映画「ビリーブ未来への大逆転」時は1970年代。たった50年前の話し。違う?50年前って大昔かしら?
でも、私にはほんの50年前。その頃はアメリカも人種差別だけでなく、女性と男性を差別している、という認識すらなく、性差別が当たり前だった時代。
考えようによっては、50年経てばこんなに大きく人の考え方も、世の中の当たり前も変わるんだとも取れるわけで、そう考えるとどんなことも変われる可能性を秘めていると言える。
1956年当時、500人いたハーバードロースクールの学生の中で女性はたった9人。女子トイレすらなかったんですって。女子学生が学ぶなんて、考えられてなかったってことよね。
ハーバードロースクールと聞いて、「スーツ」のハーヴィーを瞬時に思い出しちゃった私は、海外ドラマかぶれかしらん。脱線・・・
絶対に勝てないと言われていた裁判に臨み、ルース・ギンズバーグが勝利を勝ち取ったことが今の時代につながっているわけで、観終わったときにはハートに小さな火が灯ったような熱い気持ちになった作品でしたね。
感想はネタバレを含みますことをご了承くださいね。
Contents
あらすじ
1970年代、アメリカ。女性が職に就くのが難しく、自分の名前でクレジットカードさえ作れなかった時代に、弁護士ルース・ギンズバーグが勝利した、史上初の〈男女平等〉裁判。
なぜ、彼女は法の専門家たちに〈100%負ける〉と断言された上訴に踏み切ったのか?そして、どうやって〈大逆転〉を成し遂げたのか?
貧しいユダヤ人家庭に生まれたルース・ギンズバーグは、「すべてに疑問を持て」という亡き母の言葉を胸に努力を重ね、名門ハーバード法科大学院に入学する。
家事も育児も分担する夫のマーティンの協力のもと首席で卒業するが、女だからというだけで雇ってくれる法律事務所はなく大学教授になったルースは、70年代になってさらに男女平等の講義に力を入れる。
それでも弁護士の夢を捨てられないルースに、マーティンがある訴訟の記録を見せる。ルースはその訴訟が、歴史を変える裁判になることを信じ、自ら弁護を買って出るのだが──。
オフィシャルサイトより
何より夫の存在がすごい!
ルース・ギンズバーグを支え続けた夫のマーティンを演じていたのが、『君の名前で僕を呼んで』『コードネームU.N.C.L.E. 』のアーミー・ハマー。
あれ?こんなに素敵だったっけ?と思っちゃったのは、役柄のせいだったかも。
どんな時も常に妻の味方、当時はアメリカでさえ、女性は家にいて子どもを育て、夫の世話をし、家を守るのが妻の役目、とされていた時代。
だけど、マーティンは料理もするし、子育てもする。そして一流の弁護士であり、妻が失意の中にある時は、優しく的確なアドバイスをする。
そんな夫いるのぉぉぉ???
私にとっては、今の時代であっても、もはや非現実的なほどに完璧な夫像。
ルース・ギンズバーグの挑戦や戦い。そして成功への軌跡は、夫の存在なしではあり得なかっただろうと思うから、ルース・ギンズバーグは頭脳明晰なだけじゃなくて、人を見る目もあったんだろうなぁぁ。
あらすじ&感想
その1 先人が今の時代を作ってくれている
いつの時代も困難なことってあって、だけどそうしたことを解決または善処していくことがより良い未来につながっていくわけで、もちろんすべてがいい方向への導きとなるわけではないけど、改変のないところに希望はないですもんね。
今、私たちにとって当たり前である「仕事に就くこと」「自分の名前でクレジットカードを作ること」もルース・ギンズバーグのような先人の勇気ある戦いが、今につながっているわけです。
当時、とても勝利することはできないかも・・・と自信を失いそうになっていたルース・ギンズバーグも、将来を背負っている自分の娘の言葉にハッとし、そこに希望を見出します。
先人が今に続くレールを敷いてくれたかもしれないけど、そのレールをつなげていくのは今を生きている我々であり、そのレールの先を歩くのは子供たち。
そう考えると、今だけにフォーカスして物事を考えちゃいけないんだ、ということがよくわかります。
少し話は脱線しますが、少し前にスゥエーデンの学生が地球温暖化対策強化を訴えてデモを始めたのをきっかけに、全世界に広まりを見せ、日本でも2019年2月に国会議事堂前で集会が開かれましたよね。
問題自体は全く違えど、今を変えなきゃ将来は変わらない、という意味では同じことだと私は感じます。
今を変えていくことは、自分にとって大事なことなのではなく、将来を担っていく子供たちにとって大事なことなんだ!と最近とても強く思います。
その2 日本の男女平等はまだまだだ!
当時のアメリカには、職業的な男女差別もあり、教師は女性の仕事だったんですね。これはかなりびっくりしました。
だけど、50年経った今、アメリカでは女性の軍人もいるし、ジェンダーはかなり開放された感じがします。
でも、日本はどうですかねぇ~。そりゃあ、50年前に比べれば変わっただろうけど、まだまだだな、と感じているのは私だけでしょうか。
その根本は、頭の固い年寄りばかりな日本の国会議員とその制度と家庭教育にあると思うんですけどねぇ。
男女平等と言っておきながら、休みの日にお母さんは忙しそうなのに、お父さんがゴロゴロしてたら、それを見て育った男の子たちは、お父さんてそういうもの!と思っちゃうかもしれないモン。
最近は休日に子供を抱っこ紐で抱いているパパも多く見かけるので、そういう姿を見ると小さく「よしっ!」とほほえましく思います。頑張れ日本のお父さんたち!
女性がバリバリ働くためには、マーティンのような夫が増えるのが一番です。
その3 勝てないと言われた裁判に何故勝てたのか?
多くの法律家たちが絶対に勝てない!と予想していた裁判に、何故ルースは勝つことができたのか?冷静に事実を訴え、素直な気持ちを語ったからだと私は思いましたね。
それまで、ルースは依頼者の気持ちに寄り添うというより、裁判で戦うことを男女が平等でないことの怒りにすり替えていた感じがありました。
そのことによって、裁判に協力してくれていたスポンサーのメルともぶつかるシーンがあるんだけど、観ていて苦しくなっちゃうほどルースは攻撃的。
あの時代に、攻撃的で理屈っぽくて、相手をやり込めようとする女性が勝訴できるはずない!とメルは感じるわけ。
裁判当日も、初めての裁判ということもあり緊張していたルースは、しどろもどろで陪審員たちの質問にもちゃんと答えられない始末。
でも、最後の最後に自分の言葉で、依頼者の窮状や人柄、今訴えていることが何故、依頼者を苦しめているのか?ということを切々と訴え、陪審員たちの気持ちをつかむんです。
陪審員たちの表情が変わっていくのを見て、素直で真摯な言葉に人は心を動かされるんだ!ということがわかります。
映画ビリーブのモデル「ルース・ギンズバーグ」の現在
画像引用元:映画「ビリーブ未来への大逆転」オフィシャルサイト
2020年に亡くなりましたが、最高裁判所判事のひとりとして80歳を過ぎてもご活躍なさっていました。
映画の最後にご本人の映像も流れたんだけど、見るからに聡明そうなお顔立ち、とても85歳とは思えないパワフルなオーラ、人はそれまでの人生を外見にまとって生きているんだということを再確認しましたね。
意地悪な人は意地悪な顔になるし、ケチな人はケチな顔つきになるし、誰にでも優しい人は表情にいつも優しさをたたえている。
子供の頃の顔は、遺伝子が優位であったとしても、大人になってからの顔や姿勢は自分の責任!と痛いほど感じたリアル:ルース・ギンズバーグさんでしたね。
映画ビリーブの主題歌「Here Comes The Change」を聞き逃すな!
映画のエンドロールと共に、全世界トータル1300万枚以上のセールスを誇るシンガー・ソング・ライター「KESH」が歌う、この映画のために書き下ろした「Here Comes The Change」が流れてくるの。
歌は英語だけど、ちゃんと歌詞の字幕も出るので、映画の内容がフラッシュバックしつつ、歌詞が沁みてくるので、そこまでちゃんと見てね。
Here Comes The Change
闇の中で光であるのはとても難しいけど
絶対に大丈夫 その時は来るのだから・・・
まとめ
見終わったとき、小さく心に火がついて熱くなる感じ。
勇気をもらえるとか、背中を押してもらえるとか、そういう具体的な感情というより、「ポっ」と火がついてギアアップした感覚とでも言いましょうか。
年代が違うと感想も違うかもしれないので、親子で鑑賞もおススメの作品です。