公開になったとき劇場で鑑賞したかったものの、見逃してしまった映画「ゲティ家の身代金」を、U-NEXTで見つけたので、早速視聴。
やっぱり劇場で観たかったな、と思いつつ、見るチャンスが巡ってきたことを嬉しく思いましたねぇ
昔なら、レンタルビデオ屋に出かけて行かなくちゃならなかったのに、今は家で検索して観たい作品を選び、その場で視聴できちゃうんだから、無精者の私は非常に幸せです。
ご存知かもしれませんが、ゲティ家の身代金は、1970年代に大富豪「ジャン・ポール・ゲティ」の孫が誘拐された実話を元にした作品。
ゲティ家の誘拐事件の真実やラストシーンについて綴ってみたいと思います。ネタバレ含みますことをご了承くださいね。
作品の概略
1973年、当時16歳だったジャン・ポール・ゲティの孫、ゲティ三世がローマで誘拐され、身代金を要求されるが「ここで身代金を払ってしまったら、14人いる他の孫たちにも誘拐の危険が及ぶ」と言って、ジャン・ポール・ゲティは身代金の支払いを拒否する。
そこから母:ゲイルの息子を取り返すための戦いが始まる。
大富豪の祖父は身代金を払わないと言っているが、身代金を支払う能力がないものの、母はあきらめずに息子の無事を祈って交渉する。
そして、数か月後、無事にゲティ三世は開放されるという実話を元にし、更に映画的脚色を加えた作品になっている。
誘拐事件の真実は?

石油王として大富豪になったジャン・ポール・ゲティは、女性関係もお派手だったようで、5人の女性と結婚し、5人の子どもをもうける。
誘拐されたゲティ三世は、ジャン・ポール・ゲティの4度目の結婚で生まれた三男ユージンの息子。
父親であるジャン・ポール・ゲティ・ジュニアが、ゲティ家石油事業のイタリア支部トップであった関係で、ゲティ三世は幼児期の大半をイタリアのローマで過ごし、ローマで誘拐される。
誘拐された時、犯人によって切り取られた耳は、後に再建手術を受けている。
ゲティ三世は無事保護された後、ドイツ人女性と婚約したものの、誘拐による精神的なショックからドラッグ中毒になってしまう。
そして肝不全、脳梗塞などの合併症を発症し、視力をほとんど失うなどの障がいを抱え、54歳で亡くなっている。
ラストをネタバレ
ネタバレ含みますので、ご注意くださいね。

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ラストシーンは、ポール(ゲティ3世)が無事保護されて、めでたし!めでたし!ですが、ジャン・ポール・ゲティは亡くなり、その莫大な遺産相続について弁護士から説明を受け、屋敷の遺産を整理しているシーンで終了します。
ポールを助け出すために、母:ゲイルと衝突しながらも助けてくれていたチェイスとも別れ、膨大な量の美術品を見つめる母:ゲイル。
その先に、もうひとつどんでん返しがあるのかっ?!と期待しちゃいましたが、そんなことはありませんでした。
実際にジャン・ポール・ゲティ氏が収集した美術品は、氏の亡きあと、カリフォルニアに今もある「J. Paul Getty Museum」へ。
1974年には古代ローマの遺跡ヴィラ・ディ・パピリを模したギャラリーが開設され、現在では「ゲティ・ヴィラ」という名称で古代ギリシア・ローマ、エルトリアの古代美術品に触れられる場となっています。
19世紀から1960年代までの膨大な写真コレクションも有名で、タルボットやナダール、スティーグリッツなどの充実したコレクションを誇っています。
現代美術作家ロバート・アーウィンによって設計された庭園は、憩いの場として来館者に親しまれています。
ケビン・スペイシーのスキャンダルで撮り直し!
実はいわくつきになってしまったこの作品。
すでに映画は完成していたものの、ケビン・スペイシーのセクハラスキャンダルによって、リドリー・スコットの決断により、ジャン・ポール・ゲティ役を変更して取り直しているんです。
全米公開は1か月後だったのに、当時80歳だったリドリー・スコット監督の即決で再撮影。
ジャン・ポール・ゲティ役は、クリストファー・プラマーに決まり、1週間後には撮影を開始、その2週間後には映画を完成させたそうです。
何てパワフルなリドリー監督!そのパワーがあるからこそ、素晴らしい作品が仕上がった!とも言えるのでしょうね。
ちなみに、クリストファー・プラマーは「ドラゴンタトゥーの女」に、スウェーデンの大実業家「ヘンリック・ヴァンゲル」として出演。

感想
その1 ゲティじーさんはドケチ
世界一の大富豪であるジャン・ポール・ゲティが、「ここで身代金を払ってしまったら、14人いる他の孫たちにも誘拐の危険が及ぶ」と、身代金を支払わない理由についてはわからなくもない。
事実、ゲティ家には、数えきれないほどの脅迫状や誘拐偽装の手紙が舞い込んできていたらしいですから。
孫の命がかかっていれば、普通のじいさんなら一もにもなく払いますよね?日本のお年寄りをターゲットにした詐欺行為だって、じいさん・ばあさんの孫に対する愛情を利用した悪質な犯罪ですもの。
ただ、ゲティじーさんのドケチぶりは、そんなもんじゃありません。
ホテルに泊まっていてもランドリーサービスは利用せず、勿体ないからとバスルームで洗濯するし、自宅の玄関ホールには、来客用の公衆電話を設置してあるし、挙句の果てには、最終的に身代金を支払う段階になって、節税対策を考えて拠出するんだから徹底しています。
でもまあ、本当の金持ちってのは、そうして金持ちになっていくのかもしれませんけどね。
孫の身代金は払わないけど、100万ドル以上もする欲しかった美術品は、即決&現金払いで購入!ってのは、ちっと下品じゃないか?とも思いますけどね。
その2 母は誰よりも強し!

息子が誘拐され、じーさんは身代金を払わないと言っているけど、自分には身代金を支払う能力がない。こんな苦しいことはないですよね。発狂しそうです。
それなのに、マスコミは「母が涙を見せない」と言い出すんだから、ホント最低。
しかもマスコミは、身代金を払えないでいる母の足元を見て、脅迫ネタに犯人から送られてきた「ポールの耳」と「その写真」に対してお金を出すと交渉してくる始末。
まあね、マスコミとしちゃ絶対欲しいネタではあるだろうけど、被害者の気持ちを考えないあからさまな交渉に激しくムカつきます!
その3 闇の中の一筋の情

ポールを誘拐したグループのひとり「チンクアンタ」が、マフィアにポールを売り渡してしまい、そこでポールは耳をそぎ落とされます。
「チンクアンタ」にも子どもがいて、きっと父親としての情からだと思うけど、誘拐グループの一員ではあったものの、ポールが最悪の状況にならないよう気を配ります。
最後にポールが、マフィアから追われた時もポールを見つけるものの、早く外国へ逃げろ!と言って見逃します。
チンクアンタは悪いヤツなんだけど、きっと彼に一筋の情があったからこそ、ポールは生きて戻ることができたのかも、と思ったかな。
まとめ
非常に面白く仕上がっていたクライムサスペンスでした。本当に起こったこと!として観ると、更に恐怖感が増しますね。
ありきたりな感想ですが、大金持ちってのは、何でも欲しいものは手に入るだろうけど、本当に幸せなのか?とも感じました。
貧乏人のやっかみ?ま、それでも平和に過ごせている毎日をありがたいと感じるかな。