久しぶりに映画館で洋画を楽しんだ作品が「ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢」
原題は「The High Note」音楽の高音、高揚感、盛況という意味。
ネクスト・ドリームは、作品の中に出てくるふたりの女性の次の夢を表しているのかな、と思います。
音楽業界がベースになっているので、まず圧倒的に作品全体に流れる音楽が魅力的。全く音楽に詳しいわけじゃないけど、思わず足が動いちゃいます。
憂鬱な気分に落ちちゃったら、この作品を観るべき!明るい気持ちになって、最後はハッピーな気分にさせてもらえますから。
それでは感想を綴ってみたいと思いますが、ネタバレも含まれますことをご了承くださいませね。
作品概略
原題:The High Note
製作年:2020年
製作国:アメリカ・イギリス合作
キャスト:ダコタ・ジョンソン、トレイシー・エリス・ロス
監督:ニーシャ・ガナトラ
脚本:フローラ・グリーソン
キャスト
マギー
ダコタ・ジョンソン
音楽プロデューサーを夢見て、グレースの付き人を3年務めているマギーを演じているのは、「ニード・フォー・スピード」「フィフティ・シェイズ」シリーズ3作、「サスペリア」等の作品に出演しているダコタ・ジョンソン。
グレース
偉大な歌姫グレースを演じているのは、ダイアナ・ロスの娘であるトレイシー・エリス・ロス。
1972年10月29日生まれ、ロサンゼルス出身。ロードアイランド州にあるブラウン大学に通い、1994年に演劇の学位を取得して卒業。
1996年にインディペンデント長編映画『ファーハーバー 』でユダヤ人/アフリカ系アメリカ人女性を演じデビュー。
ダイアナ・ロスを彷彿とさせるような、優しく滑らかな歌声。歌の才能って遺伝するんですね。
上のオフィシャルミュージックビデオで、グレースの歌を聞くことができます。
デイヴィッド
ケルヴィン・ハリソン・Jr
Bc it’s nearly impossible for me to keep mass, I needed to document a brief moment of progress. Lollll
also craving a good play to read. Drop recs plz pic.twitter.com/ZhaJr7tIeP
— Kelvin Harrison, Jr. (@kelvharrJR) November 16, 2020
マギーがスーパーで買い物をしている時に出会ったデイヴィッドを演じているのはケルヴィン・ハリソン・Jr。それが縁で彼の歌に才能を感じたマギーは、プロデュースを買って出ることになる。
ケルヴィン・ハリソン・Jrは、ブラッド・ピットが製作に名を連ねている「それでも夜は明ける」で映画デビューし、「WAVES/ウェイブス」では主役のタイラーを演じ高評価を得ている。

Netflix配信の実話を基にした「シカゴ7」にも出演。
トランペットの奏者や歌手としての才能もあり、今作でも素敵な歌声をいかんなく発揮している。
ざっくりあらすじ
ハリウッド音楽業界のトップ歌手グレースの付き人をしているマギーは、グレースの大ファンでもあり、身近で刺激を受けて働けることに喜びを感じていたが、彼女の夢は音楽プロデューサーになること。
歌姫として確固たる地位を築いたグレースだったが、長年新作アルバムを出せずにいる現状に不満は感じつつ、安定したショービジネスから抜け出せずにいた。
スーパーで知り合ったデイヴィッドに、マギーは才能を感じ真実を話せないまま彼のプロデュースを買って出る。
感想
公式サイトに「これは プラダを着た悪魔 を彷彿とさせる」とあるように、ファッション界と音楽業界という違いはあれど、トップに君臨する女性と、憧れながら失敗をしつつ成長していくという点には大きな共通点があります。
音楽業界をベースに描いている作品なので、音楽だけでも価値のある作品です。
音楽と映画って切っても切れない大きなつながりがあるといつも感じていて、シーンに合わせたバックミュージックがあることで心理的に追い詰められたり、悲しさが倍増したり、より楽しく感じたりしますよね。
今作は、全編に魅力的な音楽が溢れていてテンション上がるし、LAの青空と開放的な街並みはプチ旅行気分が味わえるし、グレースの優雅な豪邸やド派手なファッションも見どころ。
物語はシンプルだけど、最後は泣けちゃう盛り上がりを作っていて、涙腺弱くなっているおばちゃんとしてはみんなが悩みを抱えながらも前に進み、結果としてハッピーに終わったストーリーにウルウルしちゃいましたね。
マギーの夢
子どもの頃から大ファンだったグレースの付き人として、忙しくてもそつなく一生懸命仕事をこなしているマギー。
仕事に不満があるわけじゃないけど、音楽プロデューサーになる夢を捨てきれずにいます。
その思いが暴走して、時に行き過ぎた行動でグレースのマネージャーであるジャックに怒られちゃうんです。ジャックを演じているのは、ラッパーのIce Cube。
でもね、マギーは自分の夢を諦めることなく実行に移します。
それがデイヴィッドの音楽プロデュース。夢があるってものすごく素敵なことだけど、頭の中で描いているだけでは何も起こりません。
行動に移してはじめて、物事は動き始めるわけだけど、マギーの行動がまずかったのはデイヴィッドにウソをついてしまった事、そしてグレースには何も言わなかったこと。
もちろん、言えなかったんだろうけど、ひとつウソをつくとそれを隠すために更なるウソを重ねなければならなくなります。
そして、どうにもならなくなった時に本当のことを言わなきゃならなくなって、その時に信頼関係を失う危険もあるわけです。
謎の男デイヴィッド
スーパーで声を掛けられて知り合い、うちでパーティがあるから来て、とデイヴィッドから誘われて行ってみるとものすごい豪邸に住んでいるわけ。
時々、スーパーの前の広場で歌を披露したりする以外、働いている様子もないのに、何故あんな豪邸に住んでいるんだろう??とすごい疑問だったんですね。
もしかしてマギーが知らないだけで、実は大物ミュージシャンとかプロデューサーだったりして??とか、考えたりもしたんだけど、音楽に詳しいマギーが大物を知らないわきゃないしね。
その謎は、デイヴィッドの出生の秘密が明らかになったとき、ああなるほどね、と納得します。
デイヴィッドを演じているケルヴィン・ハリソン・Jrは、俳優としての才能も高く評価されているだけでなく、両親が共にミュージシャンだったこともあり音楽の才能もあって、うらやましい限りです。
彼の歌声は甘く優しく、実に魅力的。
誰かが支えてくれている
才能があってそれを人が認めてくれていても、自信を無くしたり不安になったりするんですね。
長い人生の中で才能なんてものを持ち合わせた経験がないから、そこんとこはよくわからないけど、凡人だからこそ抱える不安もあります。
そんな状況を救ってくれるのは、何気ない人の言葉や温かい対応や、寄り添ってくれていると感じられることだったりしますよね。
それを改めて感じられる作品でもあります。
グレースは偉大な歌姫ではあるけど、新作アルバムが出せず歳を取ったことで自分の時代に終わりが来ることを恐れています。
マネージャーのジャックは、新作アルバムを出すことに否定的で、安定したラスベガスでの公演をごり押ししてきます。
グレースもジャックが安定を考えてくれていることはわかっているんだけど、アーティストとしてやっぱり新作が出したいわけですよ。
その背中を押したのがマギー。
単なる付き人が越権行為だと、ジャックには怒られるし、デイヴィッドのデビューをグレースの前座にと企てたことがアダとなってマギーはクビになってしまいます。
ジャックの言うことも理解できる、クビになってしまったことも納得できる、やり方はまずかったかもしれないけど、マギーは決して自分だけのことを考えて行動したわけじゃない。
だから、後になってみんながそのことを理解してくれる時が来ます。
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すでに鑑賞した方と共有する感想
ストーリーが進むうちに「もしかしてデイヴィッドは、グレースの息子なんじゃない?」と感じたのでは?
自分の才能が認められ、望んでいた夢が叶おうとしているとき子供ができたとわかったら、あなたならどうしますか?
もちろん母として子供に愛情がないわけじゃない、だけど目の前に自分が望んでいる世界が待っているとしたら。
デイヴィッドもグレースもそれぞれの立場で葛藤があっただろうし、苦しい時を経て今があると思うんですね。
それが、最後の最後にふたりがデュエットする歌の歌詞に込められていて泣けちゃう。
デイヴィッドは歌が好きだったのに、デビューすることに積極的になれなかったのは七光りがイヤだったからという理由もあったわけです。
でも、親から受け継いだ才能は日の目を見なくちゃ勿体ない。晴れて舞台で親子関係を告白したふたりは、のびのびとしていました。
隠し事や秘密ってのは、人を窮屈にさせるし、卑屈にもさせてしまうと思うんですね。
誰にでも人に言えないことってあると思うけど、言ってしまえば「なんだ、そんなこと」ってなこともあるし、人に知られたことで気持ちが軽くなることもあります。
マギーにしてもグレースにしても、近くにいるときは相手の存在の大きさに気づいていなくて、離れてみて改めてその存在感に気づくわけです。
それって私たちにもありがちな事。
時には、自分の周りの人たちに思いを馳せたり、感謝の気持ちを伝えたりするのもいいかもしれません。
と言うことを感じた作品でした。
久しぶりに映画館で洋画を堪能し、大スクリーンと映画館の音響設備で大好きな音楽を楽しむことができてすっごく楽しかったです。
観客が少なくて若干、寂しいですが、映画館は換気の設備が整っていると言われていますので、数が少なくなっている洋画にも足を運んでもらえたら、洋画ファンとしては嬉しいかな。
私は全く音楽には詳しくないけど、学生時代から音楽と生活を共にしてきました。今作は、音楽好きな女性にぴったりな映画です。