ピンチ!な中、サイコーに酔っぱらってて嘔吐し、敵がドン引きするし
優しいお兄ちゃんについた娼婦がそっと「メイフィールドには気を付けて」とささやいたことで、ここは危険だと判断し、弟を探して逃げることにしたとき、弟は別の娼婦としっぱりしている最中だし
サスペンス?アクション?いや?もしかしたらコメディかも?という要素もあり、監督/脚本がフランス人のジャック・オーディアールなので、もしかしたらそれがフランス風エスプリってやつなのかもしれませんね。
堅苦しくなく、人間味あふれ、私は好きですけどね。
まとめ
きっかけは、化学式を発見したウォームを探すことだったかもしれないけど、その旅の中で兄弟は本当にしなければいけないこと、自分たちが戻るべき場所を探せたんだと私は感じました。
自分たちの雇い主の元へ勇んで駆けつけたときには、もうすでに亡くなっていた、という顛末でしたが、そこには、どうせ人は死んでしまうのだから、怒りに任せて人を傷つけること、安易に殺めてしまうことは、無駄だというメッセージかな?
とも思ったのですが、どうかしらね。
映画の解釈や好みは人それぞれですし、だからこそ楽しい。突拍子もない感想や解釈が生まれたら、それはそれでその人の感性ですから素晴らしいと思います。
あなたはどんな風に感じるかしら?