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日本未公開映画「コップ・ハンター」|スタントマンが製作した痛快アクション洋画のネタバレ感想

U-NEXTで、スタントマンが初監督として制作した、日本では未公開のハンガリーのアクション映画「コップ・ハンター」を鑑賞してみました。

アクション系の洋画は大好きですが、U-NEXTのような動画配信サイトがあるからこそ、日本では劇場未公開のハンガリー映画を観ることができて嬉しいです。

ハリウッド映画に比べると、格段に地味ですが、わかりやすいストーリーの中に、何でだ?とか、黒幕は誰だ?とか、物語に入り込める要素が盛り込まれています。

スタントマン出身の監督ならではのアクションシーンへのこだわりも感じられ、ちょっと暇だなぁーという時にはさっくり気軽に観れる作品だと思います。

それでは、アクション映画「コップ・ハンター」の感想を綴ってみたいと思いますが、感想にはネタバレも含まれますことをご了承くださいませ。

作品の概略

原題:Cop Mortem
製作年:2017年
製作国:ハンガリー
監督:ヨージェフ・コヴァリック
脚本:ヨージェフ・コヴァリック

ブダペストで警官を狙った連続殺人事件が発生し、インターポール捜査官・ホールドンとレゼシュ刑事らは捜査に当たる。彼らが捜査を進めるうちに、犯行現場に残されていた紋章がかつてヨーロッパに存在した秘密結社「コップ・モルテム」の物だと判明する。

「コップ・ハンター」U-NEXTより

監督・脚本を担当したヨージェフ・コヴァリックは、「レッド・スパロー」「ターミネーター ニューフェイト」ではスタントを務め、監督としては初作品。

原題になっている「Mortem」は、ハンガリー語で「死語」を意味するようです。ところが「Cop」は英語です。ハンガリー語で「警官」は「Rendőrök」だそうです。

タイトルの「Cop Mortem」は、作中で昔ヨーロッパに存在した秘密結社の名前として使われています。

ちなみに、ハンガリーは中央ヨーロッパの共和制国家で、西がオーストリア、スロベニア、北はスロバキア、東はウクライナ、ルーマニア、南にセルビア、南西にクロアチアに囲まれた内陸国。首都はブダペスト。

ご存知でした?

私は地理にものすごく疎いので、ハンガリーはヨーロッパ、ということは知っていましたが、こうして調べてみると詳細を知ることができ、なるほど!映画ってのは勉強にもなるものだ!と感じます。

ざっくりあらすじ

画像引用元:IMDb

ハンガリーの首都ブダペストで、警察官二人が拷問を受けた末に殺害されるという事件が起きます。

犯人を捕まえられない中、イギリスのインターポールから助っ人としてジョンがブダペストの警察にやってくるのですが、捜査を担当しているホールドンとレゼシュは、それが気に入りません。

それでも上司の命令で、ジョンの監視役も兼ね、3人で捜査に当たりますが、ジョンはインターポールの情報を駆使して、昔々に存在していたと言われている、ある秘密結社にたどり着きます。

秘密結社と言えば、中世ヨーロッパの「テンプル騎士団」や謎多き「フリー・メイソン」辺りが有名どころですが、「コップ・モルテム」には印象的な紋章があり、そこからジョンが犯人に近づいていきます。

ところが、どうもジョンたちの情報が犯人側に漏れているようだ、ということに警察側が気づきます。

そんな中、着々とジョンたちは犯人に近づき、アジトを突き止め、主犯格の男とカーチェイスを繰り広げ、最後の最後は黒幕も暴かれます。

アクションへのこだわり?

スタント出身のヨージェフ・コヴァリック監督作品というだけあって、アクションシーンにはこだわりが感じられると共に、そこアクションいるか?と思うほどの盛り込まれようです。

インターポールからやってきたジョンは、子どもの頃に親の仕事で日本に滞在したことがあるという設定で、銭湯に描かれているような富士山をバックに、父親と空手と思わしき修行をしているシーンがあります。

ものすごく取ってつけたような気がしないではないけど、監督が空手にインスパイアされたのかもしれないし、親日家なのかもしれないし、そうであるなら、シーンの重要性なんてのはどうでもよくて、ありがたい!気持ちになります。

ハンガリーにとって、日本はきっと縁の薄いアジアの島国というイメージだと思うんですね。

だからこそ、ハンガリー人が見るかもしれない映画に日本が出てくるって、嬉しいじゃないですかっ!ね。

日本で父親とジョンが空手の修行をした後、父親が「黙想」と言って二人が目を閉じます。監督は、ご自身でも空手の経験があるのかも。いいですねぇ~。

ジョンがたどりついた犯人の情報を更に詳しく知るために、格闘技の経験者と思われる犯人が通っていたであろう道場に行ってみると、ここで決闘をして勝てば必要な情報を教えるという条件付き。

子供じゃあるまいし・・とは思ったけど、まあ男子って、そんなもんですかね。

画像引用元:IMDb

ジョンは、日本で空手も習得しているし、滅法強いので、場末の道場で練習しているレベルの男たちなんて相手になりませんっ!当然、勝利して情報を得ることができます。

ごっつい&いかつい&人相悪い暴れん坊たちだけど、約束はちゃんと守るのよね。関心です。

カーアクション、走りが長くないですか?

ジョンが逃げる犯人をバイクで追い、更にそこへパトカーや白バイが加わってのカーアクションがあります。

が!ちょっと長くないですか?とは思っちゃうんですね。自然の中の道をただひたすらバイクで追いかけるシーンは、少し長くて退屈でしたが、それだけでは終わりません。

やがてバイクは、人の多い場所へと逃げ込み、そこでもカーアクションを繰り広げます。

ハリウッド映画に慣れていると、低予算なんだろうな、とは感じてしまいますが、地味ながら工夫を凝らしてあります。

画像引用元:IMDb

ただ、パトカーは運転が下手クソです。そこで突っ込む?というタイミングの悪さというか、テクニックの稚拙さというか、そんなんを感じてしまったかな。

感想

警察官連続殺人という事件を捜査するために、インターポールからやってきたジョン。ブダペストの警察官ふたりは最初、ジョンに敵意を抱くものの、捜査を通じてジョンの能力を認め、協力し合うようになっていきます。

現場に残されたある紋章から、ジョンはひとりの男を突き止め、そこから足掛かりを見つけていきます。

ジョンが最初にたどり着いたのは、昔逮捕したパコという前科者。だけど、パコを逮捕したいきさつには、なるほど!という理由が隠されています。

何ていうか、犯罪者でありながら死守していた掟・道徳観みたいなその理由が、私は好きでしたねぇ。

パコから「コップ・モルテム」という昔の秘密結社へとつながっていきます。

もう秘密結社という言葉だけでワクワクしちゃうのは私だけでしょうか? その「コップ・モルテム」という秘密結社の歴史を知るために、大学の協力を仰ぎます。

捜査のボスが「足りないのは想像力だ」と言うんですね。

確かに、警察の捜査って、みんなが集めてきた情報をつなぎ合わせ、仮説を立ててまた捜査する、その繰り返しなわけで、仮説を立てるためには想像力が不可欠です。

ということを、ジョンの捜査の運び方に見ることができます。

この事件には、捜査情報を犯人に漏らしている黒幕がいますが、推理小説がお好きな方なら、観ている途中でピン!と来るかも。

最後まで黒幕はわかりませんが、ストーリーが展開する中でそれとなく匂わせています。

更に、警察官を拷問の末に殺害する方法に対する動機も、途中で匂わせています。こっちは比較的わかりやすいかも。

それが直接的に犯人につながるわけじゃないけど、うまい具合に辻褄を合わせています。

推理小説って、犯人がわかっていて動機や関係性やあれやこれやの辻褄を合わせて事件を解決していく方法と、事件ありきで犯人を追う過程であれやこれやがわかっていく方法の2種類ありますよね。

今作は、推理小説ではないけど、例えるなら後者です。

地味な映画だし、パトカーのカーアクションに少々難もありますが、観ながらあれこれ推理しつつ楽しめると思います。

日本未公開映画「コップ・ハンター」はU-NEXTで配信中