SF

映画「アド・アストラ」あらすじとネタバレ感想|遥か彼方より足元に大事なモノがある

ブラッド・ピット主演の映画「アド・アストラ」を鑑賞してきました。

ブラッド・ピットが演じるのは、ロイ・マクブライドというエリート宇宙飛行士。

宇宙飛行士のヘルメット?と言っていいのかしら?顔にかぶっている丸いヤツ、あれがブラピには似合わないように感じちゃったのですが、どうかしら?

少佐であるロイは、軍服でのシーンもあり、それはべらぼうにかっこいいんですけどね。「マリアンヌ」での軍服姿もピカイチでしたし。

多分、「スナッチ」「ファイトクラブ」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で見られる、ちょっといい加減だったり、ヤサグレていたり、はみ出しているブラピが好きだからかな?と適当な自己分析をしておきました。

映画「ワンスアポンアタイムインハリウッド」はニヤニヤが止まらなかった感想(ネタバレあり)これはもう贅沢の極み!と今から待ち遠しいのが、タランティーノ監督映画「ワンスアポンアタイムインハリウッド」ブラボーな初共演でございます。ブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオが一緒にスクリーンに登場しちゃうんですよっ。ああ、よだれ・・・・です。...

軍服が似合うのは、胸筋を鍛えた胸板の厚さと真っすぐな姿勢の良さから来るもので、宇宙服だとそこらへんはわかりませんからね。

ロイの父親を演じているのは、トミー・リー・ジョーンズ。そうです。BOSSコーヒーのCMが頭に浮かんできちゃいます。

無理やり封印した父親への思い、仕事と家庭を天秤にかけて、迷うことなく仕事を選択した父親の末路、壮大な宇宙を舞台にした、屈折した親子の物語でした。

それでは、ラストシーンには触れず、ざっくりとしたあらすじと感想を綴ってみたいと思いますが、感想にはネタバレも含みますことをご了承くださいませね。

作品の概略

広大な宇宙を舞台に、太陽系の彼方に消えた父の謎を追う姿を描く。地球外生命体の探求に人生をささげ、宇宙で活躍する父の姿を見て育ったロイは、自身も宇宙で働く仕事を選ぶ。

しかし、その父は地球外生命体の探索に旅立ってから16年後、地球から43億キロ離れた太陽系の彼方で行方不明となってしまう。

時が流れ、エリート宇宙飛行士として活躍するロイに、軍上層部から「君の父親は生きている」という驚くべき事実がもたらされる。

さらに、尊敬する父が太陽系を滅ぼしかねない「リマ計画」にかかわっているという。危険な実験を抱えたまま姿を消した父を捜すため、ロイも宇宙へと旅立つが……。

ピット、ジョーンズのほかリブ・タイラー、ルース・ネッガ、ドナルド・サザーランドが共演。監督は「エヴァの告白」のジェームズ・グレイ。

「アド・アストラ」映画.comより

ブラッド・ピット率いるプランBエンターテインメントが製作に参加。

原題の「Ad Astra」は「to the stars」(星の彼方へ)を意味するラテン語だそうです。

ざっくりあらすじ

画像引用元:IMDb

どんな時も心拍数80を超えない冷静なエリート宇宙飛行士のロイ。

ある日、サージによるものと思われる通信障害が発生し、その原因が宇宙で行方不明になった宇宙飛行士だった父クリフォードにあるのでは?ということが突き止められ、ロイは海王星にいるらしい父親への連絡を依頼されます。

死んだと思っていた父親が生きているかもしれないと知り、ロイは激しく動揺しますが、幼いときのいい思い出しかなかった父親に再び会いたいという激しい気持ちに動かされます。

海王星と通信が可能な火星へと発つことになったロイは、まず月へ。そこから火星に移動します。

火星から海王星へ、息子のロイであることを名乗って業務連絡的な言葉で父親にメッセージを送るも返信はなし。数回試みたのち、ロイは原稿にない自分の言葉で父親に訴えかけます。

すると、どうやら父親からの返信があった様子。だけど、ロイにその内容は明かされません。

任務は完了した、ということで地球へ帰されることになりますが、火星ステーションの女性所長の言葉と協力で、海王星へ発つロケットに乗りむことに成功します。

そして、ロイは火星から79日もかかる海王星へと向かいますが、親子の対面は果たされるのでしょうか?

無事、ロイは地球へ戻ってくることができるのでしょうか?

感想

映画が製作者にとって、どんな意図で作られたのか、脚本を書いた人が観る人へ何を伝えたかったのか、それを忠実に読み取ることができるのか、なんてことはどーでもいいこと、と思っております。

映画を観る、ということは、観た人が何らかの「観てよかった」を感じることが出来たら、それで十分。

今作は、近い未来はこんな風に月が身近になっているかも、と思わせてくれるような描写がたくさんあり、宇宙や宇宙船の様子をすごく詳細に見せてくれる壮大な作品になっています。

月に眠る資源に対する争奪戦を暗示していたりもして、宇宙に詳しい人なら見どころがたくさんあるかもしれない映画ではありますが、ベースに描かれている親子関係こそ、今作の肝心要なのでは?と私は感じました。

感想その1 ロイの父に対する思い

幼い頃に、大好きだった父親が行方不明になってしまったことを、心の中で消化できず大人になったロイ。

数学を教えてくれたり、いつか自分も父親のような宇宙飛行士に、と思うほどの影響を残しながら、突然いなくなった父親に対する怒りの感情を封印していたロイ。

沈着冷静で宇宙飛行士に必要な心理テストを受けても、ロイはどんな時も心拍数80を超えることがありません。

だけど、もしかしたらその父が生きているかもしれない、と知ったとき、激しく動揺すると共に、「会いたい」という素直な気持ちが芽生えます。封印していた感情が、じわじわ漏れてくるんですね。

そして、その父親と連絡を取るために火星へ向かいます。

画像引用元:IMDb

感想その2 月旅行は当たり前?

月へ行く飛行は、スタンダードになっているらしく、まるで飛行機のようにフライトアテンダントがいて、「おしぼりはいかがですか?」というサービスがあったし、ブランケットと枕を頼むと125ドル。

先日、ZOZOの社長を退任した前澤氏が、月に行くための準備や訓練もあって忙しいと言っていましたが、前澤氏が月まで乗っていくロケットは、アメリカのベンチャー企業の「スペースX社」の「ビッグ・ファルコン・ロケット」

およそ6日かけて月まで行くのだそうです。

私は閉所恐怖症なので、例え1万円しかしなかったとしても、ロケットのような狭い空間に6日間も閉じ込められるのは絶対イヤですが、あなたは行ってみたいですか?

映画の中では月のステーションには、アメリカの配送業者「DHL」の受付までありました。

ここまでスタンダードになるには、まだ長い年月がかかるかもしれませんが、月に有効な資源があるとしたら、映画のように世界での争奪戦になるかもしれないし、それによって月戦争が勃発する可能性もゼロではないかもしれません。

感想その3 親に対する責任はあるのだろうか?

ロイは月に到着し、次に火星に向かいますが、月から火星までは19日と14時間ほど。うんざりするほど、遠いよねぇ。飛行時間が10時間を超えると、もう行きたくない!と私は思うけど・・・

火星に到着し、海王星にいる父が生きていると確信するも、ロイは連絡役として宇宙軍から利用されただけ。サージの原因となっている宇宙船ごと爆破されてしまうことが予想されますが、そこにはロイの父がいます。

さて、どうする?

画像引用元:IMDb

火星ステーションの所長である女性が、ある秘密をロイに打ち明け、ロイは海王星行きの宇宙船にこっそり乗り込むことになるんですね。

でも・・・全然わからないけど、宇宙船って、こっそり乗り込むことができるほど簡単な作りじゃないはず。そんなことができるようなら、宇宙を飛べないと思うんですけど、違うのかな?

ここは、大いに疑問に思いましたけどね。

ま、それはちょっと置いといて、ロイは父親に会いたいという思いと、火星ステーションの所長から聞いた話から、父親が過去にしでかしたことに対して責任を感じてしまいます。

きっとね、ロイは幼い頃に大好きだった父が突然行方不明になったという過去があるし、会いたいという思いがあったからだと思うけど、親のしでかしたことに責任を感じる必要があるでしょうか?

子どもがしでかしたことに対しては、責任を感じちゃうし、一緒に謝罪する気持ちもあるけど、親になるとどうでしょう?

それぞれに考え方はあるでしょうが、私は親のしでかしたことは親の責任と思います。親の借金を、子供が引き受ける必要がないのと同じです。

ただ、ロイはどうしても父親に会って、父にとって自分がどんな存在だったのか確かめたかったのかもしれません。

ロイはそれを父親の口からはっきりと知ることができましたが、ロイが望んでいた答えではなかったにしろ、本人の口から聞いたことでモヤモヤとしていた気持ちに踏ん切りがついたはず。

命を掛けるほどの価値があるのか?とは思いましたけど、それはその人それぞれの価値観ですからね。私が決めることじゃないし。

ロイの父親は、地球以外に存在するかもしれない「知的生命体」を探すことに人生を掛けていました。

生物学者や科学者等、何かを究めたい人にとっては、研究以外の様々な営みは、ものすごく面倒な事以外の何物でもないのかもしれません。

「はるかな無だけを見て、足元を見ていなかった」というロイの心の声が聞こえます。これはロイの父親に限らず、足元を見られない人は多いかもしれません。時には、自分の足元をしっかり見つめる目!必要ですね。

まとめ

宇宙船でのトイレはどうするんだろう?宇宙船の中で亡くなった人を宇宙に放り投げていたけど、遺体を家族の元に届けなくていいのかな?

などなど、宇宙や宇宙船に付いては知らないことが多いため、ものすごくいろいろなことを思いながら観ちゃった映画でした。

宇宙船には、実験用の動物まで積まれていましたが、その動物に突然クルーが襲われたりして、

えっ?!オリに入ってないし・・・検疫っていうのかしら?そーゆーのは大丈夫?とかね。

わからないことが多いし、あまり身近に感じないため、宇宙を題材にした映画はあまり観ませんが、今回はブラッド・ピットが主演ですからね、そりゃあ、観ますって!

ほぼ出ずっぱりなので、ブラピファンにとっては美味しい作品になっています。

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でのブラピとはがらりと違う役なので、同時に公開されていますが、続けて観て比べてみるのも面白いかもだわ。

皺が増えても、髭に白髪が混じっても、ブラピはブラピ。素敵です!