人気のある海外ドラマはシリーズをいくつも重ねているものもありますが、女性弁護士エマが、冤罪を晴らそうと奔走するおすすめドラマ「冤罪~弁護士エマの挑戦~」は、1話46分の全6話で完結。
続きが気になって眠れなくて徹夜しちゃった・・なんてことにはならず、さっくりと見終えることができます。
かなり硬派なサスペンスですし、全体的に暗い運びではありますが、特に残虐なシーンはないので、女性にもおすすめです。
何のバックボーンも持たないひとりの女性弁護士エマが、無実の罪で収監された夫を助けて欲しいとある女性から依頼されたことから物語は始まります。
調べれば調べるほど、闇は深く、しかも見えない敵は大きな力を持っているらしい、ということがわかってきます。
息子が生まれる前に収監されてしまった男の生きる希望は、息子に会うこと。だけど、息子は殺人の罪を負った父親を父として認めたくありません。
微妙な年ごろの息子の父に対する気持ちが揺れ動く様も描いていて、ちょいちょい切なくなると共に、権力という武器を持った憎らしい敵をどうにかエマに捉えて欲しいという気持ちになります。
サスペンスなので、核心には触れずにご紹介したいと思いますが、ネタバレは含みますことをご了承くださいませね。
作品の概略
世間に憎まれる犯罪者や社会的弱者の弁護を請け負い奔走する弁護士・エマ。
ある日彼女は少女を殺した罪で収監されている男の弁護を引き受ける。
調べれば調べるほど、男にとって不利な証拠が持ちあがるなか、次第に事件の裏に隠された陰謀が明らかになる。
U-NEXT 冤罪~弁護士エマの挑戦~ より
2017年のイギリスドラマ。女性弁護士エマを演じているのは、ロンドン出身の女優:ヘレン・マックロリー。
あらすじ
エピソード1
ある日エマは、当時女子高生だったリンダに対する殺人罪で有罪判決を受けたケビン・ラッセルの元婚約者から、事件の再調査を依頼されます。
元婚約者と共に刑務所のケビンを訪ねたエマ。ケビンは無実だと訴え、自白は強要されたと訴えます。
エマは、当時の供述テープを聞いて、ケビンの無実が仕組まれたことと気づき、再調査を受けることにします。
当時、ケビンを担当したグリーンウッド刑事は、現在テロ対策指令本部所属。
エマは、シリア国境の難民キャンプにいる男性の妻エミリアを自宅に匿っていることから、テロリストの妻を匿っているとされ監視対象にもなっています。
このグリーンウッド刑事とは、今後もエマとは縁があり、いろいろな場面で絡んできます。
左がエマ、右がグリーンウッド。迫力あるんですよ!グリーンウッドさん。
エマが再捜査を進めていくうち、新たな証拠が見つかり、公判のやり直しが認められケビンは釈放されます。
エピソード2
釈放されたケビンのホテルに抗議の住民が殺到したため、ホテル側から出て行って欲しいと言われ、ケビンはエマの自宅に身を寄せることになります。
トニー・プリングスという男が、リンダのヌード写真を撮影していたことによる尋問映像で、ケビンがトニー・プリングスと関わって、更にリンダのヌード写真も入手していたことを知ります。
これはケビンにとって不利。
ここで、怪しい権力者が登場します。こいつら、絶対何か事件に絡んでるな、とは思うものの、どのように絡んでいるかはまだ謎です。
権力者を守るために、あらゆる伝手と策を講じて奔走する下っ端の女性が、すごくイヤな奴で、良心は痛まないのかっ!とムカつきます。
エマは、リンダの何枚かあるムード写真の中から、ある小さなピンを見つけ、それを調査してみることに。
エピソード3
14年前にリンダと同じようにプリングスに写真を撮られた女性と会ったエマは、写真を撮影したトニー・プリングスがアメリカ人によってある場所に匿われている事実を知り、少しずつ事件の真相に迫っていきます。
更にエマは、リンダの遺体を発掘して再捜査したいと願い出ますが、そんなことはしてほしくないリンダの両親は、選挙に出馬しているマシューにどうにかしてほしいと訴えに行きます。
労働組合の元代表だったリンダの父親からの頼みは、無下にできないマシュー。実は、マシューもリンダの事件に深くかかわっていたことが後にわかってきます。
リンダの遺体発掘の許可が下り、再度検死が行われ、新たな事実が判明します。
それにより、リンダの事件の再審が開かれることになりますが、すんなりいかないのはサスペンスドラマの常。
当然のように邪魔が入りますが、その邪魔を仕掛けたのが、権力者の下っ端オンナ:ヘザー。
リンダと同じようにプリングスに写真を撮られた女性を証人に、と思っていたエマの計画がとん挫します。
エピソード4
遺体発掘からの検死結果によりケビンが無実である証拠をつかんだエマだったが、再審はヘザーらの根回しにより思いがけない展開を迎えてしまいます。
ケビンの息子:ジェイソンも父親の無罪を信じかけていたのに、ケビンは刑務所に逆戻り。ジェイソンのがっかりした様子に胸が痛みます。
検察側はケビンに取引を持ち掛け、それを飲んだケビンは再び釈放され、ジェイソンと再会しますが、ジェイソンは無実を信じていたのに、その取引の内容に納得できなかったため、ケビンを拒絶します。
そんな状況の中、エマは自宅に匿っていたエミリアの夫に会いに行きます。
実はこれもエマのある作戦。それにより、エマは欲しい情報をグリーンウッドから得ることができます。
そして、その情報をたどってアメリカへ行き、そこで米軍警察に囚われてしまいます。
エピソード5
米軍警察に囚われていたところへ、リンダと関わった青年が内緒で情報を持ってきてくれ、その後エマはグリーンウッドの協力で無事、帰国することになります。
グリーンウッドがエマにその後も協力したことで、グリーンウッドは停職処分に。
それでも、エマは徐々に事件の核心に迫っていたが、国家の機密に関わる事柄である可能性があることがわかってきます。
リンダが事件当日、一緒にいたであろうレイチェルという人物に迫ろうと、警察に協力を求めるも、もうリンダの事件は終わった、と協力は得られません。
エピソード6
警察の協力が得られない中、リンダと一緒にいたレイチェルの母親についての情報をグリーンウッドから得られ、レイチェルの母親を訪ねたことで、エマは意外な事実を知ることになります。
そして、エマはレイチェルに会いに行きます。
事件の真相は、意外な人物の口から語られます。その人物とレイチェルも関係があり、エマも知っている人物でした。
国家を揺るがすほどの大きな事件とリンダの殺害は、どのように絡んでいたのでしょうか?
感想
先が気になって、一気に全6話観ちゃいましたね。
あらすじについては、ものすごく端折ってあるので、そこにテロリストとの関係、エマと恋人の関係、エマと父親の関係や、保釈されたケビンがどうなったか、なども描かれています。
テロリストはいらないんじゃ?とも思ったけど、それがあるからこそグリーンウッドとの駆け引きが生まれるし、6話での危機感も生まれてきます。
サスペンスは大好きなカテゴリー。このドラマは、先を見続けたいと思わせるとてもよくできたストーリーだと感じつつ鑑賞しました。
Netflixドラマの「ボクらを見る目」は、実際におこった冤罪を基にしたドラマで、ずさんな捜査と自白の強要によって有罪になっています。

日本では、取調べの録音・録画の義務化が2019年6月に施行されましたが、どうやら全ての事件が対象とはなっていないのが現実なようです。
今は科学捜査も進んでいるし、そうそう冤罪はないだろう・・と思ってしまうのは、もしかしたら警察の仕組みや事件とは関わったことがない私の短絡的な思いなのかな、と思ってしまいますね。
実際、痴漢事件でも冤罪はあるし、1度「痴漢」というレッテルを張られてしまったら、その人の人生は根底からガラガラと崩れてしまいます。
エマみたいな、どんな権力にも恐れずに挑む正義感の塊の弁護士が本当にいたらいいけど、現実的にはどうなんだろうな?と思いますしね。
原題は「Fearless」大胆不敵、というタイトルになっています。確かにエマの行動や挑戦は、大胆不敵でしたね。権力にも屈しないエマは、途中で諦めかけるものの、ケビンの息子ジェイソンの言葉に奮い立つんです。
そんなエマがとってもかっこいい!
サクッとは観られるけど、個人的には、イギリスドラマらしい重厚さを感じたサスペンスドラマでした。