子どもの頃からファッションが大好き、華やかなモノが大好きだったので、中世ヨーロッパを舞台にした映画は、作品そのものより衣装や調度品が楽しみだったりします。
イングランドのアン女王を描いた「女王陛下のお気に入り」を見たことで、中世~近世ヨーロッパ貴族のドレスや女性の服装が楽しめる作品をご紹介したいと思い、今回はその時代のおすすめ映画を選んでみました。
あらすじにネタバレは含みません。随分前の作品もあるので、DVDや視聴できるサイトにリンクを貼ってご紹介してあります。
あなたの興味をひく作品があったら嬉しいです。
Contents
中世~近世ヨーロッパ貴族や女性の服装が楽しめるおすすめ映画9選
その1「娼婦ベロニカ」
原題:A Destiny of Her Own
製作年:1998年
製作国:アメリカ
キャスト:キャサリン・マコーマック、ルーファス・シーウェル、ナオミ・ワッツ
マーガレット・ローゼンタール原作の伝記小説「The Honest Courtesan」を基に映画化した作品。
1580年代初頭のベネチアを舞台に、実在の詩人ベロニカ・フランコの華麗な半生を映画化したラブ・ストーリー。
そりゃあそりゃあセクシーで妖艶なファッションが楽しめますが、貴族のお姫様ファッションとは異なるところも非常に興味深い。
階級の差があると決して結婚できない時代、男性の所有物として扱われていた女性たち。
ベロニカが「コーティザン」と呼ばれる「高級娼婦」に育っていく過程、道ならぬ恋の行方・・等々、物語としても充分楽しめます。
ベニスの運河を優雅に娼婦たちがゴンドラに乗って登場するオープニングシーンは、ベニスらしく明るく華やかだけど、かなりセリフも衣装も際どくセクシーで抜群の衝撃度です。
ラストは、現世では考えられない展開になっていくのですが、娼婦ベロニカを愛していた多くの地位の高い男性たちの行動に彼女は助けられます。
ファッションを楽しもうと思ってDVDを借りたけど、映画としても見ごたえあり非常に満足したおススメの一作です。
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同じように「娼婦」をテーマにした「メゾン ある娼館の記憶」も衣装が実に魅力的ですが、ストーリーは20世紀初頭の華やぐパリを舞台にしているので、今回は外しましたが、ご興味があれば検索してみてくださいね。
その2「プライドと偏見」
原題:Pride & Prejudice
製作年:2005年
製作国:イギリス
キャスト:キーラ・ナイトレイ、マシュー・マクファディン
ジェーン・オースティンの小説をキーラ・ナイトレイ主演で映画化。
個人的に、キーラ・ナイトレイが世界で一番お姫様役が似合う女優と思っておりまして、この作品ではお姫様ではないけど、20歳の初々しくキュートで勝気なキーラ・ナイトレイの魅力が香り立つような作品。
18世紀末のイギリスの田舎町で暮らす5人姉妹の近所に、資産家ヒングリーが引っ越してきます。次女エリザベス(キーラ・ナイトレイ)はヒングリーの親友ダーシーの高慢な態度に反感を抱くも、惹かれていくんですねぇ。
貴族ではないけど、舞踏会シーンもあり、存分に近世ヨーロッパの世界観が楽しめると共に、日常生活を送るファッションも見どころ!
娘には遺産の相続権がなかった時代、母親が娘の将来を案じ早く嫁がせたい気持ちや身分違いによる偏見は、時代を映していて、衣装と共に時代背景を興味深く鑑賞できます。
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その3「パフューム ある人殺しの物語」
原題:Perfume: The Story of a Murderer
製作年:2006年
製作国:ドイツ
キャスト:ベン・ウィショー、レイチェル・ハード=ウッド
世界45か国で発売され、1500万部の売上げを記録した、美しい女性の香りを手に入れるため、恐怖の連続殺人鬼と化していく男の物語を描いたパトリック・ジュースキントのベストセラー小説を映画化。
18世紀のパリが舞台。悪臭のたちこめる魚市場で生まれた、驚異的な嗅覚を持つジャン=バティスト・グルヌイユ(ベン・ウィショー)。
ある晩、芳しい香りの少女に夢中になり過ぎて、誤って殺してしまいます。だけど、ジャンはその少女の香りを求めて調香師になっちゃうんです。
舞踏会で着る華やかなドレス!みたいな衣装ではありませんが、上の画像のように18世紀のパリの街中ではこんなファッションだったのかな、と興味をそそられる作品です。
映画は全体的に非常に暗いし、殺しの場面もあるし、サイコスリラー的要素もあるので、そうした映画が苦手な方にはあまりおススメしません。
18世紀パリ庶民の暮らしやファッション、臭いを映画でどのように表現するのか?というところを味わってほしい作品です。
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その4「マリーアントワネット」
原題:Marie Antoinette
製作年:2006年
製作国:アメリカ
キャスト:キルステン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン
14歳でオーストリアからフランス・ブルボン王家に嫁ぎ、18歳でフランス王妃に即位するが、フランス革命によって37歳で生涯に幕を閉じたマリー・アントワネットの人生ソフィア・コッポラ監督が映画化。
夢見心地にしてくれる、映画全体がふんわりした色彩で彩られた女性向けの作品。老舗ラデュレのマカロンやスイーツ、ファッション全てが、どこれもこれも女心をくすぐる色彩。
アントワネットの元に届けられる新しい靴は、専用のクッションに乗って運ばれてくるんですよっ!
ファッションに関心がある女性でなくても、ソフィア・コッポラが提供した世界観にうっとりするはず。
私は、この作品に影響を受けて、18世紀頃のヨーロッパ映画衣装に興味を持ったといっても過言ではないかも。
評価は決して高くないんだけど、とにかく華麗な調度品、ファッションが存分に楽しめる作品です。
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その5「ブーリン家の姉妹」
原題:The Other Boleyn Girl
製作年:2008年
製作国:アメリカ・イギリス合作
キャスト:ナタリー・ポートマン、スカーレット・ヨハンソン
16世紀イングランド。後に英国黄金時代を築くエリザベス1世の母となるアン・ブーリンと、その妹メアリーの王の寵愛を巡る確執を描く歴史劇。
姉のアン・ブーリンをナタリー・ポートマン、妹のメアリーをスカーレット・ヨハンソンが演じているという実に豪華な姉妹。
何がステキって、ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンの二人が、貴族の姉妹として抑えた華やかさのある衣装をまとっていたり、部屋着でくつろぐシーンがあったりで、ファッションも女優対決も見どころ!
スカーレット・ヨハンソンとナタリー・ポートマンへのインタビューでは、お二人が衣装についても語っているので、ご興味のある方は読んでみては?
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その6「ある公爵夫人の生涯」
原題:The Duchess
製作年:2008年
製作国:イギリス・フランス・イタリア合作
キャスト:キーラ・ナイトレイ、レイフ・ファインズ、レディ・スペンサー
故ダイアナ妃の祖先デボンシャー公爵夫人のスキャンダルを映画化。
この作品は個人的に大好き!キーラ・ナイトレイのお姫様姿にぞっこんになったきっかけを作った作品。
今作の衣装については、何はともあれ帽子が必見!華やかな髪型や帽子に全く負けてないキーラ・ナイトレイが実に魅力的です。
18世紀後半のイギリス。世界的に裕福なデボンシャー公爵のもとへ嫁ぐことになった、貴族の娘ジョージアナ・スペンサー(キーラ・ナイトレイ)の波乱に満ちた人生を演じています。
この作品は、第81回アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞したので、ストーリーそっちのけで衣装だけを楽しんでいい作品です!
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その7「アンナ・カレーニナ」
原題:Anna Karenina
製作年:2012年
製作国:イギリス
キャスト:キーラ・ナイトレイ、ジュード・ロウ
ロシアの文豪トルストイの長編小説を、「プライドと偏見」のジョー・ライト監督&キーラ・ナイトレイ主演コンビで映画化。
19世紀末のロシア。政府高官カレーニンの妻で、社交界の華として注目を集めるアンナ・カレーニナが、青年将校ヴロンスキーと運命的な出会いをしてのめり込んでいく二人を描いています。
簡単に言ってしまえば、アンナとヴロンスキーとの許されない恋路を貫き通そうとしたがゆえに破滅した不倫物語。
2013年のアカデミー賞衣装デザイン賞に輝いた作品でもあるので、衣装は実に凝っていて圧巻!
衣装の色で場面を幻想的にもリアルにも表現し、アンナの気持ちが衣装の色とリンクしていると感じられたりと、とにかく色使いが印象的です。
舞踏会や競馬観戦のときにアンナが付けているアクセサリーや帽子が、衣装によって引き立てられ、より一層キーラ・ナイトレイもアクセサリーも魅力的に。
着る物で女性は大きく変わることが実感できる映画です。
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その8「女王陛下のお気に入り」
原題:The Favourite
製作年:2018年
製作国:アイルランド・イギリス・アメリカ合作
キャスト:オリビア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ
18世紀初頭、フランスとの戦争下にあるイングランドが舞台。
女王アンの幼なじみで宮廷内で絶大な権力を握っていたレディ・サラと、宮廷に現れ女王アンの侍女として働くことになった没落した貴族の娘:アビゲイルの女王アンを巡る軋轢を描いています。
衣装を手がけたのは『恋におちたシェイクスピア』『アビエイター』『ヴィクトリア女王 世紀の愛』3作品でアカデミー衣裳デザイン賞を受賞している「サンディ・パウエル」
サンディ・パウエルは、デニム生地や革素材、アフリカ系プリント生地などを使用し、斬新だけど不自然ではない衣装を作り出したんですって。
きらびやかさより重厚感を表したモノトーン基調のドレスが多かった印象。
衣装と共に、宮廷の豪華な内装や調度品も楽しめる映画です。
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その9「ふたりの女王メアリーとエリザベス」
原題:Mary Queen of Scots
製作年:2018年
製作国:イギリス
キャスト:シアーシャ・ローナン、マーゴット・ロビー
この作品は第91回アカデミー賞®の衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネート。
簡単に言っちゃうと、スコットランド女王「メアリー・スチュアート」対イングランド女王「エリザベスI世」の戦いを描いた作品。
エリザベスI世は、外見的なコンプレックスもあり、豪華に着飾ることを好んだと言われていて、エリマキトカゲのような襟のドレスを着ています。
更にエリザベスは、メアリー・スチュアートの容姿や服装についての情報を逐一入手し、それを上回る装いを目指したと言います。
ここでも静かな戦いが繰り広げられていたわけですよ。女性にとって、外見はものすごく大事。容姿は変えられなかったとしても、より個性的でゴージャスな衣装に身を包むことで、どーよっ!と見せびらかして虚栄心を満たす、ってことはありますからね。
それは時代に関係なく、女性の武器ともいえるわけです。
16世紀のイングランドを表現している衣装は、抑えた色味が印象的。ふわふわ女性的なイメージじゃなくて、クールで力強い感じ。
そこに、お国柄や時代が反映されているのかもしれません。
その10「ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人」
原題:Jeanne du Barry
製作年:2023年
製作国:フランス
キャスト:ジョニー・デップ、マイウェン
イケメン遊び人と言われていた、ルイ15世の最後の公妾ジャンヌ・デュ・バリー夫人の生涯を描いた作品。
徹底的に華美というより、白を基調にしたシンプルな衣装が多かった印象。
でもね、ここだけの話し、かわいがっていたデュ・バリーの息子が瀕死の重傷を負って、そこの駆けつけたときのブルーのドレスは・・・・ ジャンヌのイメージとかけ離れていたと思うのよ。
シャネルが今作のためにデザインした衣装を提供し、ベルサイユ宮殿にて大規模撮影が行われたそうです。
きっとすべての衣装をシャネルが提供したわけじゃないと思うので、私の予想では、ジャンヌがヴェルサイユにデビューするとき着ていたオフホワイトのドレスだと思うの。
その時、18世紀フランスのトレンドを代表する高く結った髪型で、思わずブラボー!と言いそうになったわ。
「マリー・アントワネット」の中で、マリー・アントワネットも確か同じような髪形をしていたと思うの。
今作には、マリーとジャンヌの確執も少しだけ描かれていて、どちらの作品も見ると更に興味深いかも。
中世ヨーロッパを舞台にした映画 まとめ
映画って、手軽に現実逃避できるツールだと思うんですね。
中世や近世ヨーロッパの歴史や歴史上の人物には、何も興味がなくたって、衣装だけで楽しめちゃうのがこの時代の映画を鑑賞する醍醐味です。
映画を鑑賞している約2時間、この衣装は好きだわ、この衣装デザイナーの世界観は好みだわ、この女優の衣装だったら私でも似合うかも?的な妄想を膨らませて、しばしの現実逃避は、最高のストレス解消になります。
是非!映画の世界へGO!