早いものでもうすぐクリスマスです。
毎年クリスマスシーズンになるとNetflixは、クリスマスを題材にしたオリジナル作品を発表しますが、今年は「クリスマスドロップ作戦 ~南の島に降る奇跡~」
たまには、こういう作品を観て自分の幸せを実感したり、人の幸せを喜んだり、人がしている善行を心から称えたりすることが大事だな、と思わせてくれる幸せを呼ぶ作品です。
例え不幸な状況にあろうと「私は幸せだ」と言っていると、必ず幸せになれると信じている私が感想を書いてみました。
多少、クサイかもしれないことをご了承ください。
作品概略
原題:OPERATION CHIRSTMAS DROP
製作年:2020年
製作国:アメリカ
キャスト:カット・グレアム、アレクサンダー・ルドウィグ、ヴァージニア・マドセン
監督:マーティン・ウッド
脚本:グレッグ・ロセン、ブライアン・ソーヤー
クリスマスドロップ作戦は、実際にアメリカ空軍の訓練としてグアムの支援を受け、1952年にミクロネシアを対象としてスタートした世界で最も長く続いた人道的空輸です。
第734航空機動飛行隊を含むアンデルセン空軍基地のボランティアと、横田基地第36空輸飛行隊の乗組員と航空機が作戦に参加。
グアムコミュニティのメンバーもこの作戦を支援し、ゴルフトーナメントやスポンサーランなどのスポンサー活動、個々のボックスをスポンサーする地元企業によって運営資金が調達されます。
太平洋上の米空軍C-130ヘラクレス機からカイエンジェル島の海岸の着陸ゾーンに向かって貨物が落ちる実際の画像(引用元:Wikipedia)

「クリスマスドロップ作戦」は、第374空輸航空団、横田基地、日本とのパートナーシップを含むPACAFイベントだそうで、この行事はスタートして60年以上経った今でも続いています。
ざっくりあらすじ
空からクリスマスプレゼントを配る行事を行っている、南の島の空軍基地を閉鎖したい議員からの要請で、視察し報告書を上げるため南の島に派遣された補佐官エリカ。
昇進につながるかもしれないという期待を胸に島に渡ったエリカだが、島や島民の様子を紹介してくれる大尉アンドリューについて回るうち、気持ちに変化が訪れる。
感想
いやー、こうした支援が今も日本も参加して実際に行われているなんて、世界中の人に知ってもらいたい幸せな気持ちで鑑賞いたしました。
クリスマスに相応しい、家族で安心して鑑賞できる作品です。
日本ではクリスマスは当たり前に毎年寒いわけで、ハイビスカスにクリスマスソング、という組み合わせに違和感はあるものの、青い空と青い海をバックにした南の島のクリスマスもいいですね。
解放感があります。
以下の感想にはネタバレも含みますことをご了承くださいませね。
南の島に渡ったエリカ
ワシントンDCでおつきの議員にクリスマスの買い物を頼まれ、街中を駆けずり回っていた補佐官エリカ。
行動にも考え方にも無駄がなく、まさに都会のキャリアウーマンという感じ。
それが突然、議員の任務を受け、閉鎖する方向で話が進んでいる南の島の空軍基地へ視察に向かうことになるんですね。
美しい砂浜にスーツで降り立ったエリカ。彼女を迎えに来たのが、上官の命令でエリカの案内役になった大尉のアンドリュー。
まず滞在先の宿舎を訪れると、出迎えてくれたのは極彩色のトカゲ?いもり?やもり?
どれだかはわからないけど、そういうたぐいの爬虫類。それも結構大きいし、私ならそんなヤツがいる部屋は無理!
アンドリューに島を案内され、エリカは報告書を上げるべく無駄やお金の流れ、クリスマス作戦がどのように行われるのかを調査します。
クリスマス作戦の見事な内容
閉鎖するための最もな理由が欲しいエリカは、つぶさに調べまわるんだけど、調べれば調べるほど、クリスマス作戦の素晴らしい内容が浮き彫りになってきます。
税金で特定の人にクリスマスプレゼントを贈るのはいかがなものか?という疑問に対しては、「全て島の善意で成り立っている寄付」という回答。
それを国の軍用機で運ぶってのはいかがなものか?という問いには、「低空訓練には格好の飛行になっているから訓練を兼ねている」という回答。
備品や梱包についても全てが人々の好意で集められたり、作業が行われているという現実。
実際、そうして60年以上も続いてるってすごくないですか??
ひとりで感じる幸せって、長く続かないと私は思うんですね。
例えば、寝る前に感じる幸せ、美味しいものを食べている幸せ、誰にも邪魔されずに趣味に興じられる時間、そうした幸せってその瞬間に感じるだけです。
でも、人と共有できる幸せって、ずーっと心の中に存在し続けるような、自分のパワーの源になるような気がします。
アンドリューに連れられ、ある小さな島に行ったエリカは、そこで島の人たちの温かさに触れ、子どもたちから手作りのレイをもらって、お返しにと自分が持っていた文房具を贈ります。
子どもたちの純粋な歓迎の気持ちが嬉しかったから、何かせずにいられなくなったんだと思うんです。
そーゆー気持ちって、誰にでもあるじゃないですか。でも、忘れがちですよね。
昇進のための任務だと思って意気揚々と島にやってきたエリカの気持ちが、次第に変化していくわけです。
「あんな小屋には住んでないし、私たちは藁で作ったスカートも履いていない」という海外レビューもあったりして、それって日本にサムライや忍者がいる!という認識と同じですかね?
いや違うか。
アメリカの監督領土であるグアム近辺に島々の生活を、アメリカが作品にしているわけだから、ちょっとした演出ですかね?盛り上がるからちょっと盛ってみる?的な感じでしょうか。
そう思って観るといいかもしれません。
上司がやってきた!
プレゼントを箱に詰め準備しているとき、報告書を上げろと再三催促されていたにも関わらず、やっていなかったエリカに業を煮やした上司である議員がやってきちゃうんです。
忙しいさなかにわざわざ来るか??という疑問はさておき、これはピンチです。
クリスマス作戦は中止を言い渡されてしまうし、エリカには即刻帰国の命令が下ります。
でもね、気持ちに変化が訪れ、同行してくれていたアンドリューの素朴で優しい人柄に惹かれていたエリカは、議員に対して「この作戦は、DCでの仕事より価値がある」と食い下がるんだけど、議員のひと言は冷たい。
「彼らに米国の選挙権があるの?」
それを言っちゃあおしまいだ。人がやることってのは、全てがギブアンドテイクじゃないんだって。
帰国命令で荷物をまとめていたエリカでしたが、島の子どもからの手作りプレゼントを見て、亡くなった母と過ごした温かなクリスマスを思い出した様子。
アンドリューのところへ戻り、翌朝、プレゼント作戦の準備を手伝っていると議員がやってきて、帰国命令を出したよね?と詰められます。
そこでエリカは「あなたは初当選したとき、世の中をよくしたい、社会を変える、と約束しましたよね。ここにいる人は社会を変えている」と。
さーーーーてっと、どうなるかな?
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すでに鑑賞した方と共有する感想
本当にグアムの人々の慈善活動によって実施されているクリスマス作戦ではあるけど、グアムにあるアンダーセン空軍基地が本当に閉鎖対象になっていたかどうかは不明。ごめんなさい、調べられませんでした。
もしかしたら、そこは脚色されているかもしれないし、物語として描かれているかもしれません。
1944年第二次世界大戦中に日本本土爆撃のため、B-29爆撃機用の基地として作られたという歴史があるんですね。
それでも今は、両国が協力して行っているこうした活動があることは喜ばしいことです。
議員という仕事に染まって「彼らに選挙権はない」との発言は、きっと彼女だけのものじゃなくて、多くの議員が腹の底で抱えている思いだったりするんじゃないか?と感じちゃいますよね。
大統領選真っただ中、混沌としている今回の大統領選を見ていると、アメリカのような民主主義、大国、先進国であっても不正が横行していたり、疑わしい事柄が山のように発覚するんだと恐ろしくなります。
何が正義で、何が正しくて、自分は何を選択すべきなのか、が全くわからなくなりますよね。まあ、私は日本人なので、アメリカ大統領選への投票権はありませんが。
話しは思いっきり逸れていますが、今回の大統領選は、非常に興味深かったです。
でも、今作の中のエリカの上司である議員は、エリカの言葉とクリスマス作戦で使われる軍用機に同乗したことで初心を取り戻します。
画像引用元:アンダーセン空軍基地HPより
そこが物語的なのは否めないけど、自分が間違っていても正しいことをきちんと認められる人は強いと思います。
プレゼントを投下する軍用機は全部で3機。サンタ1号から3号まで名前が付けられているのが憎いよねー。上の画像は、実際にサンタ号からプレゼントボックスを投下しているところ。
みんな素晴らしい笑顔なんですよ。観ているだけで幸せな気持ちになります。
でね、サンタ号に同乗し戻ってきた議員は、「素晴らしかった、感動した、志を思い出させてくれた、ありがとう」とエリカに告げます。嬉しいよね、すごく。
自分もそうだけど、日常の煩雑さに紛れていると、自分の信念や正義みたいなことって忘れがちです。
まあ、大した正義や信念があるわけじゃないけど、自分ルールみたいなのがゆるくなっていたり、きょうは疲れているからいっか、と思っちゃうことありますよね。
でも、きょうはいっか、と思うことに慣れてしまうと、いつの間にか自分ルールがなし崩しになってしまいます。
だから、何かのきっかけで自分の日常を振り替えることって大事かもな、と思いました。
そして、誰かの役に立っている、自分のしたことで誰かが喜んでくれた、こういう幸福感は大きい。
喜んでもらったことが自分に幸福感として跳ね返ってくるんです。クリスマスに相応しい作品だったと感じました。
エリカが島を訪れ、子どもたちと交流しているシーンは、本当の豊かさって何だろう?と考えさせられます。
モノがあふれ、平和な日常が送れる日本にいると、もっと稼いでもっといい生活をして、と思いがちだけど、それが本当の豊かさと言えるのだろうか?ってね。
幸せの定義は人それぞれだろうけど、人を笑顔にする幸せを持っていたいものだと思いました。
家族全員で見られるハッピーな作品です。