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映画「永遠に僕のもの」は実話?モデルになった人物が起こした事件とは|ネタバレ感想

アルゼンチンでの実話を基にした映画「永遠に僕のもの」のモデルとなったのが、アルゼンチン犯罪史上、最も有名と言われている事件。

今も刑務所に収監されている犯人のカルロス・エディアルド・ロブレド・プッチ役を演じたのが、南米のディカプリオと呼ばれている「ロレンソ・フェロくん」

映画のモデルとなった実在の人物:カルロス・エディアルド・ロブレド・プッチは「ブラック・エンジェル」とか「死の天使」と揶揄されていたようで、確かにかなりな美青年。

彼は、実際どのような事件を起こしたのか?

そして本物のカルロス・エディアルド・ロブレド・プッチの今と昔の写真、映画を鑑賞してきた感想を綴ってみたいと思います。

感想にはネタバレも含みますことをご了承くださいませね。

作品の概要

アルゼンチン犯罪史上、最も有名なカルロス・エディアルド・ロブレド・プッチの事件を基にした、アルゼンチン・スペイン合作の映画。

第71回カンヌ国際映画祭ある視点部門への正式出品。第91回アカデミー賞外国語映画賞アルゼンチン代表作品に選出されています。

複雑な魅力をあわせ持つ、実在の殺人犯カルロス・ロブレド・プッチからアイデアを得たオルテガ監督だが、映画の主人公としては「怪物カルロス」とはいくぶん異なる、架空のキャラクター「カルリートス」を生み出した。

カルリートスは、自分が何をしているのか、自分でも理解していないキャラクターである。

「永遠に僕のもの」オフィシャルサイトより

オフィシャルサイトにこう書かれているように、実物のカルロス・ロブレド・プッチをそのまま作品の中で描いているのではなく、アイデアを得てオルテガ監督が新たに生み出したのが、映画の中の人物「カルリートス」

容貌はよく似ているけど、作品の中の美少年は、映画のために生まれた新しいキャラクターとしてみる必要がありそうです。

主演俳優ロレンソ・フェロとは?

今作でデビューのロレンソ・フェロは、南米のディカプリオというキャッチコピーがあったりもする美青年。

幼さが残る美しい顔は、実在の人物だったカルロスと非常に似ています。

少年のようにも青年のようにも見えるし、時には幼児のようでもあり、少女のようにも見える、つかみどころのない不思議な人物だったカルリートス。

この役は、ロレンソ・フェロ以外には、演じることができなかっただろうと思いましたね。

デビュー作にして、多くの人に衝撃を与えた天性の役者だと感じました。

ロレンソ・フェロは1998年11月9日にブエノスアイレスで誕生。アルゼンチンで俳優をしている父親の影響を受けて育ち、”Kiddo Toto”の名前でラップシンガーとしても活躍しています。

実際の事件とは?

画像引用元:Wikipedia

1952年1月19日 アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれで、労働者階級の家庭に育ち、幼少期は内気な子供だったようです。

  • 1971年3月15日
    カルロスと共犯者:ホルヘ・アントニオ・イバニェスが、ディスコを奪い、35万ペソを盗みます。 逃げる前にカルロスは、ディスコのオーナーと夜警を射殺。
  • 1971年8月5日
    共犯者だったホルヘ・アントニオ・イバニェスは自動車事故で亡くなりましたが、運転していたカルロスは無傷で、そのまま現場から逃走。
  • 1971年11月15日
    新しい共犯者であるヘクトル・ソモザと、ブローニュでスーパーマーケットを襲撃します。
  • 1971年11月17日から1971年11月24日
    カルロスとヘクトルは2つの自動車販売店に押し入り、100万ペソ以上を盗んだ上、監視員を殺害しています。
  • 1972年2月1日
    カルロスとヘクトルは金物屋に押し入り、警備員を殺害し、警備員が携帯していた鍵で金庫を開けようとしますが失敗。そして、混乱の状態に陥っていたと思われるカルロスは、共犯者のヘクトルを射殺してしまいます。

亡くなったヘクトルの身分証明書がズボンのポケットから見つかったことで、カルロスは20歳になった直後の1972年2月4日に逮捕されます。

1971年から1972年の間に、犠牲者を11人も出す連続殺人犯として終身刑に。

その他、1人の殺人未遂、17件の強盗、1人の強姦、1人の性的虐待、2人の誘拐および2件の窃盗で有罪となり、1973年以来、現在に至るまで刑務所に入っています。

カルロス・エディアルド・ロブレド・プッチの今と昔

逮捕当時のカルロスと、収監中の現在のカルロスの写真が、アルゼンチンの番組で紹介されています。スペイン語で字幕もないため、内容はわかりません。ごめんなさい。

感想

カルリートスとラモンの出会い

冒頭、大きなお屋敷にふらりと入っていくカルリートス。焦りや恐怖やおどおど感はどこにもなく、まるで親戚の家に入っていくかのように自然です。

その大胆不敵さと、恐怖感のなさは、何が起ころうと一貫したカルリートスの大きな特徴として描かれていました。

カルリートスは、転校した新しい学校でラモンと出会い、ラモンの家に遊びに行って父のホセから、初めて銃を持たせてもらいますが、事実もそうだったようです。

最初にカルリートスとラモンが盗みに入ったのは銃器店。かくれんぼでも楽しんでいるかのように、カルリートスは鮮やかに手際よく盗みをやってのけ、その姿を見たホセは、天才と言いつつも恐れをなしていました。

真面目な両親に愛されて育ったカルリートスが、犯罪に走ったのは、10代の青年がエネルギーを持て余す矛先が犯罪だったからなのか?

ホセが持たせてやった銃との出会いがなければ、カルリートスの人生は変わっていたのだろうか?

カルリートスとラモンはゲイだったのか?

映画の中でラモンは、美術品を売りつけに行ったゲイの美術商に気に入られ、それが縁でテレビ出演を果たしますが、ラモンのモデルになったホルヘ・アントニオ・イバニェスも俳優になりたい夢があり、生前エンターテイメントの世界にアプローチしようとしていたようです。

映画の中では、カルリートスとラモンが恋愛感情を持っているかのような、お互いが友人以上の気持ちで惹かれあっているかのように感じられるシーンがいくつかありました。

事実、二人はそういう関係だったのでは?という噂はあったものの、二人の犯罪歴には女性に対するレイプがあるように、二人ともゲイではなかったし、インタビューでカルロスはゲイを否定しています。

でもね、映画の中のカルリートスは、完全にラモンに恋をしていたとしか思えなかったかな。

告白もしていないし、それらしい行動をとったわけでもないけど、熱い視線やちょっかいや、他の人がラモンと絡むときのジェラシーが籠った目つき。

ラモンが事故で亡くなったことも、映画の中ではカルリートスの嫉妬からのようにも受け止められたし、その時に流れていた歌が「あなたのいない世の中は考えられない」みたいな歌詞だったと記憶しています。

そして映画のタイトル「永遠に僕のもの」も、カルリートスにとってのラモンの存在なのでは?と私は感じたかな。

ただ二人の関係は、映画ならではの演出であり、映画が作り出したカルリートスという作中人物のキャラですね。

カルリートスにとって犯罪は何だったのか?

犯罪をゲームのように楽しみ、それを邪魔する人は、全て排除しちゃう。当たり前にあるであろう人としての心を持っていたなら、そんなことはできるはずもなく、マスコミはカルリートスを「生まれながらの犯罪者」「精神異常者」と表現します。

事実、そういう報道から彼を最後までかばったのは、母親だったと伝えられています。

まっとうに生きてきた両親からも愛されていた実際のカルロスは、どうして殺人鬼になってしまったのか?そこが、個人的に非常に興味のあるところでした。

答えはわからなかったのですが、今でも貧富の差や治安の良しあしの差が激しいアルゼンチン。

もしかしたら、1970年代初頭の当時は、もっと混沌としていたかもしれないし、その中で間違った刺激を感じちゃったのかもしれないけど、あれだけの美少年なら、違う道もあっただろうに、と残念です。

冒頭と同じように、何事にもビビらず、恐れず、焦らないカルリートスを象徴したラストシーンで締めくくっていました。

美少年だったからこそ、人が関心を持ち、人の注目を集めた事件だったはず。

でも、それだけで終わらせず、何たる酷い事件なんだ!と、同じような事件が繰り返されないためのヒントになればなぁと思います。

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