Netflixオリジナル映画「デンジャラス・ラン」を鑑賞してみました。
これも90分ちょっとのサクッと観られる、日本で言えば火曜サスペンス劇場的な作品かな。
感想にはネタバレも含みますことをご了承くださいませね。
作品概略
原題:Dangerous Lies
製作年:2020年
製作国:アメリカ
キャスト:カミラ・メンデス、ジェシー・T・アッシャー
監督:マイケル・スコット
脚本:デヴィッド・ゴールデン
監督のマイケル・スコットも脚本のデヴィッド・ゴールデンもアメリカテレビムーヴィーを数多く手がけている。
本作でケイティを演じたカミラ・メンデスもテレビドラマを中心に活躍していて、2017年からアメリカで放送されている「リバーデイル」や2019年製作の「パーフェクト・デート」などに出演。
ざっくりあらすじ
ケイティが身の回りの世話をしていた派遣先の富豪の老人が突然亡くなり、莫大な遺産をケイティに譲るという遺言を弁護士から伝えられる。
支払いにも困っていたケイティと夫のアダムは大喜びだったが、財産相続にはいくつもの危険が潜んでいた。
ふたりは無事、財産を相続できるのか?いくつもの危険の真相は?そして犯人は?
感想
上映時間も短いし、テレビドラマやムーヴィーを手掛けてきた監督・脚本家による作品なので、気負いなく見られる娯楽作品に仕上がっています。
サスペンス要素もふんだんに盛り込まれているし、誰は犯人?何のために?という観客に謎を投げかける仕組みも整っているんですね。
日本で言うなら、火曜サスペンス劇場って感じ。火曜サスペンス劇場と違うのは、いいところでCMが入ってワクワクが中断しないところ。
サスペンス映画なので核心には触れず感想を述べてみたいと思いますが、ネタバレも含みますことをご了承くださいませね。
ケイティとアダム
深夜、ケイティがバイトしているスマイル・ダイナーで、テーブルに突っ伏して寝てしまっているアダムに「勉強してるの?」と声を掛けたケイティ。
話し逸れるけど、ダイナーの名前が「スマイル・ダイナー」ってとこが、個人的にはかなり気に入っていて、きっとこの「スマイル」という名前に意味があったりするんじゃないの?と穿った感想を抱きつつ観ていました。
でね、次のシーンでは、もう二人は車の中でイチャイチャ。その展開、早すぎやしませんか?と思いきや、どうやらふたりは夫婦だったみたい。
イチャイチャ映画が好きじゃない私は、じゃあ、そのイチャイチャシーン、いらなくない?と思いましたけどね。
事件勃発
ふたりがダイナーに戻ると、なんと!店内には強盗が!店主が銃で脅されています。床にはすでに撃たれてしまった定員が横たわっています。
ほら、イチャイチャに夢中になってるから、強盗が入ってきたことに気づかないんじゃん。入り口がふたつあるのかもしれないけどね。
そこで、アダムはフライパンを持って強盗にとびかかり、やっつけちゃいまして、強盗のガスキンは病院送りになり、後日起訴されたと言うことが後にわかります。
銃を持っている強盗にフライパンで挑むなんて、無謀としか言いようがないけど、アダムが助けなきゃ店主もやられてたかもしれないしね。
事件から4か月後
アダムは稼いで金持ちになりたいと、一生懸命勉強してきたものの、採用試験にも不合格。支払いも滞っていて、そのことがケンカのタネにもなっています。
職がないアダムを支えているのが、レナードという孤独なお年寄りの世話をするため自宅へと派遣されて働いているケイティ。
4カ月半の勤務ではあったけど、ケイティはレナードに信頼されてクスリの管理や食事の支度をしていました。
ある日、アダムと喧嘩したケイティは、家を飛び出したものの行く当てがなくレナードの元へ。そこでケイティたちの窮状を知って、助けたいと申し出てくれます。
そして、2-3年前にいつの間にか来なくなったという庭師の替わりに、アダムはレナードの家の庭を手入れするために雇ってもらうことになります。
ここまでは、レナードの人助け的精神で、若いふたりは救われました、って話しなんだけど、それじゃサスペンスにならないからね。ここからです。
レナードの突然の死
ある日、ケイティがレナードに朝食を運んでいくと、すでにレナードは亡くなっていました。
すぐに警察を呼べばいいものを、アダムはレナードのそばに落ちていた鍵を見つけ、「こりゃ、何かあるぞ」と屋根裏部屋を探るんですね。
すると出たっ!海賊船に積んであるようなトランクの底には、びっしりとドル紙幣。
ケイティは、それはレナードのものだから触っちゃいけない、とアダムに言うんだけど、アダムは札束を見ちゃったもんだから、お金に目がくらんじゃってるわけです。
ケイティの言うことなんか聞きゃあしない。
そしてふたりは10万ドルほどあったそのお金を貸金庫に隠してしまいます。
もし自分ならどうするだろうな?と考えてみました。1万円くらいならネコババしちゃってもわからないかも、という悪魔の誘惑の声が聞こえてきちゃうかもだけど、さすがに10万ドルだと1,000万円を超えてるわけで、それはネコババの対象外じゃないですか?
でも、何でレナードはそんなところに現金を置いてあったんでしょうね?この疑問は最後まで解き明かされませんでしたけどね。
いわゆる、タンス預金ってことだったのかしらね?
弁護士現る
レナードが亡くなってから、弁護士のジュリアがケイティのところへ現れ、レナードが全ての財産をケイティに譲るとの遺言書を残したと伝えます。
ケイティが「レナードはあなたとどのように知り合ったの?」と聞くと、ジュリアは「ネットを見て、私の顔が気に入ったみたい」と。
弁護士って、そーやって決めるのか?と、ちょっと不思議に感じたんだけど、いやー私もまんざらじゃないかも。このジュリアが曲者でしたね。
突然金持ちになったふたり
突然、遺産が舞い込んでリッチになっちゃったふたり。アダムは、車買う?旅行行く?と舞い上がっちゃう。
いやいや、それよりお前は仕事見つけろ!と思いませんこと?棚ぼた的な遺産を当てにして生活しようと目論んでいるような男は、早く見切り付けた方がいいよ、と思うんですけどねぇ。
どうかしら?
レナード生前中から、不動産屋だと名乗ったヘイデンという男が「この家を売ってくれ。」と何度かやってきていました。
この男も怪しい。
レナードは何度も家の中で足音がすると言っていたし、実際、ケイティも足音を聞いている。一体、足音の正体は何なのか?
大きなお屋敷の地下からは、突然死体が出てきたり、大粒のダイヤが出てきたりします。
その死体が誰のモノかは、ストーリーを追っていればすぐにわかる。だけど、ダイヤは?
疑心暗鬼になるケイティ
レナードの屋敷に引っ越してきたことで、様々なことが起き、アダムに対しても不信感を抱くケイティ。
そんな中、困ったことがあったらいつでも相談して、と言ってくれていたのが、レナードが亡くなったとき屋敷に来ていた女刑事のチェスラー。
アダムに不信感を持ったケイティは、弁護士のジュリアに助けを求めます。
ここまでくると、ケイティ以外は全部怪しく思えてきます。
結局、突然降ってわいたような財産は、持て余すってことだし、人はきちんと労働をして対価を得るという行為があってこそ堂々と生きていけるってことです。
もちろん、世の中には不労所得というカテゴリーがあり、働かなくても莫大な収入を得られる人たちもいる。
だけどそれは突然そうなったわけじゃなく、受け継がれたものだったり、それまでの努力の結果であったりと、道すじがはっきりした所得なわけです。
「あぶく銭身に付かず」って言葉があるじゃないですか。ケイティは、損得抜きでレナードに対して優しく温かく接してきた結果、孤独だったレナードの信頼と愛情によって財産相続を得たわけだけど、アダムにとっては単なるラッキーな出来事でしかない。
と言うことを感じる結末でもあります。
ケイティは、一貫してブレない正義感を持っています。それは、レナードを親身になってお世話していた様子からも伺えるし、突然の遺産相続という出来事があっても嬉しそうにはするけど、軸は変わっていないのを感じました。
ケイティはアダムには勿体ない。口先だけで支払いを約束するような男じゃなくて、もっといい人が見つかるはずだな。
まとめ
タイトルの「デンジャラス・ライ」の意味するのは「危険なウソ」だったのか?「ライ lie」には「~の状態にある」という意味もあるので、本作の場合はこっちかな。
サスペンス作品としての満足感はあったけど、ラストほうは怒涛のしまい込み方になっているので、あれ?と思うことがたくさんあったかも。
もう少し、ラストを丁寧にまとめてくれていれば、もっと見応えを感じたかもしれないのに、という残念感は残っちゃったかな。
途中、ケイティの雇い主であるカルバンが、屋敷に忍び込んで亡くなっちゃうんだけど、何故やってきたのか?どうして忍び込む必要があったのか?と言うことがわからない。
もしかしたら、どこかにそれらしき匂わせがあったのかもしれないけど、私にはわからなかったんですね。
そんなことが、ちょいちょい不完全燃焼で残っているかな。
とは言え、Stay Homeでおうち時間が長くなっている中、ちょっとした現実逃避にはちょうどいい作品だと思います。